
アメリカがウクライナへの軍事支援を一時停止したことが、どれほど大きな影響があるのか。アメリカが行ってきた支援の中身について見ていきます。
【写真を見る】「最も影響が大きいのは情報提供」これまでの支援額、日本円にして10兆円…アメリカがウクライナへの軍事支援を一時停止 その影響の内実は【サンデーモーニング】
重要なのは“4つの兵器”
アメリカからの軍事支援は、これまでに641億ユーロ(約10兆円2500億円)、ウクライナを支援する各国の総額の約50%にあたります。
各国のウクライナへの軍事支援額(2022年1月24日~2024年12月31日 キール経済研究所)
アメリカ:641億ユーロ(約10兆2500億円)
ドイツ:126億ユーロ
イギリス:100億ユーロ
デンマーク:75.4億ユーロ
オランダ:58.5億ユーロ
日本:0.6億ユーロ
では、具体的な中身としては、どんな支援が重要なのか。安全保障分野に詳しい、東京大学の小泉悠准教授は、4つの兵器を挙げます。
まずは“155mm榴弾砲”。この砲弾は地上戦闘では最も多く消費されていて、アメリカはこれまでに300万発を提供していました。ヨーロッパ全体で1年間に生産できる数が100万発程度とも言われ、アメリカの飛びぬけた供給力の大きさが明白です。
次に、歩兵戦闘車両の“ブラッドレー”などの装甲車です。機関砲や対戦車ミサイルを搭載し、陣地の奪い合いが続く最前線で活躍しています。
そして、機動性の高いロケット砲システムの“ハイマース”。車両と一体となった発射機からロケット砲が発射でき、アメリカからはGPSで精密誘導できる射程90kmの砲弾などが提供されていました。
その上で、小泉准教授は「今回止められたアメリカからの軍事支援の中で最も影響が大きいのは、“情報の提供”」だと指摘します。
ウクライナ軍はアメリカが提供する軍事情報をもとに、“ハイマース”などを使ってロシア側の軍事拠点を攻撃することができています。ただ、標的に関する情報がなくなると、こうした高性能の兵器をいかすこともできないのです。
軍事支援を停止されたウクライナ 再会談を模索
一方、都市防衛という点では、アメリカ製のミサイル迎撃システム“パトリオット”が最も重要な役割を果たしているといいます。例えば2024年3月、ウクライナ当局は、首都キーウへ向けて発射されたロシア軍のミサイル31発をすべて迎撃したと発表しています。
そして、こちらは「神は我々の魂を救う。パトリオットは我々の命を救う」と題された絵。パトリオットは、人口密集地への攻撃を防ぎ、⺠間人の被害を抑える役割を担っているのです。
こうした数々のアメリカからの軍事支援を停止されたウクライナは、どうすれば“支援再開”や“安全の保証”を手にすることができるのか。先日、異例の口論となった首脳会談では、トランプ大統領から「あなたには手持ちのカードがないんだ」と凄まれたゼレンスキー大統領。トランプ氏との再会談を模索していますが、次に切れる“カード”はあるのでしょうか。
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