今年は、終戦から81年となります。当時を知る人が少なくなるなかで、AIを使った「記憶の継承」が進められています。一方で、AIが歴史的事実を作り変えてしまう問題もあり、警戒の声があがっています。
記者
「ホロコーストの生存者の方が舞台の上にいます。実は本人ではなく、ホログラムの映像が映し出されています」
ドイツ西部にある歴史博物館で立体映像「ホログラム」として映し出されているのは、エファ・ヴァイルさん。ナチス・ドイツによって収容所に入れられ、生還した一人です。
今、本人は91歳で、大勢の前で証言することが難しくなりましたが、ホログラムにはAIが搭載されていて、会話をすることができます。
来館者
「アンネ・フランクを知っていましたか?」
「彼女は私より6歳年上でした。収容所で会ったことはありません」
AIは、答えを勝手に生成しているのではありません。3日間かけて収録した、200以上の想定質問に対するエファさんの回答から最適な答えを導き出しているのです。
「人を差別することは恐ろしいことです。思いやりを持ち、人間の心を忘れないでください」
ドルトムント工科大学の開発チーム ヨシュア・グロイドツキーさん
「多くの残虐行為がドイツで起きました。私たちには、彼らの経験を証言として永遠に伝えていく責任があります」
こうした「記憶の継承」にAIが活用される一方、歴史が作り変えられる危険性もでてきています。
ポーランドにあるアウシュビッツ強制収容所。ナチス・ドイツによって、ユダヤ人らおよそ110万人が犠牲になりました。
この場所での出来事だとして、SNS上で拡散された偽画像があります。“ガス室に続く列から女性が弟を救った”と紹介されていますが…
アウシュビッツ・ビルケナウ博物館 職員 パヴェル・サヴィツキさん
「残念ながら、これは存在しないものです。ランプの位置が違います。通常、反対側にあります。また、女性囚人の髪が切られていません。本来なら、(囚人は)切られています」
去年5月ごろからSNS上で増え始めたという、AIが作ったとみられるホロコーストの偽画像。投稿者に警告するなど対策に乗り出していますが、日々精巧なものに進化しているといいます。
アウシュビッツ・ビルケナウ博物館 職員 パヴェル・サヴィツキさん
「彼らの目的はお金です。多くの人が閲覧すれば、公開者は収益を得られるのです。今後、何が真実で何がうそか、見分けられなくなるでしょう」
日本に関しても、広島や長崎の偽画像が確認されていますが、規制が難しく、歯止めが利かない状況が続いています。
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