ハンタウイルスの集団感染が疑われているクルーズ船。これまでに少なくとも8人が感染もしくは感染の疑いがあると明らかになっていて、WHO=世界保健機関は「さらに多くの症例が報告される可能性がある」と指摘しています。
【写真を見る】致死率は最大50% 「ハンタウイルス」感染経路は?
ハンタウイルス感染のクルーズ船、寄港予定の島では「反対デモ」も
日比麻音子キャスター:
現在、クルーズ船が向かっているのは、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島で、日本時間10日に到着する見通しです。現場には、7日から取材をしている加賀記者がいます。現地はどのような状況でしょうか?
JNNロンドン支局長 加賀千草 記者:
クルーズ船が到着する予定の港の近くに来ています。現地時間8日の昼ごろには、寄港に反対する人たちによるデモが予定されています。
また、テネリフェ島の地元議員や医療関係者、警察による合同会議が行われているという情報も入ってきています。カナリア諸島自治州政府は、クルーズ船は接岸せずに沖合で停泊する予定だと発表しています。
住民からは不安の声が聞かれる一方で、冷静に受け止めている人が多い印象です。
テネリフェ島の住民
「僕たちにはどうすることも出来ないけれど、ちょっと危険かもしれないね」
「もし立場が逆で、私がその船に乗っていたとしたら、(島で)良い医療を受けたいと思う」
JNNロンドン支局長 加賀千草 記者:
停泊するクルーズ船からどのように乗客を退避するかなどの具体的な話は、まだ上がってきていません。
日比キャスター:
このクルーズ船には日本人の乗客もいるとの情報がありますが、島に到着後の動きとしては、具体的にどのような情報が入っていますか?
JNNロンドン支局長 加賀千草 記者:
地元メディアも連日、特別番組を組んでオペレーションについて伝えるなど注目が集まっています。
一方で、この船の寄港の受け入れを表明した本国スペインのサンチェス政権と、住民への影響を懸念して反対しているカナリア諸島自治州政府との溝も依然として深まっていて、クルーズ船の寄港と乗客の退避が適切に行われるかなどに注目が集まっている状況です。
日比キャスター:
テネリフェ島は世界的に観光地としても人気の場所の一つだと思います。こういったニュースを受けて、島も状況はどうなのでしょうか。
そして、なぜこの島が寄港する場所として選ばれたのでしょうか。
JNNロンドン支局長 加賀千草 記者:
島の方々の収入源は観光業だと皆さん口をそろえて話しています。その中で、6~7年前に起きたコロナウイルスのパンデミックを経て、皆さん比較的、冷静にこの状況を受け止めています。
「政府が沖合で停泊させることに合意したので、それを信じて待ってみよう」という冷静な声が多く聞かれています。
なぜ、寄港する港としてテネリフェ島が選ばれたかという点については、テネリフェ島の港は市街地からかなり離れており、退避行動の際にも住民と接触する可能性はかなり低いという点が挙げられると思います。
致死率は最大50% 「アンデス株」の主な症状と潜伏期間は
日比キャスター:
南大西洋を航海していたクルーズ船で感染が相次いでいる「ハンタウイルス」。
WHO(=世界保健機関)は7日、これまで5人の感染が確認されていて、うち3人が死亡。ほかに3人に感染の疑いがあり、計8人となっています。他にも感染した人がいるのか、乗客乗員含めて調べが進められているそうです。
またAP通信によると、クルーズ船から南アフリカに移送された2人に「アンデス株」が確認されており、うちイギリス国籍の1人は、集中治療室で入院中だということです。
「アンデス株」というのは、ハンタウイルスの中で唯一、“ヒトヒト感染”の報告もある株となっています。
▼ハンタウイルス「アンデス株」とは(WHOによると)
・南米に生息するネズミなど一部のげっ歯類がもつウイルス
・排泄物や唾液などに接触すると感染すると報告されている
▼主な症状
・発熱や頭痛などの症状の後に、呼吸困難に
・致死率は最大50%
・潜伏期間は1~6週間ほど
(通常は2~4週間といわれている)
“ヒトヒト感染”の経路は?発症初期や重症化時のリスクにも注意
日比キャスター:
“ヒトヒト感染”はまれということですが、どういった経緯で感染するのでしょうか。
飛沫感染や接触感染などが感染経路となり、発症者と長時間過ごしたり、同じ部屋で寝るなどで感染したケースもあったそうです。
感染の時期について、大阪大学医学部の忽那賢志教授によると「症状が出始めた発症初期は感染リスクがとりわけ高くなる」といいます。
また、国際医療福祉大学市川総合病院の寺嶋毅医師によると「『ヒトヒト感染』はまれとされているが、発症初期や呼吸不全など重症化した時にも感染リスクが高まる」といいます。
コロナウイルスやインフルエンザのように、一般市民への感染拡大のリスクは低いということです。ハンタウイルス予防にはこのようなことが有効だといいます。
・マスクの着用
・なるべく肌を出さない
・アルコール消毒
(国際医療福祉大学市川総合病院の寺嶋毅医師によると)
国際情報誌 「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
これでパニックになる必要は全然ないと思います。“ヒトヒト感染”の可能性はありますが、極まれであると言われています。
医療従事者がきちんと防護服をつけて治療にあたれば、WHOも医療行為の間の感染も非常に可能性は低いと言っているので、今、心配しすぎる必要はないと思います。
ただ一方で、南米などにいると、ある種のげっ歯類に触れて噛まれたりすると感染する可能性があるので、海外旅行などの際は、行動に気をつけることがこれから一層大事になってくるだろうと思います。
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<プロフィール>
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BSーTBS「報道1930」ニュース解説
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