毎年恒例の大掃除の季節がやってきました。掃除に欠かせないのがスポンジですが、「細菌の温床」 と言われることも…。スポンジを清潔に保つためには何が必要なのでしょうか? 漂白剤による殺菌や天日干しなどをよく耳にしますが、どうすればスポンジは清潔に保たれるのか。スポンジの出番が増えるこの季節に、スポンジもつくっている化学メーカーの担当者に役立つ知識を聞きました。
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どうしてスポンジの菌が増えるの? 細菌が増える仕組みを解説
そもそもなぜスポンジの中で細菌が増えるのでしょうか。その仕組みがわかることで正しいスポンジの管理につながるはず。すると細菌の繁殖には3つの要素があることが見えてきました。
──そもそもどういった仕組みで、スポンジが細菌の温床になってしまうのでしょうか。菌が繁殖しやすい条件はあるのでしょうか。
スリーエム ジャパンの(技術)担当者
「『栄養源』と『水分』ですね。あとは『適温』という、この3つが関わっています。適温というのは菌が繁殖しやすい温度帯であって、例えば30℃から35℃などという温度帯ですね。この3つが揃うと、細菌の増殖が促されることになります」
──いま適温の例として、30℃から35℃というのを挙げられましたが、これは細菌によって変わってくるんでしょうか?
「そうですね、菌によって変わってきますね」
では「水分・適温・栄養」、この3要素はどのように取り除けばよいのでしょうか。
──先ほどの3要素を取り除くためにどのような管理をしたらいいのでしょうか?
「基本はしっかり汚れを落として、すすぐ、そして水を切る。風通しのよいところで、水分を断つというところが大事になります。風通しのよいところにスポンジを立てて置いておくと、より水分を切りやすいです。スポンジも設置面積を少なく、立てて置くことがポイントになってきます」
天日干し?熱湯?漂白剤? スポンジをより衛生的に保つには
──水分を断つという点では、天日干しなどもよく聞きます。どのような効果があるのでしょうか。
「天日干しに関しては、スポンジが紫外線の影響などで劣化する可能性があります。なので天日干しよりは、風通しのよい、直射日光が当たらない場所で保管するのがいいと思います」
やはりスポンジの使用後は、水分がたまりやすい環境を避けるというのがポイントです。スポンジをラックで管理する際なども、スポンジ同士が接することを避けたうえで(風通しをよくするため)、ラック自体に水がたまりやすい環境になっていないか、確認するとよいといいます。
ただ、そうした日々の管理だけで十分に衛生環境を保つことができているのか、不安な方も多いのではないでしょうか。
──他にもスポンジを殺菌する方法として、熱湯を使うことが効果的という話も聞いたことがあります。
「家庭用で販売してるものに関しては、しっかり熱湯消毒をするとより効果が見られます」
──具体的にどれくらいの温度のことを指すのでしょうか。
「耐熱性のあるボウルにスポンジを置いて、そこに90℃くらいに沸かしたお湯を注ぎ、5分ほど浸します。5分以上経ったらこのスポンジを取り出します。そのままにしておくと水分が残っていて、かつ適温になってしまうので、取り出した後は冷水ですすぐのがいいですね。そしてしっかり水を切って、風通しのいいところで保管すると。
数ある方法の中で推奨するとすれば、この熱湯消毒を家庭用のスポンジに対してはおすすめしたいですね」
90℃程度の熱湯に5分ほど浸すのが最も効果的と話す担当者。その上でこれも頻繁に言われている漂白剤による殺菌効果についても確認してみました。
──漂白剤を使うとスポンジの殺菌効果があるということも聞いたことがあります。
「漂白剤を使うことで効果はありますが、家庭用のスポンジだとスポンジの劣化に繋がってしまいます。基本的には、(スポンジの)『使用上の注意書き』に使用しないとあるものは、使用を控えてもらうのがいいと思います」
天日干しや漂白剤をすすめられない理由として、スポンジの劣化が挙げられていることからも、細菌繁殖を防ぐためにはスポンジの劣化を促進させない管理を心がけることも大切な要素になりそうです。
また、そもそもの「栄養」をあらかじめ少なくするために、スポンジを使う前に汚れのついた食器や調理器具を水やペーパーなどで「予洗い」することも効果的だと担当者は話します。
いつ交換したらいいの? ずっと使うわけにはいかないスポンジ
だんだんスポンジの日々の正しい管理方法がわかってきました。しかしいつまでも使うわけにもいかないのがスポンジ。そこでおすすめの交換時期についても深掘りしました。
──ここまで触れてきた管理をしたうえで、どれくらいの頻度でスポンジを交換するのがよいのでしょうか。
「使用環境にもよりますが、目安としては3週間から1か月くらいを推奨しています」
──それは基本的に毎日スポンジを使用するという前提でということですか。
「そうですね。ただ、例えばものすごい汚れのあるものを洗ったとか、スポンジの汚れがひどく目立つとか、臭いがすごくするといった場合は、その推奨期間を待たずに交換することをおすすめします」
──スポンジにもいろいろな材質のものがありますが、細菌の繁殖を抑えやすい材質のものなどはあるのでしょうか。
「菌の増殖の抑制効果という点では抗菌剤入りのスポンジが効果はあります。ただ抗菌と書いてあっても、全ての菌の増殖抑制を保証するものではないですし、抗菌と書いてあるから何もしなくても大丈夫というわけではないですね。なので基本はやはり汚れを落として、すすいで、水を切って保管というのがベストです」
スポンジ使用の推奨期間はあるものの、「このスポンジの汚れ、ほんとに大丈夫?」「この黒ずみが気になるな」と思った時は交換の時期としていいかもしれません。
シンクと食器を同じスポンジで洗うのはNG?
最後に年末年始の大掃除に関連して、スポンジの使い回しについても聞いてみました。
──特に掃除すべきものが多い年末、シンクと、お皿やコップを洗うスポンジをその都度変えるのを億劫に感じる人もいると思います。同じスポンジを使うことはやはり避けた方がいいでしょうか?
「できれば分けていただいた方が良いですね。衛生的な面もありますし、汚れ落としという点でも、シンクは使い古したスポンジを最後に使い切る(場所)というような話もあるので。そうすると例えば毛玉ができてしまっているスポンジを使って汚れを落とそうとすると、やはり効率も悪くなってしまいます」
またシンク自体の掃除については、「シンクには色々な汚れが溜まってくるのでこまめに掃除した方が結果的には楽に汚れを落としやすい」とのこと。
みなさんも新しい年を迎える前に、スポンジも気持ちよくリセットしてみては?
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