緊迫が続く中東情勢。イランによるホルムズ海峡の封鎖で、再び“オイルショック”もありうるのでしょうか?国内ではガソリン価格が1リットル30円値上がりした店も出るなど、その影響が私たちの暮らしを直撃しています。
【写真を見る】一部地域ではすでに1リットル200円超…利用客からは悲鳴
ホルムズ海峡 事実上の封鎖状態 日本への影響は?
激しい炎を上げるタンカー。
イラクの国営通信は12日、ペルシャ湾のイラク沖で石油タンカー2隻が攻撃を受けたと報じました。乗組員1人が死亡、38人が救助されたということです。
ロイター通信は、爆発物を積んだイランの小型船がタンカーに衝突したとみられると伝えています。
イランの革命防衛隊は11日、原油価格をめぐり次のように警告しました。
イラン革命防衛隊報道官
「米国とイスラエル、その支援者の石油は1リットルたりとものホルムズ海峡を通過させない」
「原油価格が1バレル200ドルを超えることを覚悟しろ」
事実上、封鎖状態となっているホルムズ海峡。その影響は日本のガソリン価格にも及んでいます。
12日夜、那覇市のガソリンスタンドでは…
記者
「閉店時間の午後8時を過ぎましたが、給油を持つ車の列はまだ途切れません」
取材した店では、レギュラーガソリンの価格が1リットル150円でしたが、閉店後に張り替えた看板の価格は180円。一気に30円の値上げです。
12日から、大幅な値上がりが全国で起きています。
利用客
「きょう上がったんですか?これ?きのう入れておけばよかった。名古屋に帰るので、もう入れなきゃいけなくて」
一部地域ではすでに1リットル200円超 利用客からは悲鳴
なぜ、各地のガソリンスタンドで大幅な値上がりが起きているのでしょうか?
石油元売り最大手のENEOSは、ガソリンの卸値を「1リットルあたり26円値上げする」と系列の給油所に通知していました。
中和石油 小原隆宏 取締役本部長
「26円仕入れが上がったんですけど、2円60銭、消費税がある。2円分だけ足させて28円にしている」
政府は、国民の負担を軽減するため、3月19日の出荷分からガソリン補助金の導入を決定。
ガソリン価格が170円を超えた分については全額補助する方針です。
ただ、すでに200円を超えたところもあります。
石川県珠洲市にあるガソリンスタンドでは、1リットル29円上がり201円に跳ね上がりました。
利用客
「どうしようもない、トランプが悪いでしょ。あんなことするから」
利用客
「腰が不自由だからこれ(車)なかったらどこにもいけません。でもきつくても仕方ない」
奥能登地区は輸送コストがかかるため、燃料価格がもともと高い地域です。その中での値上げに販売店は。
協和石油販売 能登地区総括 須藤一彦さん
「去年の11月から国の補助金で燃料価格も落ち着いてきたが、本当に一気に上がって、うちとしては申し訳ない気持ちはありますけど」
というのも、能登半島地震と豪雨に見舞われた被災地ではいまも復興の途中です。
協和石油販売 能登地区総括 須藤一彦さん
「珠洲はまだ地震の復興関係の業者の方がたくさん来店していただいていますし、私たちの使命としては油を切らさないというのが一番。それだけはないようにしていきたいなと」
しかし、石油をめぐる状況は、さらに厳しさを増しています。
ホルムズ海峡に”海の地雷”?「10万トンタンカーも沈められる」
イギリス海事当局は、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が始まって以来、ペルシャ湾とホルムズ海峡周辺での船舶への攻撃が16件に上ったと明らかにしました。
さらに新たな問題も…
「イランがホルムズ海峡に機雷の敷設を始めた」(※CNN テレビ10日・米情報機関の話として)
”海の地雷”ともいわれる機雷は、どのくらいの脅威になるのか。
海底の重りに繋がれた状態で浮遊する「係維機雷」。そして、海底で音響や水圧を感知して爆破し、特に破壊力が大きいとされる「沈底機雷」などがあります。
その威力について、ペルシャ湾で機雷の国際掃海訓練の指揮官を務めた河上氏は。
元海上自衛隊 海将補 河上康博氏
「沈底機雷は自分が爆発する以外に、バブルという大きな気泡ができる。それが押し上げの力でドーンと衝撃を与える。”ジェット気流”として衝撃を与えるので、10万トンタンカーも沈めることができるし、日本のイージス艦も沈めることができます。」
「(Q.一般の商船は対策しようがない?)対策しようがないと思います」
民間の船は機雷を捜索できないため、その存在は大きな脅威に。さらに、専門の部隊でも処分作業は命がけになります。
元海上自衛隊 海将補 河上康博氏
「(Q.機雷を処理するのは大変?)いろんな方法があるが、いつ爆発するかわからない機雷にあえて近づいて処分する。大きなリスクを冒しながら処分することになる」
1991年に自衛隊が参加した作業では…
記者
「日本から1万3000キロ、ペルシャ湾の奥深く、クウェートの沖合で自衛隊の掃海作業が行われています」
隊員は海中を泳いで、機雷を確認。
イラクによるクウェート侵攻の際にも機雷は敷設され、その数は約1200個にのぼったということです。また、機雷は長い年月が経っても海に残る可能性があります。
2023年の福岡県・北九州市の沖合で処理された機雷は、太平洋戦争中に米軍が投下したものとみられています。
ホルムズ海峡の機雷除去 自衛隊が派遣される可能性は?
今回、イランが敷設したという機雷についてトランプ大統領は、
米・トランプ大統領
「我々は彼らの機雷敷設艦のほとんどを一晩で排除した。撃破した艦はすでに60隻に達している」
「(Q.ホルムズ海峡に機雷はあるか)ないとみている」
アメリカ中央軍は、ホルムズ海峡周辺で機雷敷設艦16隻を含むイラン海軍の艦艇を攻撃したとして、映像を公開。
しかし、CNNによると機雷は数日で十数個が敷設され、今後さらに数百個の敷設が可能だということです。
2025年にイランの国営テレビが公開した映像には、地下施設とされる場所に機雷とみられるものがずらりと並ぶ様子が映っていました。
今後、ホルムズ海峡の機雷除去のために自衛隊が派遣されることはあるのでしょうか。
12日の国会で、高市総理は。
中道改革連合 吉田宣弘 衆院議員
「米軍から機雷の掃海をお願いされるというようなことがあるとすれば、それは存立危機事態になってくるが、そういったことがあり得るかどうか」
高市早苗 総理
「機雷などの除去のために、事前準備として、例えば自衛隊のアセット(装備品など)を近傍に展開するというようなことは想定できません」
「遺棄された機雷の除去の場合は武力行使に当たらない」としましたが、どの時点で遺棄された機雷となるのか「予測するのは現実的に極めて困難だ」と述べました。
トランプ氏「戦って、戦って、戦い抜く」イランへの攻撃続けると強調
一方、イランへの攻撃の手を緩めないアメリカ。
米・トランプ大統領
「早々と撤収するわけにはいかないだろう。任務を完遂しなければならない」
トランプ氏は作戦を最後まで続け、イランの核兵器開発を「完全に終わらせなければならない」と強調しました。
米・トランプ大統領
「戦って、戦って、戦い抜く。勝って、勝って、勝つぞ」
こうした中、2月28日、イラン南部の小学校で女子児童ら175人が死亡した爆撃について、新たな情報が。
「イランの小学校への攻撃はアメリカ軍によるものだ」とする軍の予備調査の結果が出たとニューヨークタイムズが報じました。
学校は、イランの革命防衛隊の基地の跡地に建てられていて、アメリカ軍が古いデータをもとに攻撃目標を立てたため、標的設定に誤りが生じたとしています。
また、ニューヨークタイムズはこのように指摘しています。
「ここ数十年で最もひどい軍事的な過ちの一つだ」(3月11日・ニューヨークタイムズ)
この攻撃についてこれまで「イランの仕業だ」などと主張していたトランプ氏は…
――イランの小学校の爆撃は、軍の調査でアメリカの攻撃だと判明した
米・トランプ大統領
「私はその件を知らない」
ユニセフ=国連児童基金は声明を発表し、攻撃が開始された2月28日以降、イランなど中東で1100人を超える子どもが死亡、または負傷したとの報告を明らかにしました。
イランが報復で “アメリカ本土を攻撃の恐れ”
一方のイラン。アメリカへの報復として次のような情報も。
「イランが報復としてカリフォルニア州をドローンで攻撃する可能性がある」(3月11日・ロイター)
これはFBI=連邦捜査局が、地元警察に警告していたとして11日、アメリカメディアが伝えたものです。警告は2月末にアメリカがイランへの攻撃を開始した直後に出されたそうです。
では、イランはどのように攻撃するのか。
「イランはアメリカ本土の沖にある国籍不明の船舶から無人機を用いた奇襲攻撃を行うおそれがある」(3月11日・ABCニュース)
標的については“カリフォルニア州の未特定の場所”とされていたということです。(3月11日・ABCニュース)
別のメディアは関係者の話として、「警告はあくまで注意喚起で、イランによる実際の計画の兆候はない」と伝えています。(3月11日・LAタイムズ)
イランがアメリカ本土を攻撃する可能性について問われたトランプ氏は…
米・トランプ大統領
「調査中だが、我々に出来ることはその都度対応していくことだ」
新指導者モジタバ師 “ホルムズ海峡の封鎖を継続すべき”
小川彩佳キャスター:
ここで中継です。イランの隣国・イラクには増尾記者がいます。イランの新たな最高指導者が声明を出しましたけれども、これはどう捉えればいいんでしょうか?
中東支局長 増尾聡記者:
まずその内容ですが、基本的にはこれまでの路線を継続、踏襲していくよというのが強く打ち出されていました。大方の予想通りで、強硬路線をこのまま貫いていくということがわかります。
一方で私が一つ気になった点は、今回の声明が文書で発表されていたことです。前イラン最高指導者ハメネイ師は、重要な声明についてはビデオ演説形式など、直接自分の言葉で国民に語りかけるという形をとっていたんです。
今回のモジタバ師は、怪我をしていますので、その様子を映したくなかったのか。もしくは暗殺を恐れて身を隠している状況なのか、その真意についてはわかりません。
ただ、最高指導者としての姿をまだ国民に示せていないというのは気になる点で、今後様々な憶測を呼んでくるポイントにもなるのかと思います。
藤森祥平キャスター:
声明の内容を見てみますと、ホルムズ海峡については今後も封鎖を継続すべきだとはっきり言いました。そもそもイランも、原油を産出する国ですので、自分たちも輸出しますよね。ホルムズ海峡を封鎖し続けることは、イランにとって良いことであり続けるんですか?
ホルムズ海峡は今後どうなる?
中東支局長 増尾記者:
そうですね。これについては興味深いデータが出ています。ロイター通信によると、イランは2月28日に衝突が始まって以降、1日に100万~150万バレルと、2025年の1日平均とほぼ同じ水準の原油を輸出することができているというデータが出てきているんです。
他国に対しては攻撃の脅威を与えることで、ホルムズ海峡の航行を阻止しながら、自国についてはそれができる状態を保っているということです。
アメリカも今のところ、イランの原油のタンカーなどを拿捕するといった措置はとっていません。そのため、今後もイランとしては、自国の原油を輸出しつつ、一方で世界の原油の輸出は止めて、市場を大きく混乱させるという戦略をとり続けることが可能であると思います。
小川キャスター:
可能な限り、そのカードを使い続けるということになるわけですね。
トランプ大統領 原油価格より「イラン核保有阻止」
藤森キャスター:
3月12日夜、アメリカ・トランプ大統領は自らのSNSに、「アメリカは世界最大の産油国だ。原油価格が上昇すれば、我々は大きな利益を得ることになる」と投稿しました。
その上で、「しかし大統領である私にとってより大きな関心と重要性を持つのは、邪悪な帝国イランが核兵器を保有し、中東と世界を破壊するのを阻止することだ」と述べて、原油価格よりもイランの核武装阻止の方が重要だという姿勢を強調したことになります。
アメリカへの報復として、ホルムズ海峡を事実上封鎖したイランを牽制する狙いがあるものとみられます。
小川キャスター:
牽制の応酬も見られるわけですよね。
伊沢拓司さん:
そうですね。アメリカとイスラエルからすると、もう少し早めに決着がつくのかなという見立てもあったのかなと思います。ただ、いずれにせよこういう事態になって長期化も可能性としてはあるのかなというところです。
小川キャスター:
終結が見えないですね。
ガソリン急騰 生活への影響は?
伊沢拓司さん:
そうなると、原油価格への影響が気になります。イランの民間船への攻撃というのは悪いことです。そうなることがある程度、見越された状況で、なお侵略を仕掛けたアメリカ・イスラエルの姿、そして今のトランプさんのコメント、普段のホワイトハウスのSNSのあまりにも幼稚な投稿を見ても、やはりどちらもこの戦争の引き金を引いてしまったということが言えるのかなと思います。
当たり前のことですけど、戦争・侵略というのは許されることではないということは絶対に強調しておきたいことですね。
我々への影響は、もちろんエネルギーの形でもありますから、どうにか収まってほしいなと思います。また、エネルギーも資源もですけど、あまりにも日本はグローバル化の恩恵を受けすぎている、影響からもう脱することはできない状態になっているわけです。
そのため、外交はその場の「憎し」ではなくて、より情勢を長期的に見た外交がとられることを僕は望みたいと思います。観光で長距離移動も増える時期ですから、原油価格が収まってほしいなと思っております。
小川キャスター:
そして何より本当に子供たちを含め、市民の方々が犠牲になり続けているという現状があるわけです。
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<プロフィール>
伊沢拓司さん
株式会社 QuizKnock CEO
クイズプレーヤーとして活躍中
・「インフルにかかる人・かからない人の違いは?」「医師はどう予防?」インフルエンザの疑問を専門家に聞く【ひるおび】
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