2024年11月20日はコアラが初めて一般公開されてから40年。東京、名古屋、鹿児島と3つの動物園で同時公開となりました。コアラのかわいさに日本中が夢中になり、一大コアラブームが巻き起こりました。(アーカイブマネジメント部 萩原喬子)
【画像で見る】「コアラのマーチ」発売当初のパッケージ、初代12種の絵柄
1984年10月 VIP待遇でやってきたコアラ
コアラが初めて日本にやってきたのは1984年(昭和59年)10月25日。午前6時すぎ、無事に成田空港に到着したオスのコアラ6頭。日本とオーストラリアの友好の証としてやってきました。その後、名古屋、鹿児島へはチャーター便で、また東京の多摩動物公園にはパトカー先導のワゴン車でそれぞれ出発しました。多摩動物公園にはコアラを一目見ようとたくさんの人や報道陣が集まりました。
1984年11月20日 3園同時に一般公開
コアラが一般公開されたのは1984年11月20日。2頭ずつ送られた、東京の多摩動物公園、名古屋の東山動植物園、鹿児島の平川動物公園の3園で同時公開となりました。徹夜組や早朝組もいるなど平日の火曜日にもかかわらず行列ができ、3つの動物園で合わせて約1万9000人がコアラと対面しました。
大ヒットお菓子も誕生
今も愛されるロングセラー商品「コアラのマーチ」が誕生したのも1984年でした。オーストラリアからコアラが初来日するというニュースが入り、コアラが明るく楽しくマーチングバンドを組んで日本にやってくるイメージで作られたそうです。さらに箱にもこだわりがあり、コアラが大好きなユーカリの木をイメージして六角形の箱になっています。
コアラってそもそもこんな動物なんです。
オーストラリアの先住民の言葉で「コアラ」は「水を飲まない」という意味です。その名の通り、口にするのはユーカリのみで、ほとんど水も飲まないそうです。実はユーカリの葉には毒が含まれていて栄養価が低いので他の動物はあまり食べません。コアラの場合は長い盲腸があり、時間をかけて分解する微生物を持っています。ただユーカリの消化にかかる時間は約100時間。なのでコアラは1日に18時間~20時間寝たり休んだりしているのです。
高齢化、草食系男子…激減するコアラ界に現れた救世主「モモジ」
最初6頭でスタートした日本でのコアラ飼育でしたが、初来日の翌年(1985年)にはメス7頭が来日。1年後には東山動植物園で国内初の赤ちゃんが誕生し順調に繁殖をしていました。しかしピーク時(1997年)には95頭いたコアラも2000年頃から飼育数が目に見えて減少。2013年には40頭まで減ってしまったのです。減少してきた理由として高齢出産や近親婚で子どもが母コアラの袋の中にいる間に死んでしまったり、さらに相手を慎重に選ぶコアラ特有のペアリングの難しさが影響しているといいます。
そんな中、注目されたのが神戸市立王子動物園にいたピンク色の鼻が特徴のオスのモモジ。草食系男子が多い中、飼育員によると「モモジはオスらしいオスで、本当にタイミングを見てうまくメスに近寄って交尾に至るという堂々としたコアラ」とのこと。実際に他の動物園に出張し、各地のメスとの間に子どもを残しました。
ピンチはオーストラリアでも…そして現在、日本でコアラが見られるのは?
コアラは野生ではオーストラリアのみに生息しています。そのオーストラリアでも近年、異常気象、森林伐採、山火事などによってユーカリの林が激減し、コアラの個体数が減っています。2022年に絶滅危惧種になりました。現在、日本でコアラが見られるのは7園54頭。ぜひ節目の年にコアラを見に行ってみてはいかがでしょうか?
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