8月、東京農工大学大学院などのグループが、食卓に欠かせない卵についての新たな研究結果を発表しました。ニワトリを「ケージ」に入れる飼育方法と、自由に動き回る「平飼い」によって卵の味が変わることを発見したそうです。
「ケージ飼い」または「平飼い」で卵の味が変わる?
山形純菜キャスター:
東京農工大学大学院の新村教授らの研究グループが8月に発表したのが、ニワトリの飼い方で卵の味が変わるという研究結果です。
比較したのは、ケージに5羽ずつ入れた「ケージ飼い」のニワトリと、広い空間に12羽を放す「平飼い」のニワトリ。
同じ部屋で同じエサを与えて、ニワトリや卵にどのような影響を与えるのかを5年間研究したということです。
この結果が8月に発表され、品種にかかわらず同じような結果になったということです。
この結果から、ケージ飼いと平飼いでどのように変わるのか、そしてそれぞれどんな料理に合うかがわかったといいます。
なぜ飼い方によって味に違いが? 秘密は“運動量”
山形キャスター:
まず、ケージ飼いの卵が合うのはプリンだということがわかりました。一方、平飼いの卵が合うのは茶碗蒸しだそうです。
なぜ飼い方によって味に違いが出てくるのか、特徴がわかってきたといいます。
▼ケージ飼いの場合
ニワトリの運動が制限されます。肝臓に脂肪が溜まり、量が増えるということです。
卵の卵黄の大元は肝臓で作られるため、肝臓に脂肪が増えるということは、卵黄に脂肪酸が多いことになります。
そのため、プリンのようにクリーミーにしたい料理に合うそうです。
▼平飼いの場合
ニワトリがよく動き回るので運動量が多く、血液にアミノ酸が増えます。
卵の卵白は、血液から卵管に行って作られます。血液にアミノ酸が多いということは、卵の卵白に、うまみ成分となるグルタミン酸(アミノ酸の一種)が多くなるということでもあります。
そのため、ケージ飼いに比べて卵白のグルタミン酸が多い平飼いの卵は、茶碗蒸しのようなうまみが欲しい料理に合うとわかったということです。
つまり卵を買うときには、「この料理を作りたい」という目的に合わせて使い分けができます。
井上貴博キャスター:
人間の舌で違いがわかるレベルの差だったのでしょうか?
山形キャスター:
料理人の方も交えて食べていただいて、どれに合うかを研究していったということです。
井上キャスター:
これまでは、ニワトリに与えるエサを変えると味も変わると思っていましたが、環境でも差が出るんですね。
慶應義塾大学教授 教育経済学者 中室牧子さん:
いわゆるアニマルウェルフェアの観点からは、平飼いにすることが倫理的に望ましいといわれていました。
しかし、それは本当に品質や味に影響するのかということを、この研究者たちは知りたかったのだと思います。それは新しい視点で面白いなと思い、研究結果の論文を読みました。
ケージ飼いにも、ケージ飼いのメリットがあるという発見も大きいです。
日本では約9割がケージ飼い? 今後の洋菓子はどうなる
山形キャスター:
今回のこの研究結果について、都内の洋菓子店に聞いたところ、「研究結果が出たのを知らなかった、びっくりです」とのことでした。
取材した洋菓子店は創業50年以上で、プリンも非常に人気商品となっているそうです。クリーミーな感じをウリにしており、実際にお客さんからも「クリーミーだ」と言われているとのことです。
使っている卵はたまたまケージ飼いで、「結果としてラッキー」だったということです。
出水キャスター:
確かに、プリンのパッケージなどに「平飼い卵で作りました」と謳っているものもあります。
山形キャスター:
今後の洋菓子について洋菓子店の方は、「研究結果を受け、各店が改良しておいしくなったらおもしろい」と話していました。
脂肪酸が多い卵黄と、グルタミン酸が多い卵白を掛け合わせた卵なども、研究が進んでいけばもしかしたらできるのかもしれません。
井上キャスター:
洋菓子店からすると、ケージ飼いの卵のほうが比較的安いため、そっちでよりおいしくなるならラッキーだと思います。
慶應義塾大学教授 教育経済学者 中室牧子さん:
とはいえ、日本だとケージ飼いの割合が圧倒的に多く、90%以上がケージ飼いだと思います。一方、アメリカなどでは約5割が平飼いで、ケージ飼いと半々になっていると思います。
日本でもひょっとしたらこの先、付加価値をつけるという観点で平飼いが増えていくこともあるかもしれません。
井上キャスター:
平飼いは敷地が必要になる分コストが上がりますが、使い分けということで考えると、両方のよさをどう担保するのかということなのかもしれません。
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<プロフィール>
中室牧子さん
慶應義塾大学教授
教育経済学者 教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」
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