「アメリカの関税措置に物申す!」日本から向かった赤沢大臣の前に現れたのは、トランプ大統領本人でした。今回の交渉は「成功」と言えるのでしょうか?
【写真を見る】「めちゃくちゃ疲れていた」交渉後の赤沢大臣の様子
交渉役・赤沢亮正経済再生担当大臣はどんな人?
井上貴博キャスター:
世界の先陣を切って日本が交渉のテーブルにつきました。1回目の関税交渉はうまくいったのか、どう評価すべきなのでしょうか。
まず、赤沢亮正経済再生担当大臣についてです。東京大学法学部卒業後、運輸省に入省します。官僚を経て、米国コーネル大学でMBAを取得。2005年に初当選し、2024年に初めて大臣のポストにつきました。
鳥取2区選出で、趣味を尋ねられると「石破茂」と答えるほど、自称“石破マニア”として有名です。
石破総理も自分の最側近になるので、この重責を任せたということがいえるかもしれません。
急遽、トランプ大統領との会談に…関税交渉はうまくいった?
井上キャスター:
そして、最も驚きをもって報じられたのが、最初は閣僚同士の会談予定だったのが、赤沢大臣が飛行機で移動中に「私も交渉に出席する」と、トランプ大統領との会談が設定されたことです。これはトランプ大統領らしい、ある種のサプライズだったのかもしれません。
その後行われた会談ですが、本来であれば財務省で設定されていましたが、急遽、大統領執務室で50分間の会談が設けられました。
いつもであれば、メディア戦略が上手なトランプ大統領なので、会談をフルオープンしてもいいものですが、今回はオープンにされませんでした。これはいつもと違う点かもしれません。
会談でトランプ大統領は「日本が最優先」と話し、赤沢大臣は「大統領はあたたかい方だった」と話しました。
ほどなくして、内閣官房のホームページで2枚の新たな写真が公表されました。1枚は大統領執務室でトランプ大統領と会い対峙する赤沢大臣の姿があります。
そしてもう1枚は、この会談後、ホワイトハウスの別の部屋での写真だと思われます。今度は閣僚級の会合ということで、参加人数が増え、日本側、アメリカ側、そして資料がテーブルの上に置かれ、アメリカの赤い帽子も写真に収められています。
今回の交渉をどう見るべきなのでしょうか。
赤沢大臣の担当記者によると、赤沢大臣の様子について「想定外の事態に対処できて、ひとまずホッとした様子だった」といいます。ただし、「めちゃくちゃ疲れていました」とも話していました。
赤沢大臣自身は今回の関税交渉について、記者から「点数をつけると?」と聞かれると、「両国の国益を満たすものが出来上がらないと意味がありませんので…」と、今点数をつけるべきじゃないと冷静な答弁をしました。
そして、TBS報道局の政治部デスクによると、今回の関税交渉は「初回三者凡退におさえた」といいます。
トランプ大統領の思惑や狙いは?
井上キャスター:
世界の先陣を切って日本が交渉のテーブルに立ったことは世界中が注目しています。一つのひな形を作るために、トランプ大統領もある程度急いでいるとも感じましたが、樫元さんは今回の会談をどのようにみていますか?
JNNワシントン支局長 樫元照幸さん:
今回まさに世界が注目する交渉だったと思いますが、いくつか見えてきたことがありました。
トランプ大統領は、やはりSNSで発信をして、「まずアメリカが主導権を握るんだ」ということを強くアピールし、強気に出ると外にアピールした形でしたが、実際に会談が始まると「割と温和な感じだった」と赤沢大臣も話していました。
どちらかというと、これは政治的なパフォーマンス、つまり「関税によってこんなことが起きてるんだ」、「日本がわざわざやってきて、成果を生むために交渉が始まったんだ」と強くアピールするというような思惑もあったと思います。
実際に会談結果を発表するということに関してアメリカ政府関係者に取材をしたところ、ホワイトハウスに一本化すると。
しかも、トゥルース・ソーシャルというトランプ大統領のSNSに一本化するということで、何が出てくるのか、どんな発表があるのかと注目をしていたら、笑顔のツーショット写真とともに「大きな進展があった」というふうに書き込んで発信をしたということです。
実際は、そんなに大きな進展という段階にはまだ来ていないと思います。ただ、トランプ大統領としては「大きな進展をした」ということを発信したいということで、関税の力などをアピールしたいということだと思います。
実際には、トランプ大統領が圧力をかけることで交渉を早く進めたいといった思惑も今回の会談からは感じ取れました。
出水麻衣キャスター:
今回のSNSでの発信を受けて、アメリカメディアはどんなふうに報じていますか。
樫元照幸さん:
こちらの時間で言うと、朝一に「私も出席する」という発信をしました。実はマーケットが開く前の時間だったので、この交渉は注目されていて、日中は結構、報道されていました。
ところが、夕方に会談が始まって以降、関連のニュースはほとんど取り上げられていないという感じです。
トランプ大統領の政治的なパフォーマンスの発信であるというところは、やはり大手メディアも見抜いているので、実務的なものが進んでいく、成果が出ていくのはまだ先だと冷静に見ているんだというふうに思います。
井上キャスター:
今回の会談内容は出てきていませんが、一致した部分としては、▼可能な限り早期に合意し、首脳間での発表を目指す、▼今月中に次回協議を実施すべく日程調整、▼閣僚・事務レベルで協議継続していくということです。
1回目の会談としてはかなり踏み込んだものになっているので、評価できるものになったのではないか、というふうに報じられているわけです。
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〈プロフィール〉
樫元 照幸
JNNワシントン支局長
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