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石破総理が“触れなかった”こと 「選択的夫婦別姓の導入」「アジア版NATOの創設」演説で表明しなかった事情と心情【news23】

総合
2024-10-05 15:24

「嘘つき」「約束を守れ」ヤジで大荒れとなった石破総理の所信表明演説。総裁選で訴えていた「アジア版NATOの創設」や「選択的夫婦別姓の導入」などは演説に盛り込まれませんでした。“裏金議員”の公認についても以前、「厳正に判断されるべき」と語っていた石破総理ですが、自民党は裏金事件に関わった議員も次の選挙で公認する方向で調整に入っています。なぜこんな事態になっているのか…、長年、石破氏を取材する“番記者”に、総理の“胸の内”を聞きます。


【写真で見る】麻生氏と菅氏が隣り合わせ 石破総理の演説を聞く2人の表情


政策“お蔵入り”でヤジの嵐 「稀にみるスカスカ演説」

一議員として、笑顔で本会議場に入った岸田前総理。総裁選で石破総理と戦った高市前経済安保担当大臣。その高市氏を決選投票で支持した麻生最高顧問。裏金事件で閣僚や党の役職を追われた旧安倍派の元幹部たち。それぞれの議員が、それぞれの思いで見つめる中、石破総理の初めての所信表明演説が始まりました。


石破茂 総理
「まずは政治資金問題などをめぐり、国民の政治不信を招いた事態について深い反省とともに触れねばなりません。(なんで裏金議員公認するんだ!)政治資金収支報告書への不記載の問題についてはまず、(予算委員会やりましょう!)問題を指摘された議員一人一人と改めて向き合い、反省を求め、ルールを守る倫理観の確立に全力を挙げます」


冒頭、裏金問題に触れ、“収支報告書への不記載があった議員一人ひとりに反省を求める”としました。不記載のあった議員は衆参あわせて82人います。(自民党の調査より 3月時点)


つづいて外交・安全保障。


石破茂 総理
「グローバルサウスとの関係強化や軍縮不拡散、気候変動など地球規模課題への取り組みを進めてまいります。(アジア版NATOはどこいったんだ!)普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます(地位協定!)」


石破総理は総裁選中、アジア版NATOの創設や、日米地位協定の改定に言及していましたが、今回は触れませんでした。


社会保障については...


石破茂 総理
「今の時代に合った社会保障へと転換し、多様な人生のあり方、多様な人生の選択肢を実現できる柔軟な制度設計を行います(選択的夫婦別姓制度はどうなってるんですか!)」


自民党内で慎重論も多い選択的夫婦別姓制度。総裁選の出馬会見で、石破総理は。


石破茂 総理
「選択的に姓を選べるというのは私はあるべきだと思っている」


しかし、今回の演説では触れませんでした。総裁選中に主張していたことにほとんど触れない石破総理に対し、ヤジも激しくなります。


石破茂 総理
「政治は国民を信じているのでしょうか。どうせわかってもらえない、そのうち忘れるだろうなどとは思っていないでしょうか。国民を信じない政治が国民の皆様に信じてもらえるわけがありません。勇気と真心をもって真実を語り(うそつきー!)国民の皆様の(うそつきー!)納得と共感を得られる政治を実践することにより、政治に対する信頼を取り戻し、(うそつきー!)日本の未来を創り、日本の未来を守り抜く決意です」


34分に及んだ演説に野党は…


立憲民主党 野田佳彦 代表
「近代稀にみるスカスカの所信表明。見事に言行不一致を示している。政治に対する信頼を本当に失墜させる」


日本維新の会 馬場伸幸 代表
「ないない尽くしの所信表明演説。総理総裁になった途端に以前おっしゃっていたことは全てお蔵入りさせてしまった」


共産党 田村智子 委員長
「ここまで自民党政治が劣化しているかというほどの中身の無さだった」


“裏金議員”を「原則公認」へ 10月27日の解散総選挙

演説終了後、議場に残り真剣な表情で話し込んでいたのは小泉進次郎選対委員長と木原誠二選対委員長代行。自民党の選挙対策を担う二人です。


10月27日に予定されている衆議院選挙。複数の関係者によると、裏金事件にかかわった議員について、議員本人が再発防止策を提出するなど、一定の条件を満たせば、原則公認する方向で調整されているということです。


裏金議員の公認について石破総理は以前...


石破茂 総理
「自由民主党として、責任をもって有権者の方々にお願いできるかどうか。厳正に判断されるべき」


改めて問われた石破総理は…


石破茂 総理
「そのような報道を拝見しました。それについては何も決まっておりません」


Q.旧安倍派幹部にヒアリングするか?
「必要であればしたいと思っている。現時点で決まっているということはない」


“裏金議員”原則公認へ ナゼ? 比例重複も容認?

喜入友浩キャスター:
まず次の選挙についてです。
自民党は裏金問題に関わった議員について、原則公認する方向で調整しているということです。また、比例との重複立候補も認めることを検討しています。


そうなると、仮に選挙区で有権者が「ノー」を示し落選したとしても、比例で拾われると、民意との隔たりが生まれるわけです。


上村彩子キャスター:
裏金議員の公認、重複立候補も認めると、石破総理の言っている“納得と共感”とはかけ離れているようにも思えるんですが…


TBS政治部 官邸キャップ 中島哲平 記者:
国民感情からしたら、裏金に関わった議員を公認するのはちょっと違うのではないかと、もっと厳しい対応を求めてほしいという声が大半だと思います。一方、自民党内では一度決まった処分を、もう一度やり直すのはルール違反ではないかという話があります。石破総理自身、ルールを守ることを大事にしている政治家ではあるので、一度決まった処分に関しては覆すべきではないのではないかという思いを持っているようです。ただ、それで国民が納得すると思ってはいないのも重々わかっているので、この週末、どのような形だったら国民の理解をある程度得られるのかを党幹部と話し合いをするようです。


喜入キャスター:
石破総理の本心としてはどう考えているんでしょうか?


中島哲平 記者:
石破総理としては、ある程度国民の納得を得るためには厳しい処分をしなければいけないという思いは持っていると思うのですが、党内運営を考えていったときに、安倍派の議員を厳しく処分しすぎると、今後の政権運営にも影響が出てきてしまうと考えます。
また、安倍派にも優秀な議員は多いので、今後政権を運営していく上で、どうしても力を借りなければいけない場面も出てくると思います。県連や地元の声も総合的に判断して、今後の公認や比例の重複を検討していきたいのだと思います。


石破カラーどこに?「出すと党内怒る」

上村キャスター:
せめて重複の立候補を認めなければ、選挙でしっかりと民意が反映されると思うのですが、グラデーションを付けることはなかなか難しいのですか。


中島哲平 記者:
それぞれ議員によって裏金の金額や、どれだけ説明してきたのかも違います。どの選挙区なら重複立候補を認める・認めないという線引きは、なかなか難しい部分はあると思うのですが、これまで説明責任を負ってきた部分などを見ながら最終的な判断をするのだと思います。


喜入キャスター:
国民と党内、両方見ながら進めている感じが否めないのですが、党内にもやはり無視できない声があるということです。今回の所信表明演説では、総裁選で訴えていたことを語りませんでしたが、一体どういうことなのでしょうか。


中島哲平 記者:
アジア版NATOの創設や日米地位協定は、石破総理がずっと訴えてきたことではあるのですが、党内であまり議論されてきている話ではありません。そのため、党内のコンセンサスが取れていないものを、総理の立場として政府の方針を説明できないということだと思います。
選択的夫婦別姓の導入に関しては、自民党総裁選でかなり活発な議論はされたのですが、総裁選の候補の間でも導入すべき・慎重であるべきと、かなり意見が分かれていました。それを強引に石破総理の考えだけで表明するのも良くないだろうということで今回は控えたのだと思います。


上村キャスター:
石破総理は心の中ではどんなことを思っているのでしょうか。10月1日、野党との挨拶でこんなやり取りがありました。


教育無償化を実現する会 前原誠司 代表
「石破カラーを出して頑張ってください」


石破茂 総理
「出したらぶったたかれる」


教育無償化を実現する会 前原誠司 代表
「あんまり本音を言わないように」


石破茂 総理
「出すと国民は喜ぶ。党内は怒る」


上村キャスター:
ぽろっと本音が出てしまった感じもしましたが、総理になると今まで言っていた正論はなかなか通らなくなってしまうものなのでしょうか。


中島哲平 記者:
総理は自分の意見を言うだけではなく、党内や政府の声を代表して話すところがあるので、正論だけではいかないのではないでしょうか。マルとバツ、白黒のその間の落としどころをつけることが政治というところもあるので、なかなか自分の思いだけを語るわけにはいかないのだと思います。


上村キャスター:
長く取材をしてきた中島記者から見ると、総理になった石破氏はどのように見えますか。


中島哲平 記者:
演説で話している時の勢いが少し弱まっているなと感じます。就任会見でも普段は前を向いて話すのですが、伏し目がちになっていたりと、すごく慎重に話している印象を受けました。


==========
<プロフィール>

中島哲平 記者
TBS政治部 官邸キャップ
石破総理が出馬した総裁選を3度取材


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