長嶋茂雄終身名誉監督が3日に死去したことを受け、ソフトバンクの王貞治球団会長（85）が都内で取材に応じた。憔悴した表情で報道陣の前に姿を現した王会長は「今朝連絡をもらいまして、“えっ”っていうのが最初の思いでした」と訃報を聞いた時の様子を語った。

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「（2004年に脳梗塞で倒れてから）ずっと戦っててきた長嶋さんの姿を見てるんで、とにかく本当に前向きな取り組みをしてですね、苦しいリハビリも率先してやってましたし。いろいろなことがあったんですけど、本当に全てを乗り越えるっていう姿勢を持って、退くっていうことのない、人生だったと思うんですね。常に前向きで素晴らしい。いつの間にか引き込まれてしまうというようなそういう人でした。ですから、長嶋さんだったらなんでも許してしまう」と時折、穏やかな表情で振り返った。

この日午後には長嶋さんを弔問。「全然変わらず静かに横たわってるかんじだった」と話し、「長嶋さんの89年の人生で・・・2004年ですかね。病で、なぜあれだけ世の中に尽くした人がああいう苦労を味わなきゃいけないのかというのが正直な私の気持ち」と言葉に詰まりながら語った。

長嶋さんと王会長は共に巨人の“V9時代”（65年～73年）、9年連続日本一に貢献し、2人の頭文字をとって『ON』コンビと呼ばれ、プロ野球の一時代を築いた。現役時代の思い出については「私は高校を出て（巨人に）入ったんですけど長嶋さんと同じ部屋にさせられて、私もどちらかというと、鈍い人間ですからあまり長嶋さんと同じ部屋にさせていただいたということを特別に思うことがなかった」と入団当時の思いを口にした。

「どこファンであろうが長嶋さんは特別な存在だった。野球の好きな人たちだけの世界から野球の関心のなかった人たちにも“長嶋打ったのかな”とかいうような時代に入った」と話し、盟友の長嶋さんにかけたい言葉は「“ありがとうございました”という言葉で全ては表せると思います」と力強く答えた。
 

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