預金争奪戦で、銀行の金利が続々とアップしています。預金の「利息」は増えそうですが、「金利」が上がることで住宅ローンの負担が増えたり、家賃にも影響が?
「銀行は自分で選ぶ時代」普通預金の金利2.0%の銀行も
熊崎風斗キャスター:
各銀行の普通預金の金利について、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行は、3月から順次0.2%になります。
SBI新生銀行では、SBI証券と口座を連携すれば、3月から0.4%になります。
auじぶん銀行では、auのスマホで指定プランに加入やauPAYと口座を連携するなどすると、3月から最大0.51%になります。
PayPay銀行では、円とアメリカドルの両方を預けると、条件つきで2.0%となります。
1年前の今ごろ、メガバンクの金利は、普通預金で0.001%だったわけです。
100万円を預けた場合、金利0.001%で1年間の利息は10円(税引前)です。金利0.5%で1年間の利息は5000円(税引前)です。
経済評論家の加谷珪一さんによると、「今後も金利は上がる可能性があります。銀行は自分で選ぶ時代です。ただ、銀行選びはもう少し待ってください」ということでした。
“金利上げ合戦”の世界へ 加谷珪一さん「今年一年は、間違いなく金利は上がっていく」
経済評論家 加谷珪一さん:
今まで金利がほとんどゼロだったので、どこに預けても同じでした。あまり選ぶ基準がなかったんですが、これから金利が上がってくるので、各銀行は、他に負けないように顧客を獲得しようと“金利上げ合戦”の世界に突入しようとしています。
顧客からすると銀行を選べる時代になったんですよね。これから日本銀行もまだ金利を上げていく方向性なので、もう少し金利が上がってくる可能性が高い。そうなると銀行ももっと頑張って、より高い金利を提示してくる可能性があります。
それを見極めてから、定期預金などを組んだ方がいいかもしれません。
ホラン千秋キャスター:
どれくらいの期間を見極めた方がいいですか。
経済評論家 加谷珪一さん:
少なくとも今年一年は、間違いなく金利は上がっていく方向性です。その間に各銀行の様子を見ながら決めていく感じだと思います。
井上貴博キャスター:
例えば、PayPay銀行は2.0%と思いきっていると感じますが、まだ上げていく余地があるという考え方ですか。
経済評論家 加谷珪一さん:
PayPay銀行の場合は、ドル預金がセットになるので、元本割れする可能性のあるリスクもあっての金利ということですね。
ただ、これから金利が上がっていくと、普通の定期預金でも1.5%や2.0%にする銀行が出てくるのでは、と予想してる専門家もいるので、高めの金利が設定される可能性は結構あると思います。
ホラン千秋キャスター:
私たちの世代では、金利のある世界を見たことがないので、銀行の利息を考えたこともなかったですね。
田中ウルヴェ京さん:
メガバンクがいいとか、ネットバンクがいいとか、そういうわけでもないんでしょうか。
経済評論家 加谷珪一さん:
今まではどこでも同じだったんですが、特に最近は地銀やネットバンクで、メガバンクに対抗するため、よりお客さん獲得するため、積極的に金利を上げてくるところが出てきました。
そういう意味では、「いつも使っているから」という理由だけではなく、広くいろんな銀行を見て金利を比べた方がいいと思います。
井上キャスター:
大手銀行でも、いろいろ考えてやっていかないと、どんどんネット銀行にとられるわけですか。
経済評論家 加谷珪一さん:
ストレートに言ってしまうと、今一番焦っているのはメガバンクです。今までは黙っていても顧客がついたんですが、やはり競争が激しくなるので、これから努力をしていかないと預金者も獲得できなくなると思います。
「今、お得なのは変動金利ですが」住宅ローン、5年後、10年後、20年後も…
熊崎キャスター:
住宅ローンの金利についてです。
住宅ローン比較サイト「モゲチェック」によると、「変動金利」は平均0.45%、「固定金利」は平均1.86%となっています。
住宅ローンの金利は、どれくらい上がるのでしょうか。
経済評論家 加谷珪一さん:
今回、日銀が利上げをしたので、おそらく4月以降、0.25%金利が上がると思います。
この先、日銀は段階的に金利を上げていこうと思っているので、そのシナリオだと、今回0.25上がった、その次は0.25上がって、という感じで段階的に上がっていくのがメインシナリオなんです。
ただ、金利というのは市場の状況によっては急騰することがあるので、必ずゆっくり上がっていきますよ、とは断言できないんですよ。
メインシナリオとしてはそうなんですが、市場なので、何か大きな変動があった場合には、金利が急に上がることも十分にあり得ると思います。
田中ウルヴェ京さん:
そうすると、「固定金利」か「変動金利」のどちらがいいのでしょうか。
経済評論家 加谷珪一さん:
これは哲学論争みたいな感じなんですが、今は「固定」と「変動」で1%くらい金利差があるので、今に限定すれば「変動」の方が圧倒的にお得なんですよ。
ただ、5年後、10年後、20年後も住宅ローンは効いてくるわけです。このときに今のような低金利のままかどうか、わからないわけですよ。
ちなみに1990年代や80年代には、金利が8%になったことがあります。過去にはあるんですよ。なので「絶対にない」とは言い切れないので、安全を取るのであれば、「固定」でずっと同じ金利にする。
目先の安い方を取るのであれば、「変動」ということで、あとは個人で判断していくしかないと思います。
賃貸の家賃“必ず上がる”ワケ
熊崎キャスター:
ローンを組んでいない人もいますが、加谷珪一さんによると「賃貸マンションの家賃も必ず上がる」そうです。
経済評論家 加谷珪一さん:
都内では、家賃がかなり上がっています。
マンションを所有している不動産ファンドや大家にしてみると、銀行からお金を借りて、その物件を買っているので、金利が上がると、金利をより支払わなければいけなく、コストがいっぱいかかるわけです。
最近は不動産価格そのものが高騰しているので、物件の取得に高い金額を要するわけで、今までと同じ家賃だと採算が合わなくなるので、契約更新のタイミングで、1割くらい上がっているケースも都内ではあると思います。
井上キャスター:
家賃は上がっているところが多いと思いますが、人口は減っていくので、そんなに上がり続けないだろうとも言えますよね。
経済評論家 加谷珪一さん:
全体からすると余っているんです。
ただ、都内の便利なところは、まだ物件が足りないということなので、場所によって状況は変わってくると思います。どこに住むのかで、かなり違ってくるのではないでしょうか。
駅が近くて利便性が高いところは、これからも物件の価格も上がるでしょうし、家賃も上がる傾向は続くと思います。
井上キャスター:
「駅近」はよく言われますよね。
経済評論家 加谷珪一さん:
人口が減少してくると、なおさら人は便利な場所に集まってくるんですよね。分散にはならなく、集中になってきます。そういう意味では駅近物件は普遍じゃないでしょうか。
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<プロフィール>
加谷珪一 さん
経済評論家 元日経BP記者
著書に「貧乏国ニッポン」
中央省庁などへのコンサルティング業務も
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