アメリカ・イラン協議、今回は合意とはなりませんでした。これを受け、トランプ大統領は「ホルムズ海峡の封鎖措置を開始する」と表明し、緊迫した情勢が続いています。
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トランプ大統領の次なる切り札
JNN中東支局長 増尾聡 記者:
11日・12日にパキスタンのイスラマバードで行われた、アメリカとイランの戦闘終結に向けた協議は21時間に及びましたが、合意には至りませんでした。
井上貴博キャスター:
これまでずっと溝があった両国が、一日話し合っただけでは合意に至るはずがないとも思います。しかし、協議のテーブルについたというのは歴史的に大きな一歩なのかもしれません。
協議は合意に至らず、トランプ大統領はまた次のカードを切りました。
アメリカ中央軍は、日本時間13日午後11時から、イランの海上を封鎖すると発表しました。どの国の船かは問わず、イランの港を出入りするすべての船舶が対象となります。
そもそも、ホルムズ海峡をイランが掌握していること自体が「国際法違反だ」と言われています。今度はイランではなく、アメリカが掌握するということのようです。
トランプ大統領は、「イランが好きな相手に石油を売って利益を得ることは許さない」としています。
現在イランは、ホルムズ海峡を掌握することで好きな相手に石油を売り、外貨を得ています。それを戦闘の資金にしているため、その資金源を絶ちたいというのがトランプ大統領の狙いです。しかし、そうなれば世界のエネルギー価格は爆発的に上昇することが考えられます。
「イランの海上を封鎖」その方法は?
井上キャスター:
そもそも「イランの海上を封鎖する」とはどういうことなのか。また、アメリカにそのような権限はあるのでしょうか。
JNN中東支局長 増尾聡 記者:
アメリカは、「イランの港に出入りする船舶の動きを止める」と言っています。
具体的にどう実行するのかという明確なプランは、まだわかっていません。しかし、方法はいくつか考えられます。
例えば、アメリカが軍艦を派遣し、イランの港に出入りする船に対して拿捕する。もしくは上空に戦闘機を飛ばして、心理的な圧力をかけることもできます。
最悪のシナリオは、イランの港を出入りする船に対して攻撃をすることも考えられます。
色々な手段がある中で、アメリカとしては「国際的な協力を得ながらやっていく」としていて、どのような形になるかはわかりませんが、いずれにせよ一つの大きなリスクになることは言い切れると思います。
井上キャスター:
イランの海上を封鎖することになると、世界に石油が行き渡らなくなり、エネルギー価格も上昇します。このリスクをどう取るのでしょうか。
慶應義塾大学教授 教育経済学者 中室牧子さん:
実は、原油価格はインフレに直結します。
そして、インフレ率が高くなると、各国の政権与党の支持率が下がるということを示した経済学の研究があります。
実際にウクライナで戦争が始まった後に、欧州の各国でインフレが生じましたが、軒並み政権与党の支持率が下がっています。
今回のようなことをきっかけに、アメリカ国内のトランプ政権の支持率が下がるというリスクも当然あります。中間選挙が近づいている中、トランプ大統領がこうした政策を長期にわたってとることは、考えにくいのではないかと思います。
イラン側が持つ「最強の交渉カード」
井上キャスター:
11日・12日に行われたアメリカとイランの協議は、大きく2つの問題で合意できなかったとされています。1つは「イランの核開発」、もう1つは「ホルムズ海峡」についてです。
「イランの核開発」について、アメリカ側は「ウラン濃縮」を今後は禁止すること、濃縮されたウランは国外へ搬出することを求めました。
これは、今まで何年も議論して全然折り合えなかったことですから、一日で合意できるはずはないのかもしれません。
「ホルムズ海峡」については、アメリカによる攻撃にイランが反発し、封鎖に踏み切ったことで生じた「最強の交渉カード」とも言えます。
軍事力で見ると、圧倒的にアメリカが勝ります。ただ今回の戦闘で、イランがホルムズ海峡を掌握していることがこれだけ大きなカードになるのだと、イラン側が改めて認識したとも言われています。
米国とイランによる協議の行方 考えられるシナリオは?
井上キャスター:
こうした中で、どのように交渉を行い、どこに着地点を見出せばよいのでしょうか。
JNN中東支局長 増尾聡 記者:
アメリカが行おうとしているイランの海上封鎖について補足すると、アメリカはあくまで「イランの港を通過する船に対して制限をとる」としていて、「ホルムズ海峡を通行しようとする船に対しては妨げない」と言っています。
つまり、アメリカ側はあくまでイランの原油輸送を狙い撃ちで制限しようとしています。
イランは戦闘後も、世界、特に中国に対して原油を輸送していたと言われています。この動き、(戦闘の)資金源を止めることが今回の狙いだと思います。
今後について、いまはアメリカもイランも双方が譲歩を求め合っているという状況です。お互いが最大限の条件を突きつけていて、あとはお互いがどこまで譲歩できるのかにかかっていると思います。
協議が続いて停戦が続いていくということが理想ではありますが、別のシナリオとして攻撃が再開されることも考えておかなければいけません。
今の停戦状態は、アメリカにとって非常に環境がよくありません。石油やガスといったエネルギー価格は上昇を続けています。協議でも見通しが立たなければ、アメリカは状況を打破するため、また攻撃に踏み切る可能性もあります。
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<プロフィール>
増尾聡
JNN中東支局長
イランやイスラエル・パレスチナなど中東各地を
中室牧子さん
慶應義塾大学教授 教育経済学者
教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」
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