
熊本地震から1週間。38人が死亡。住宅被害は1万3690棟に上り、7538人が避難所での生活を余儀なくされています。断水も続いていて、「節水」しながら患者の命を守る医療現場を取材しました。
【写真で見る】熊本地震から1週間 求められる支援のカタチとは?
“求められる支援のカタチ” 熊本地震発生から1週間
藤森祥平記者:
災害関連死を今後いかに防ぐかという視点でお伝えします。
氷川町・道の駅「竜北」の館長が最も心配しているのは、車を使えない人への支援です。1人暮らしの高齢者などには配布できず、配達できる人員も足りていないといいます。そのため、支援が届かないリスクがあります。
氷川町・八代北部地域医療センターの院長によると、通常の医療機関の役割としては、5割ほど復旧しているといいます。断水中でも人々の努力や工夫によって、給水車対応でしのいでいて、熱中症の患者への対応も行えるそうです。
一方で、病院にたどり着けない在宅医療者をはじめとして、自宅や避難所、別の自治体に身を寄せている人たちに、どのようにして医療サービスを提供すべきなのかと懸念を抱いているといいます。
医療サービスを病院にたどり着けない人にも提供するためには、医療、介護、福祉、そして行政の広域的な連携、それによってスムーズな情報共有をいかに行えるか、ここが大きな鍵だと力を込めてお話ししていました。
喜入友浩キャスター:
熊本の最新被害状況を数でみていきましょう。
熊本県内の被害(県の資料より 4日午後6時時点)
▼死者 38人
▼避難者 7538人
▼断水 4万4380戸
▼住宅被害 1万3690棟
小川彩佳キャスター:
少しずつ前に進みだしたという人もいますが、一方で過酷な環境下におかれている人もいるわけですよね。
小説家 真山仁氏:
10年で二度もこれほど甚大な被害を受ける被災者の苦しみは、計り知れません。
ただ、10年前の経験が、もしかすると多くの人の中で準備や態勢ができていて、動揺から抜け出すのが早いなど、様々なプラスの面があったのではないかと思いたいです。
逆に本当に10年前の教訓が生かされているのかは、今の段階である程度ちゃんと検証した方が良いと思います。何が足りていて、何が足りていないのかが今はまだ混乱しているため、まず明確にすべきだと考えます。
小川キャスター:
7月28日に発生した地震から1週間が経ちましたが、10年前の教訓は生かされているのでしょうか。自治体のここまでの対応をどうみますか。
2016年の熊本地震の教訓は活かされたか 「支援スピード加速」するも課題が…
鬼塚龍史記者:
2016年の熊本地震の教訓が活かされていると感じるのは、自治体や関係機関の受け入れ体制です。
10年前はあれほどまで大きな揺れを経験したことがなかったため、体制が整っていない自治体が多く、混乱がみられました。
一方、今回は多くの応援が入っているが、スムーズに、そして大きな混乱もない印象です。
また、仮設住宅も10年前よりも1週間早く、2026年は8月3日に着工しました。
同時に車中泊や避難所からホテルへ宿泊するという避難も始まっています。生活の再建に向けたスピードが感じられます。
ですが、10年前と変わっていない点もあります。
私が10年前に避難所を取材した時に一番印象的だったのが、避難所の体育館の床で休んでいる人の姿でした。
今回、段ボールベッドが設置されていたり、プライバシー保護のための仕切りが導入されたりと進んでいる避難所もある一方で、いまだに硬い床に寝ている人がいる避難所もあり、避難所の環境整備が一律ではないと感じました。
小川キャスター:
避難所の環境などもある中で、今まさに求められているのが災害関連死をどう防ぐかです。
喜入キャスター:
2016年の地震の際は、災害関連死は225人。熊本地震全体の死者275人のうち225人が災害関連死です。このうち熊本県が公開している2021年3月時点のデータによりますと、1か月以内に亡くなった人が全体の半数以上。3か月以内に8割の人が亡くなっているという状況です。
災害関連死をどう防ぐ? 酷暑での避難生活
小川キャスター:
ここから待ったなしという状況ですが、実際その関連死を防ぐための対策としてどのようなことが行われているんでしょうか。
鬼塚記者:
今の行政の合言葉は「災害関連死をどう防ぐか」ということです。
実は、すでに関連死の疑いが発生していて、原因は暑さとみられています。10年前の関連死にはおそらくなかったものです。
今回、初めて命に関わるほどの暑さと戦わなければなりません。そのためにも、暑さへの対応・対策が急務になります。
また、一人暮らしの障害者や高齢者のSOSをどう掘り起こしていくかということも大事になってきます。
障害者支援をしている団体は、「行政には情報があるものの、プライバシー問題に高い壁があるため、なかなか情報が出てこず、支援が行き届かないところがある。これが現実だ」と吐露しています。
マンパワーも絶対に必要ですが、民間の支援団体との協力の仕方も大切になってくると思います。
藤森記者:
やはり今は現実的に何ができるかということを考えて、少しでも前に向けるように知恵を絞り、工夫を施していくことに皆さんで力を注いでいくのが求められているのではないでしょうか。
小説家 真山仁氏:
一つ、皆さんに分かっていてほしいのは、震災に同じものはないということです。
今までの大きな地震は(今回よりも)寒い時期にありました。そのため、震災関連死も寒いことが原因のことが多かったです。
しかし、今回は暑い時期に災害が起こりました。よって、過去の例ばかりに執着すると逆効果になると思います。
行政は前例に縛られてしまう傾向があるのですが、熱中症対策など、他の事例を照らし合わせる柔軟性が必要になりそうです。
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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
新著にロッキード事件をもとにした「シャドーゲーム」
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