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米中トップ接近の一方で冷え込んだままの日中関係どうすべきか?「自分で置いてけぼり」と自民元重鎮の嘆き【報道特集】

海外
2026-05-16 20:49

中国で行われた米中首脳会談で浮かび上がったのは、距離を縮めるトランプ大統領・習近平国家主席の姿だ。一方、日中関係は冷え込んだ状態が続いている。長年、中国とのパイプ役を果たしてきた自民党の元重鎮からは、「自分で置いてけぼりを食うようにやっているように見える」との嘆きの声まであがる。その影響は観光地や石油化学製品を扱う企業にも及んでいる。ホルムズ海峡封鎖による影響が長期化する中、日本は隣国・中国とどのような関係を築いていくべきなのだろうか?


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米中「新たな関係構築に合意」も…台湾有事についてトランプ氏「言いたくない」

15日、米中の両首脳が訪れたのは、習近平国家主席の執務室がある中南海。トランプ大統領は、ごく限られた人物しか招かれない場所で、もてなしを受けた。


習近平 国家主席
「これまでに両国は新たな関係構築に合意した。それは建設的な戦略的安定関係だ」


その後の会見で、アメリカとの関係を重視すると繰り返した習主席だが、台湾問題については、14日の首脳会談でこう釘を刺したという。


習近平国家主席(中国外務省による)
「アメリカが処理を誤れば、衝突や対立に至り中米関係を極めて危険な境地に追い込むことになる」


中国訪問を終え、帰国の途についたトランプ大統領。大統領専用機の中で、報道陣の取材に答えた。


――戦闘が起きたら、アメリカは台湾を防衛するのか?
トランプ大統領
「それについては言いたくない。きょう習主席からその質問をされ、その話はしないと言った」 

――習主席は軍を送るのかと尋ねた?
「彼は台湾を防衛するのかと聞いてきた」

――台湾への武器売却については?
「近いうちに決断を下す」


アメリカとの距離を縮める中国。日本は、どう向き合うのか。


「明らかに国力の差が歴然としてきた」自民党元重鎮が語る日中関係

日中協会の会長を務め、中国とのパイプ役を果たしてきた自民党の野田毅元自治大臣。今回の首脳会談をどうみたのか。


野田毅 元自治大臣
「ひいき目にみても、トランプ氏の方が弱いですね。交渉の背景が。習近平氏にとってみれば、強い立場で余裕を持って対応できるということが明らかですね。戦略的な対応、戦術的な対応というのは習近平氏の方がカードがたくさんあるという風に見えます」


米中が接近する中で、野田氏が強い危機感を持ったのは、冷え込んだままの日中関係だ。


――日本はこのままじゃ置いてけぼりになってしまう?

野田毅 元自治大臣

「なってます。自分で置いてけぼり食うようにやってるように見えますよ。明らかに国力の差が歴然としてきた。 かつてのような日本の経済的な力はありません。日本も『中国がなくても大丈夫なようにしましょう』と言ったって、現実問題成り立つかい」


「数千万円単位のキャンセルに…」日中関係の冷え込みで観光地に影

日中関係の冷え込みは観光業にも影を落としている。人気観光地「忍野八海」には、団体で訪れる中国人観光客の姿はほとんどない。


周辺の店の店員
「中国の方は、1割も来てないと思います」
「問題があってというか、ニュース以降」


2025年11月、高市総理の台湾有事をめぐる発言で、日中関係に緊張が走った。


高市総理
「戦艦を使ってですね、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースであると、私は考えます」


中国政府は激しく反発。日本への渡航を控えるように呼びかけた。


日本政府観光局によると、渡航の自粛が呼びかけられた2025年11月以降、訪日中国人の数は激減。中国の「春節」に伴う大型連休を含む1月から3月を見ると、2025年の同じ時期と比べ、2026年は半数以下に減っている。


――店への影響は?

周辺の店の店員

「少なからずはあります。中国の方は、イカ焼きやタコ串とか、たくさん買ってくれる。せんべいも」


中国の団体客を中心に受け入れてきた宿泊施設は、大きな打撃を受けている。

富士山を一望できる景色が自慢のホテル。


富士山リゾートホテル 岩崎肇 総支配人
「8割、9割ぐらいは、中国のツアーで占めていたホテルでしたので」


渡航の自粛が呼びかけられると、中国人団体客のキャンセルが相次いだ。


富士山リゾートホテル 岩崎肇 総支配人
「キャンセル、キャンセル、キャンセルみたいな。(予約の)手配書ではなく、キャンセルの依頼書しか来ない。見るたびに愕然とする。数千万円単位のキャンセルになってしまった」


不足しているシンナー輸入できる可能性も…規制強化の影響

中国に活路を見出そうとしている会社がある。群馬県の塗料関連の専門商社「板通」。約450社に塗料用シンナーを販売している。


だが、倉庫を見せてもらうと…。


――本来であればシンナーはどれくらいまであった?


板通 岩崎敏彦 課長
「基本スペースがないぐらいまで。弊社がいくらオーダーを入れても、物が入ってこない状況が続いている。苦しい状況です」


原油から生成されるナフサを原料とするシンナー。ホルムズ海峡の封鎖によって、日本で供給不足を訴える声が相次いでいる。


1990年代から中国とのパイプを築いてきた板通、そこで…。


板通 板橋信行 社長
「中国の方が比較的、玉(シンナー)が多いということで、中国からが一番、輸入の観点からすると実現性が高い国だと思います」


中国は日本に比べれば余裕があり、シンナーを輸入できる可能性があるのだという。この日、上海にいる現地スタッフと、シンナー輸入の手続きを確認した。


板通 海外事業部 杉江真規 課長
「このフォーマットで中国の当局に申請するわけですよね」

板通 上海現地スタッフ
「はい、そうです」


2026年1月、中国政府は軍事転用の可能性がある品目について、日本への輸出規制を強化すると発表した。高市総理の台湾有事発言への対抗措置だ。その品目の中には、シンナーの主成分も含まれていると見られる。


2026年2月には、防衛関連を中心に、日本の20の企業・団体への輸出を禁止すると発表。板通がシンナーを輸入するには、それらとは関係ないことを証明する必要がある。全ての販売先に対し、署名と押印が求められている。 


板通 海外事業部 杉江真規課長
「この書類揃えれば、デュアルユース(軍民両用品目)に該当してても、絶対輸出できないってわけじゃないということ?」

板通 上海現地スタッフ
「そうですね。私も通関会社に確認しまして。軍事用に使わない、どういう用途で使っていると詳細を記入したうえで、最終的に何に使われて、どこの会社に販売しているのかを聞かれると思いますので」


――エンドユーザーも1社ではないですよね?

板通 上海現地スタッフ

「1社じゃない場合、全て記入する必要があります」

――日中関係の冷え込みから厳格化されているということは、肌感覚として感じますか?


板通 上海現地スタッフ
「中国のメーカーに『日本に輸出します』ということを伝えたら、『日本ですかー』ってちょっと戸惑うメーカーさんも中にはいました」


シンナーが届くまでには、手続きの時間も含めると約2か月かかると見ている。


板通 板橋信行 社長
「いつどうなるかが本当、誰も読めない状況なんで、原油が入って来ないとなった時には、やはり中国でカバーするという考え方はもう必要だと思う。日本と中国と韓国がもっと一体となって物を進めることができれば、ある意味世界にも貢献できるんじゃないか」


ホルムズ海峡封鎖のなか中国が輸出できるワケ

ホルムズ海峡封鎖の中、なぜ中国は輸出までできるのか。資源エネルギーが専門の和光大学の岩間剛一教授に聞いた。


和光大学 岩間剛一 教授
「中国は日本よりも遥かに石油の消費量は多いが、中国の石油生産量は米国、サウジアラビア、ロシアに次ぐような、もともと大産油国」


中国では、エチレンをはじめとする石油化学製品などの増産にも国策で取り組む一方、日本は生産を減らしてきたという。


和光大学 岩間剛一 教授
「(中国は)この10年間、エチレンの生産能力を大幅に増加させたので、供給過剰になって、安値で海外に大量に輸出する状況にある。それに対して日本の場合は、人口減少・少子高齢化で、石油化学の需要が縮小している。エチレンを作る生産設備も、どんどん縮小している状態にあった。そういうタイミングで、ホルムズ海峡の封鎖が起きたので、日本の場合は結局、石油化学製品に一部不足が出た」


エネルギー危機に直面するアジア…日中関係改善のチャンスとなるか

中国経済に詳しい津上俊哉氏は、中国も日本同様「備蓄」に力を入れてきたと話す。


日本国際問題研究所 津上俊哉 客員研究員
「世界最大の備蓄量を誇るぐらいの備蓄量があるので、石油に関してはそんなに心配してないと思う」


アメリカのエネルギー情報局によると、2025年12月時点での中国の石油備蓄量は約14億バレルとされる。量だけで見ればアメリカの3倍、日本の5倍だ。


かつて、通産省で中国を担当していた津上氏。当時、定期的に行われていた中国当局との協議についてこう振り返る。


日本国際問題研究所 津上俊哉 客員研究員
「1990年代から日本は石油備蓄の優等生だった。『石油備蓄は大切ですよ』という語りかけは、ずいぶん中国にしていた」

――備蓄の大切さを日本から学んだということか

日本国際問題研究所 津上俊哉 客員研究員

「日本が言わなくても、やっていたとは思いますけど、日本の石油ショック以降の国家備蓄は、良いお手本ではあったと思う」


5月2日、ベトナムで高市総理はこう呼びかけた。


高市早苗 総理
「アジアの国々の多くは、ホルムズ海峡を通過する湾岸諸国の原油に大きく依存している」
「日本・ASEANを含む地域のサプライチェーンを共に強化しなければならない」


インドネシアでは、燃料の高騰で漁に出られない無数の漁船が川に留まっていた。普段は、日本や中国向けに輸出する魚を水揚げしているという。


インドのモディ首相は5月10日、ガソリンなど燃料を節約するため、在宅勤務をするよう国民に呼びかけた。


アジア各国がエネルギー危機に直面する今こそ日中関係改善のチャンスでは、と津上氏は指摘する。


日本国際問題研究所 津上俊哉 客員研究員
「1997~98年にアジア金融危機があって、(アジアで)外貨の供給とか、協力メカニズムを作ろうと、日本と中国は中核的な役割を担った」
「日本政府から中国にアジアの、『エネルギー危機何とかしないといけない』『日中の協議をしたい』と申し入れできる間柄だったらいいなという気はします」

「今の日中関係は、ほとんど絶交状態。特に政府間は。『日本が前向きな協力の話を言ってきた』ということが一つのシグナルになって、凍りついた日中関係を打開するための一つのきっかけにはなるかもしれない」


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