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「総理のクーデター」物価高や給食費より追及逃れ優先か なぜいま解散?高市総理が憧れる“安倍流”の影【報道特集】

国内
2026-01-17 21:00

高市総理が就任わずか3か月で衆議院の解散を決め、影響が大きく広がっています。物価高対策や悪化する日中関係への対応が求められるなか、なぜいま、このタイミングなのでしょうか。


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突然の“解散劇”の舞台裏 最大野党・立憲民主と公明党で「中道改革連合」を立ち上げ

1月14日、高市総理は官邸に与党幹部を呼び、衆議院解散の意向を伝えた。


――(解散は)23日の通常国会冒頭か?


高市総理
「通常国会の早い時期ということで話したと思う」


高市総理は19日(月)に会見を開き、解散について正式に説明する。


ジャーナリストの後藤謙次氏は、突然の“解散劇”の舞台裏をこうみる。


ジャーナリスト 後藤謙次氏
「これまで『抜き打ち解散』というのは、野党側に対して出し抜く解散。ところが今回は、自民党の幹部にも連絡しない。総理のクーデターという要素が非常に強い」
「今回は『麻生外し解散』という面もあるのではないか」


後藤氏によると、今回の解散は“高市総理誕生”の立役者となった麻生副総裁や鈴木幹事長にさえ、「根回し」がなかったという。


高市総理の決断の背景には「高い支持率」があるとみられるが、後藤氏はその危うさを指摘する。


ジャーナリスト 後藤謙次氏
「この政権は『バルーン政権』だと。気球にヘリウムガスが入っている限りは高く上っている。高市さんの場合は、気球の空気が抜けてしまった後に柱が何もない。非常に強そうに見えて、危うい政権だと思う」


いま、自民党の内部では、選挙戦に向けて不安の声も上がっているという。


ジャーナリスト 後藤謙次氏
「公明党頼りだった人たちは、いきなり自分の足元が崩されてしまう。『何でこんな強引なことをしたのだ』と当然、不満が出てくる」
「きちんとした後援会組織を持った(自民党)議員の方が圧倒的に少ない。全く戦略がないまま(選挙戦に)突入するのではないか」
「『不信・不安・不思議』、この3つの『不』が自民党の空気を反映している」


一方16日、最大野党の立憲民主党と公明党が「政界再編を目指す」として、新党「中道改革連合」を立ち上げた。


立憲民主党 野田佳彦代表
「右にも左にも傾かず対立点はあるかもしれないが、熟議を通して『解』を見出していく」


公明党 斉藤鉄夫代表
「我々は具体的な財源も示しながら、例えば消費税の軽減税率もしっかり引き下げていく」


高市総理はなぜ、このタイミングでの解散にこだわったのか。


日中関係でレアアースに影響か 懸念する企業「高市さんに何とかしてもらわないと」

高市総理の台湾有事をめぐる発言をきっかけに、悪化する日中関係。経済界から強い懸念が出ている。


ニトリHD 似鳥昭雄会長
「ものすごく心配しています。早く日本政府が手を打ってほしい」


日本商工会議所 小林健会頭
「日本経済全体の問題として捉えていかないといけない」


1月6日、中国は軍事転用の可能性がある品目について、日本への輸出を禁止すると発表した。


影響が心配されているのがレアアースだ。民生用にも不可欠で幅広く利用され、7割以上を中国からの輸入に頼っている。


ジャーナリストの後藤謙次氏は、高市総理が解散を選んだ背景をこう指摘する。


ジャーナリスト 後藤謙次氏
「一番大きいのは日中関係。日本の産業の命綱であるレアアースに中国側の輸出制限が入ってきた。これが国会で追及される。厳しい予算委員会を想像しただけで、自分にとっては不利な状況になると」


中国から輸入したレアアースを磁石に加工している「姫路電子」。


姫路電子 網嶋重昭社長
「これが中国から入ってきた状態。磁石になる前のもの」


用途に応じて、中国で加工したレアアースに専用の装置で一気に電流を流すと⋯


村瀬健介キャスター
「今の1発で?もう磁石になっている?」


レアアースを使った磁石の特徴は、強い磁力だ。小型化や高性能化にも適していて、スマートフォンや自動車、医療機器など幅広い製品に欠かせない。


網嶋重昭社長は、この先レアアースを輸入できなくなるのではないかと心配している。


姫路電子 網嶋重昭社長
「3分の1ぐらいしか入ってこない。全部止まっているわけじゃないけど非常に少ない。2か月ぐらいの在庫はあるが、その後どうなるかわからない」


材料の入荷が減ったため、工場の稼働率を6割程度に落としているという。


村瀬キャスター
「経営的にはかなり打撃が大きい?」


姫路電子 網嶋重昭社長
「今のところ在庫があるから、在庫で調整しているから。将来的には問題だね。2~3か月後には影響してくるだろう」


中国依存から脱却するため、南鳥島沖で日本独自のレアアースを調達しようとする動きもあるが…


姫路電子 網嶋重昭社長
「それ何年先?4~5年はかかるでしょ?何とも我々しようがないからな。高市さんに何とかしてもらわないとしょうがない」


村瀬キャスター
「日中関係どうしてほしい?」

姫路電子 網嶋重昭社長
「そりゃ元に戻して欲しいですよ」


突然の解散で… 4月からの給食無償化はどうなる?

物価高対策に最優先で取り組む、と繰り返し強調してきた高市総理。


高市総理(12月17日)
「物価高への対応を最優先に果敢に働いてまいりました」
「目の前でもうやらなきゃいけないことが山ほど控えておりますので、解散については考えている暇がございません」


高市総理(1月5日)
「国民の皆様に高市内閣の物価高対策、経済対策の効果を実感いただくことが大切です。こうした目の前の課題に、懸命に取り組んでいるところでございます」


ところが突然の解散で、国民生活に直結する来年度予算の年度内成立が困難とみられている。物価高対策も遅れる懸念が出ている。


立憲民主党 安住淳幹事長(14日)
「言葉では物価高に対応すると言いながら、予算を止めてまで選挙する人にそれを言う資格はありませんから」


この予算案には、4月からの公立小学校の給食費無償化も含まれている。高市総理も強い意欲を示していた。


高市総理(12月12日)
「必ず(2026年)4月から、小学校段階で実施できるよう頑張って参りたい」


しかし、突然の解散により、これも予定通り実施できるか不透明な状況になっている。

長野県佐久市で、給食費無償化を求める署名活動をしてきた小学生の保護者らに話を聞いた。


――給食費はいくらぐらい払っている?


小学生の親
「5000円ちょっとを月々、引き落としの形式で払ってます」

保育園児の親
「月々その金額を払うのは、すごい痛いなと思います」

小学生と中学生の親
「少ない自分の家計の中で、その分のお金をどこに割り振ろうかな(と考えた)」

小学生の親
「もっと違うところで、習い事に行かせてあげられてないものがあるので、そういう方にかけられたらありがたいなと思いました」


市の担当者も困惑し、「無償化には年間5億円が必要で市単独では難しい。『実施するか検討中』としか言えない」としている。


小学生の親
「『ようやくですね』と言ったのに…あれあれあれと元に戻っちゃった」

小学生と中学生の親
「え、戻るの?」

保育園児の親
「いや、まだ決定してない」

小学生と中学生の親
「でもこのドキドキだめだよね」

保育園児の親
「自民党が自己中な解散と、私はちょっと思ってます」


“酷寒の選挙”で準備に追われる自治体 札幌市民も「やっちゃいけない時期」 

自治体は対応に奔走している。


2月4日の開幕に向け、“さっぽろ雪まつり”の準備に追われる札幌市。市の選挙管理委員会には一週間前、ある通知が届いた。


札幌市選挙管理委員会事務局 中克尋選挙課長
「総務省の方から2月8日投開票、あるいは15日投開票の案が浮上しているので準備を進めておく必要があるという通知」


──こうした通知は初めて?
「私が見るのは初めて」


27日の公示となれば、あと10日しかない。


中選挙課長
「準備期間を含めて(投開票日まで)1か月を切るのは相当タイト。遅い時は日付を越えるまで残ったりして準備を進めている」


2月の解散総選挙は36年ぶり。札幌市は世界有数の豪雪都市だ。2025年の参院選では、ポスターの掲示板を2000か所あまり設置したが…


中選挙課長
「2月の方が雪が多い」


──ポスターが隠れるほど雪が積もる?
「そういった事を考えていかなければ」

──この時期の選挙は大変ですね
「大変ですね、やったことないので分からないが」


真冬の選挙について、札幌市民は…


札幌市民
「やっちゃいけない時期。豪雪地帯なんてとんでもない話」

札幌市民
「交通の便が悪くなったり止まったりしたら、(投票に)行けない人がいるかもしれない」


2月は受験シーズンまっただ中でもある。選挙権を持つ18歳の受験生は…


受験生(18)
「その頃、大学入試の2次試験がある。多分いけない」

受験生(18)
「適当には投票したくない。もう少し余裕がある時だと嬉しい」


年度末解散に疑問の声 千葉県知事「憲法上、設計されていたことなのか議論は必要」

他の自治体からも、年度末の特に忙しい時期の解散に疑問の声が上がっている。千葉県の熊谷俊人知事は…


千葉県 熊谷俊人知事
「この前、総選挙やったばっかりじゃないかというような気持ちは正直ある。年度末というのが行政としては一番忙しい時期。予算の議会もある、最も多忙な時期に加えて、今まさに高市政権の物価高対策、これに基づく地方交付金が来て、それを私達は『年度内に実施してください』もしくは昨年末に『予算案を補正予算化してください』と、みんなが今一斉にこの物価高対策を市民に届けるべく、作業を急ピッチで行っているところに、今回の解散と選挙事務ですから、本当に関わってる職員のことを思うといたたまれない気持ちになる」


熊谷知事は、総理の意向一つでいつでも自由に解散できる仕組みについても見直す必要があると話す。


日下部正樹キャスター
「総理なり、与党が自由に解散できる制度は、権力の乱用というとらわれ方をすることが多々あります」


千葉県 熊谷俊人知事
「与党に極めて有利な仕組みであるということ、頻繁に選挙が行われることによって国会議員が常に選挙を意識して支持率が下がるけれども、やらなければならない決断を先送りにして、政策が短期的な思考になる危険性をはらんでいるというところが問題点としてある。

自民党政権の中でこれが総理の専権事項なんだということを、一生懸命広報をして、それを当たり前のように国民が受け止めているが、本当にそれは憲法上、設計されていたことなのかという議論は絶対必要」


総理の専権事項だとして、解散を繰り返してきたのが安倍元総理だ。


高市総理の“解散” 安倍氏の手法に影響か? 専門家「悪しき慣習が定着してしまった」

安倍総理(当時)
「この解散はアベノミクス解散であります」


2014年11月、当時の安倍総理は突然、衆議院を解散した。実はこの1か月前、2人の閣僚が同じ日に辞任。野党は“疑惑隠し”だと批判した。


さらに3年後…


安倍総理(当時)
「この解散は国難突破解散であります」


少子高齢化、北朝鮮の脅威などへの対応を理由に解散。「大義なき解散」との声に加え、“森友・加計”問題の追及から逃れるためではないかとの批判も浴びた。


だが、2014年、2017年、いずれの選挙も与党が3分の2以上の議席を得て圧勝に終わった。


後藤謙次氏は、こうした安倍氏の手法に高市総理は影響を受けたのではないかと話す。


ジャーナリスト 後藤謙次氏
「選挙というものを自分の政権運営、権力維持に最も有効に利用したのが安倍さんだと思います。それを間近で見ていた高市さんは安倍さんの手法に今も憧れているのではないか。この手法が高市さんにはたぶん眩しく、まぶたの裏に焼き付いているのではないか」


解散は総理の専権事項だと解釈する根拠は、憲法第7条だ。天皇の国事行為の一つとして、内閣の助言と承認により衆議院を解散することと定められているが、総理の専権事項だとは書かれていない。


世界各国の議会制度に詳しい小堀眞裕教授によると、OECD加盟国のうち解散権のある国は日本を含めて20あるというが…


立命館大学(比較政治)小堀眞裕教授
「恣意的な解散をガンガン行ってきた国があまりない。裏をかいて解散をするやり方は本当に日本だけ」


村瀬キャスター
「裁量的な解散権というのは、国際的に見ると珍しいということ?」


立命館大学(比較政治)小堀教授
「裁量があってもあまり行使しない国が多い。例えばヨーロッパの国々で言うと、いくつかの政党がだいたい同じぐらいの勢力で構成する連立政権みたいな場合が多い。他の政党にしても『驚く』と。『そんなこと聞いていない』ということになるので、日本みたいな解散は行われてこなかった」


ジャーナリスト 後藤謙次氏
「憲法7条解散というのは、ずっと違憲の疑いを指摘する学説も当然存在するわけです。だけど権力を持っていると、それが使えるのだということで、恣意的に今回のような解散権行使を許してしまう。極めて悪しき慣習が日本で定着をしてしまった」


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