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止まらぬ温暖化 軍事活動が生み出す「見えない排出」各国の「温室効果ガス」削減努力が無駄に・・戦争による環境破壊は”気候犯罪” 【サンデーモーニング・風を読む】

海外
2026-08-02 15:08

ヨーロッパ各地を襲っている熱波と山火事。背景にあるのは急速に進む気候変動です。その対策を一層困難なものとしてるのが、戦争がもたらす見えない犯罪です。


【写真で見る】軍事活動がもたらす“見えない排出”とは? 環境への深刻なダメージも


止まらぬ温暖化に「見えない排出」

巨大な壁と化した炎に、懸命に放水を続ける消防隊員。しかし、炎の勢いは衰えません。


フランス南西部で、発生した山火事。火はワイン産地として知られるボルドーに迫るなど拡大。消失面積はすでに東京都の半分(約11万ヘクタール)、避難住民は22万人以上に達します。


近隣住民
「本当に怖い。(山火事で)全てを失ってしまうんですから」


大規模な山火事は、隣国スペインでも猛威を振るい、首都マドリード近郊でも複数発生。背景にあるのが、6月以降、ヨーロッパを襲った記録的熱波。各地で極度に乾燥した状態が続いていました。


40°C超えが続くパリでは、エアコンを買い求める客が殺到。殴り合いも起きる事態に。


SNSの映像
「ケンカしてる、マジかよ」


猛暑に関連する死者は、ヨーロッパ全域で6月下旬からの1週間だけで、2万人以上に及ぶと見られています。この事態に、フランスのマクロン大統領は...


フランス マクロン大統領(7月27日)
「私たちは前例のない規模の火災に直面している。第2次大戦以降で最も厳しい状況だ」


こうした状況をもたらしたのが、急速に進む温暖化。しかし、その対策としてパリ協定で定められた、世界の気温上昇を1.5度までに抑えるという目標が、いま絶望的状況にあります。


温暖化をもたらす温室効果ガスの削減は、一筋縄ではいきません。専門家は、その一因として「見えない排出」があると指摘します。


京都大学名誉教授 地球環境戦略研究機関 松下和夫シニアフェロー
「現状では各国は国連に対して、軍事活動による排出量を報告する義務がない。アメリカなどが強く反対し、軍事機密であるから報告しなくてよいということで、ほとんどの国で報告していない。莫大な量の温室効果ガスが出てると思うが、データの上では“見えない排出”になっている」


各国の努力を無駄に 戦争がもたらす「気候犯罪」とは…

軍事活動が生み出す「見えない排出」。戦闘機や戦車を運用すれば、それだけで大量の温室効果ガスが排出され、実際の「戦争」ともなれば、その量は計り知れません。


それがいかに大きいかは、私たちが普段、省エネなどの努力で減らしている量と比べれば一目瞭然。日本が削減した温室効果ガスは年間約1900万トン。


これに対し、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃では、石油施設への空爆が続いたこともあり、排出量は戦闘開始から、わずか2週間で500万トンを越えたとされます。


一方、イスラエルによる戦闘が2年以上続いたガザ地区では、8割以上の建物が破壊される中、戦後復興分を含めると、排出量は3220万トン以上。


さらに4年に及ぶロシアによるウクライナ侵攻。空爆による森林火災などもあり、排出量は4年間で3億1000万トン以上。※IGGAW推計


日本の年間削減量(約1900万トン)の約16倍に及びます。戦争は、日本のみならず世界各国が続ける、地道な削減の努力をほとんど無駄にしているのです。


実は、軍隊を維持するだけで、地球全体の温室効果ガスの5.5%を排出しているとされ、戦争が起きれば、その「見えない」量はさらに膨れあがります。※CEOBS(紛争と環境観測所)調査


戦争がもたらす「気候犯罪」ともいえる状況。その戦争は、別の環境破壊も...


「国際的な環境犯罪」をICCの規定に 環境にも深刻なダメージ

さらに戦争は、温暖化に拍車をかけるだけでなく、環境に深刻なダメージを与えています。


例えば、ガザでは、破壊された建物から、アスベストや重金属といった有害物質が、飲み水に使われる地下水にまで拡散。子どもを中心に健康被害が生じています。


ガザ住民(7月)
「飲み水に適さないこともあるけど、生き延びるために飲むしかありません」


こうした環境破壊の防波堤として、国連は「ジェノサイド=集団虐殺」になぞらえ、「エコサイド=環境の大量破壊」を国際犯罪として確立する必要性を訴えました。


京都大学名誉教授 地球環境戦略研究機関 松下和夫シニアフェロー
「戦争による『環境破壊』『温室効果ガスの排出』を直接犯罪として追及する国際的な法制度はない。『国際的な環境犯罪』をICC(国際刑事裁判所)の規定に入れようという提案がされている。戦争による被害が最大の『エコサイド』。『気候犯罪』を明確にして、戦争の影響を見える化することは抑止力が生じる」


戦争がもたらす“見えない犯罪”に、改めて目を向けることが求められています。


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