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変わる“高市流”情報発信 内閣広報予算の概算要求額“10倍”に 政府広報と“プロパガンダ”の境界線は?【報道特集】

国内
2026-10-24 20:01

高市政権発足から1年。今、政府の広報戦略が大きく変わろうとしています。


変わる“高市流”情報発信 内閣広報予算の概算要求額“10倍”に 政府広報と“プロパガンダ”の境界線は?


内閣広報室の来年度の概算要求額は今年度予算の“10倍”に。
大きく膨らむ予算で何を行おうとしているのでしょうか。


「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を…」G7首脳オンライン会合に総理不在のワケ

高市総理
「今日から高市内閣2年目の挑戦が始まります」


10月21日、政権発足から1年を迎えた高市総理。今後の外交課題について問われると。


高市総理
「一連の外交機会をとらえて各国との連携を深めて、国際社会の共通課題に一致して立ち向かっていく、そういう機運を高めて参りたい」


ちょうど1年前の就任会見では。


高市総理(2025年10月21日)
「日本の国益を守るため、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻します」


しかし今月、その外交姿勢が国会で追及された。


立憲民主党 辻元清美 参院議員(16日・参院予算委員会)
「総理自らの判断で、世界の端っこに隅っこに追いやられるんじゃないかって心配してるんですよ。出るべきだったんじゃないですか」


ことの発端は、10月2日に開かれたG7首脳らによるオンライン会合だ。議題はディーゼル価格高騰への対応などについてだった。

アメリカのトランプ大統領はカメラをオフにしていたが、各国首脳らが参加。しかし、その中に高市総理の姿はなかった。


G7会合欠席「業者が間に合わない」と説明も…過去Xで「通信環境整備されてる」

高市総理が欠席した、G7首脳によるオンライン会合。

代理出席したのは遠藤和也外務審議官。G7の調整を担う「シェルパ」と呼ばれるいわば黒子役だ。


これに疑問の声が上がると、高市総理はXにこう投稿した。


高市総理のX(10月5日投稿)
「この会議は、議長国のフランスが当日直前に急遽設定したもので、代理出席が認められていました。バーナム英国首相は欠席・代理出席となり、コスタ欧州理事会議長も欠席されたと聞いています」


EU当局によると、コスタ議長は日程上の都合で欠席したが、フォンデアライエン委員長が出席したとしている。イギリスのバーナム首相の欠席は父親の葬儀のためで、閣僚であるミリバンド外相が代理で出席した。

高市総理の投稿には、欠席理由は書かれていない。


立憲民主党 辻元清美 参院議員(参院予算委員会・16日)
「なぜこのオンライン会議を欠席したんですか」


高市総理
「外務省の判断もありましたけれども、日本から総理が出席するといった類のものでもなく、代理出席も認められているということでございました。私自身も出席を検討しましたが、開催時間が9時半になるのか。他国の首脳の都合もあり、夜中の3時半になるのか。直前までわからなかった。大変混乱した日でございました」


G7会合当日、高市総理は午後6時半ごろから自民党の麻生副総裁らと公邸で会食。午後7時45分には終了したという。

高市総理が欠席したG7会合は、午後9時半から約30分間行われた。


辻元 参院議員
「この日は公邸にいらっしゃったんですか」


高市総理
「公邸におりました。この会議を代理出席にするか、私自身が『必要であれば出る』と申しておりましたけども、議題がアメリカとヨーロッパの間の問題。代理出席で良しという話を受けました。オンライン会議はできます。しかし、いろんな回線の接続設定のために、業者を呼ばなければなりません。それには時間が間に合わないということもありました。私は夜この時間帯、公邸で所信表明演説を書いておりました」


「業者が間に合わない」と説明したが、8月には公邸についてXにこんな投稿も。


高市総理のX(8月22日投稿)
「海外要人とのリモート会議、公的行事のメッセージ収録、総理秘書官達との打合せを行える大小の会議室や通信環境も整備されています」


元外務事務次官の薮中三十二氏は高市総理の説明について、こう指摘する。


元外務事務次官 薮中三十二氏
「各国がみんな出ているわけだから、それなりの調整をしている。日本の時間で9時半。やりやすい時間になっているなという感じ」


かつて、G8サミットの現場で小泉元総理の“シェルパ”を務めた薮中氏。「黒子役が首脳の代わりを務めることはできない」と話す。


元外務事務次官 薮中三十二氏
「今回、決してアメリカとEUだけの問題ではなかった。しかも、何が起きるか分からない。首脳が集まっている時は。首脳がその場所で『自分はこう考える』ということをやる。何があっても対応できるというのが首脳。シェルパが会合で堂々と、首脳の間に立って話をするなんて、聞いたことないし見たことない」
「世界の中心で咲き誇るのであれば、世界の問題について、日本としての関心を持って、日本の考えを言うことは絶対に必要」


首脳外交での発信の場を自ら欠席した形の高市総理。一方で、国内外への情報発信の強化に前年度比“10倍”もの予算が要求された。


低迷する国会出席率にSNSでの“一方的”な発言 野党「民主主義のあり方を軽視している」

政権発足から1年。高市総理が情報発信の手段として多用しているのがSNSだ。


高市総理
「SNSでの発信にも、国民の皆さまの情報収集手段としての重要性が高まっているということ。特に総理大臣就任以降は、できる限りではありますけれども、毎日、主にXで政策に関するものも含め、全然そうじゃないこともありますが、発信を行うようにしております」


この1年間で、自身のXに投稿した数は850回を超えた。

21日の夜には、プログラミング言語「PHP」に重大な欠陥が見つかった問題で異例の注意を呼びかけた。


高市総理(栃木・2月6日)
「もうとにかく私の大事な簗ちゃん、私の知恵袋の簗ちゃん。いなかったら大変、本当に大変です」


一方で、農水大臣に抜擢した簗氏の疑惑が報じられた9月末以降、高市総理は自身のXに65回を超える投稿。だが、簗氏の問題や辞任についてはまったく触れていない。


SNSで一方的な発信を続ける高市総理。野党からは。


立憲民主党 蓮舫 参院議員(7月17日・参院予算委員会)
「まず総理、国会への出席はお嫌ですか」

高市総理
「嫌ではございません」

蓮舫 参院議員
「総理の予算集中審議への出席率が、歴代総理と比べるとはるかに低水準。何でこんなに少ないのでしょうか」

高市総理
「国会の運営は、国会でお決めいただくことでございます。呼ばれたら、お伺いしているということでございます」


高市総理の国会への出席は、野党が強く要求するが、歴代の総理と比べても短い時間だ。高市総理の情報発信について、野党はどう見ているのか。


――高市総理の国会出席時間が短い現状、記者に答える機会が少ないという指摘については?


民主改革の会 小川淳也代表(23日)
「SNSは一つの情報ツールとして大事な時代だとは思いますが、(SNSは)自らにとって主張したいこと、好都合なことを一方的に発信する場。

記者会見や国会の場というのは逆です。不都合な問いにいかほど真摯に向き合うか。否定的な声や意見にどう真摯に向き合うか。それこそが、民主主義のあり方や政治に対する信頼の根源。

これを軽視していると受け取られかねない姿勢。極めて問題である、政治指導者として。そういう思いを持っています」


広報予算“10倍要求” 使い道は…若い世代にも届く広報?

情報発信のあり方が問われている高市政権だが、さらに多額の予算を投じて政策のPRを推し進めようとしている。


その一つ、内閣広報室の2027年度予算の概算要求額は72億円にのぼった。2026年度の約7億円から10倍以上の大幅な増額となる。


立憲民主党 田名部匡代 幹事長(8日・参院本会議)
「現在の広報に何が不足をし、なぜこれほどの増額が必要なのか」


高市総理
「幅広い世代に関心を持ってもらえるような多彩な動画を作成、直接発信するなど、政府広報のあり方も変化に合わせて改革していく必要がある」


高市総理「個人」の発信とは異なり、「内閣広報室」が運用しているのが首相官邸SNSだ。日々の官房長官会見や、総理の動静。災害時には、政府の対応をライブ配信で伝えている。


熊本地震 被災者(首相官邸Xより)
「とにかく地域の消防団の動きが早かったです」
「災害に遭った人の支援をしっかりお願いします。もうそれだけです。」

高市総理(首相官邸Xより)
「令和8年熊本地震で、お亡くなりになられた方々に、哀悼の誠を捧げますとともに、謹んでご遺族の皆様にお悔み申し上げます」


中には、総理の視察などを短くまとめる動画も。これらは、内閣広報室の職員自らが編集を行うという。

9月には、成長投資分野の現場を紹介する動画も公開した。ツッコミやナレーションも職員の声によるものだという。


若い世代にも届く広報へと幅を広げる中、民間に委託する形での動画制作もはじめている。


その先行例は、タレントを起用し生徒役の若者や高齢者などとやりとりしながら、政府の掲げる「骨太の方針」をアピールする25分の動画である。


この動画に出演している元自民党衆院議員の杉村太蔵氏。出演のオファーは内閣広報室から直接あり、動画の狙いをこう説明されたという。


杉村太蔵氏
「『今までの霞が関は、省庁のHPに(情報を)置いておけば終了でした。これからは、政策を多くの国民に知ってもらう努力をしなきゃいけない。特に10代、20代の若い方々に決まった政策をいかに伝えていくか。そういったテスト版として作りたい』と。

向こう(内閣広報室)から、『申し訳ないんですけど、ギャラが出せません』と言われました。交通費も出ませんでした」


杉村氏の発言に台本はなく、アドリブだったという。内閣広報室は、ほかの出演者に関しては打ち合わせの上、最終的に委託先の会社側が選定したとしている。


【首相官邸Youtube動画】
先生役のタレント
「就職考えてる人、成長戦略の中にある分野に就職すれば、そこから伸びてくる」
杉村太蔵氏
「大人になっていく過程で、骨太の方針、読んでみたくなりましたか?」
生徒役の若者
「希望が出てきた」
「17の戦略分野、勉強してみます」


――(動画を)見ていて気になったのは、生徒役の皆さんが、何となく作り物感を感じてしまいます

杉村太蔵氏

「おっしゃることはよく分かります。見ていて、いかにも用意されたサクラなんですよ。プロパガンダ的な色彩が強くならないようにした方が、国民の皆さんもすっと入ると思います。洗脳されているのではないかと、警戒しますよね。

そんな疑念を持たれる動画に出演することも、タレントとしては最悪じゃないですか。次に続かなくなるので、そこも職員に全部言いました」


官邸のSNSなどを活用した重要政策の広報のため、
2026年度は、こうした動画制作やその効果の測定に、既に合わせて3億3000万円以上が投じられた。

要求が通れば、2027年度はこの予算が約59億円へと増大することになる。


「国民を誘導する意図あればプロパガンダになりうる」政権PR動画への懸念

――税金を使った政権のPRにならないか。こうした懸念をどう解消していく考えか?

木原稔 官房長官
(23日)
「あくまで政策広報として、経済政策や安全保障政策など、国民の皆様の生活に直結する重要政策等について、しっかりと伝わる広報をしていくことは極めて重要であります」


かつて大手広告代理店で、政府の広報も手掛けた経験を持つ桜美林大学の西山准教授は、金額そのものよりも、広報予算がどのように使われるのか、それが問題だと指摘する。


桜美林大学 西山守 准教授
「もちろん重要な政策、例えば地震、災害が起きていて避難しましょうというようなことであれば、広報だとお金を注ぎ込んでも広報だということはできると思うんですけど、何らかの意図、国民を誘導するために出したのであれば、それは広告というか宣伝というか、プロパガンダになるという可能性もありうる」


さらに問題視するのが、演出が加わった政府の動画がネット上に溢れ、無意識の内に視聴されることだという。


桜美林大学 西山守 准教授
「プロの民間に委託すると、面白く理解してもらおうという演出が入る。そこに大量のお金が今後、投入されて、多くの人が目にするようになったとき、あまり政策や政治に興味がない人、政策に詳しくない若い人たち、興味がない人が面白い動画見ていたら、実は高市政権のアピールだったということであれば、それは世論操作ではないか、プロパガンダではないか、ということになるかもしれない」


西山氏は、インターネット上の政府広報のルールが明確でないことを問題視する。 


桜美林大学 西山守 准教授
「民主的なインターネット空間が、独裁的なものになりかねない。それが元々は国民の税金だったという話になると、大きな問題になる」


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