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ノーベル賞に日本人2人 地道な研究を支えたものは? しかし基礎研究の現状に「危機感」も…【サンデーモーニング】

海外
2025-10-14 12:18

今回、ノーベル賞を受賞した坂口さんと北川さん。共に研究成果が認められない“不遇の時代”がありました。そんな中で、地道な研究を支えたものとは…


【写真で見る】ノーベル賞を受賞した「制御性T細胞」、「多孔性金属錯体」とは


相次ぐ日本人のノーベル賞受賞

大阪大学 坂口志文 特任教授(7日)
「(Q.奥さまにいまの気持ちを――)いつも感謝しております。これ言わないと怒られます」


妻 教子さん
「別に~」


ノーベル生理学・医学賞に選ばれた、大阪大学の坂口志文特任教授。「制御性T細胞」の発見が評価されました。


体に細菌やウイルスが侵入すると、免疫細胞が攻撃を始めますが、その免疫細胞をコントロールするのが「制御性T細胞」。


免疫細胞が誤って、正常な細胞に攻撃することで、アレルギーやリウマチなどが起きますが、「制御性T細胞」の働きを強めれば、これを抑えることが期待されます。


逆に「制御性T細胞」の働きを弱めれば、がん細胞に対する免疫が強くなり、がん治療につながることも期待されているのです。


大阪大学 坂口 特任教授(7日)
「現在、治療が難しいと思われている病気についても、解決策はあると。私は信じております」


京都大学・北川特別教授「勧誘の変な電話…かと思ったら」 ノーベル化学賞受賞

そして、坂口さんの受賞から2日後...


京都大学 北川進 特別教授(8日)
「最近、勧誘の変な電話がよくかかってくる。またかと思って、不機嫌にとったら、選考委員会の委員長と名乗られたので、びっくりした」


京都大学の北川進特別教授が、ノーベル化学賞を受賞。評価されたのは「多孔性金属錯体」の開発です。


これはナノサイズの微少の穴が無数にある、ジャングルジムのような構造を持った金属と有機物の複合体。その穴の中に、狙った気体の分子を吸着し貯蔵することができるもので、二酸化炭素などを吸着して、地球温暖化の防止に役立てることなどが期待されているのです。


“ノーベル賞”の背景にある「基礎研究」の重要性

研究の道のりは、平坦なものではありませんでした。1997年に、アメリカの学会で発表した際には...


京都大学 北川 特別教授(8日)
「『そんなの本当か?』という感じで、非常に叩かれました。いっぱい叩かれて、ダメだと叩かれて、暑いところで、涙か汗か分からない経験をしました」


「お前は嘘つきだ」とまで言い放たれたといいます。それでも諦めず研究を続けた結果、20年近くを経て、「多孔性金属錯体」によって、果物や野菜の腐敗を進める「エチレン」を吸着し、鮮度を保つ製品も発売されました。


一方、坂口さんも...


大阪大学 坂口 特任教授(7日)
「アメリカで、このまま人気のない研究テーマで、いつまで続けられるかと。そろそろ日本へ帰るべきではないかと」


今から40年ほど前、存在が否定されつつあった「免疫反応を抑える細胞」について、独自の研究結果を発表しましたが、ほとんど相手にされなかったといいます。


それでも10年ほど研究を続け、「制御性T細胞」は学界で認められる成果となったのです。


“不遇の時代”から共同研究者として支え続けた、妻・教子さんは...


共同研究者・妻 教子さん(7日)
「長い間苦労してやってきたのが、この形になってよかった」


長年の「基礎研究」が実ったノーベル賞。地道な努力に加え、成功の背景にあったものについては...


大阪大学 坂口 特任教授(6日)
「非常にラッキーなことに、ひとつ財団の奨学金が当たりました。8年間の長い奨学金でしたから、じっくり研究できた」


京都大学 北川 特別教授(8日)
「基礎的な研究経費っていうのは、それなりにありました。研究がうまくいかなくても、続けていける。そういう精神的安定がありました。私はよい環境に恵まれていたなと、非常に痛感しています」


ノーベル賞につながる研究を支えた環境は、若い世代に引き継いでいけるのでしょうか。


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