E START

E START トップページ > ニュース > 国内 > 感染性胃腸炎“過去10年で最多” ノロウイルス「4つの感染経路」や予防法を専門家に聞く【ひるおび】

感染性胃腸炎“過去10年で最多” ノロウイルス「4つの感染経路」や予防法を専門家に聞く【ひるおび】

国内
2025-03-14 14:56

激しいおう吐や下痢などの症状があらわれる感染性胃腸炎が急増しています。
いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長によると、「3月になってもまだ増え続けているのはパターンとして異例」。
中でも猛威を振るうノロウイルスについて、感染経路や予防策を専門家に聞きます。


【写真を見る】感染性胃腸炎“過去10年で最多” ノロウイルス「4つの感染経路」や予防法を専門家に聞く【ひるおび】


過去10年で最多 「感染性胃腸炎」全国で流行

感染性胃腸炎の患者数は例年2月頃から減少しますが、今シーズンのグラフを見ると増え続けており、この時期としては過去10年で最多に。
2月17日〜23日の1週間では、1医療機関あたり10.32人となっています。


ーー医療現場では多い印象ですか?
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
かなり多いですね。先週の後半から週末にかけては我々のクリニックでも最多でしたね。点滴する場所がないぐらい、あちらこちらでおう吐・下痢・腹痛という感じで救急搬送も出ましたし、逼迫という状況でした。


医療機関の1か所あたりの感染者数の平均を見ても、全ての都道府県で前の週よりも感染者数が増加している状況です。
警報が出ているのは大分、徳島、岐阜、富山、群馬。神奈川でも注意報が出ています。


原因の多くが「ノロウイルス」

感染性胃腸炎の原因となる主な病原体としては
▼ウイルス(ノロウイルスやロタウイルスなど)
▼細菌(病原性大腸菌やサルモネラなど)
▼寄生虫
などがありますが、東邦大学の小林寅喆教授によると、
ウイルスによる感染性胃腸炎のうちノロウイルスが原因となるものが約7割~8割を占めています。


ノロウイルスは、感染してから発症するまで24時間~48時間。
主な症状には吐き気、おう吐、腹痛・下痢、軽い発熱などがあります。
持病のある人、乳幼児、高齢者などは脱水症状を起こしたり、症状が重くなったりするケースもあります。


伊藤博道院長:
まだお薬が飲める段階で受診していただけると、お薬が有効に効いてくると思うんですけど、薬も水も飲めない状態になると点滴が必要になりますし、重症になって脱水でさらに悪循環になってきますから、受診のタイミングが大事だと思います。


小林教授は、その感染力の強さを指摘します。


東邦大学感染制御学 小林寅喆教授:
実際に感染して細胞の中でウイルスが増えて、出て行くときは億単位で出ていきます。
入るときは10個とかそういう単位で実際に感染が起こってしまう。
すなわち「出るときは多くて入るのは少ない」ので非常に感染力が強いと言われています。


“食べて感染”以外にも…ノロウイルスの主な感染経路

感染経路は、主に4つあります。
まず、感染者の腸内でノロウイルスが増殖し、便や吐しゃ物として排出されます。


【1】便や吐しゃ物などが下水に流れ、川から海へいく。海の二枚貝にウイルスが蓄積され、貝を生や加熱不十分で食べることによって感染


【2】感染者の汚染された手指で調理をして、食べ物にウイルスが付着。それを食べることで感染


【3】便や吐しゃ物から出たウイルスが乾燥して飛散。それを吸い込むことによって感染


【4】感染者の便や吐しゃ物を処理した手にウイルスが付着し、目・鼻・口などを触って感染


伊藤博道院長:
吐しゃ物や排泄物から舞い上がるんですよね。
特に空気が乾燥していますから、それを吸い込むと飛沫感染が起こると言われています。
処理のときに手袋をする人は結構いるんですけど、できればマスクもしてガウンを着て、換気をして処理をする。処理したものもしっかりパッケージしてビニールの蓋を閉めて、しっかり手を洗う。そして塩素系の消毒液で周囲を消毒する。
ここまでしてやっときちんと処理ができる。なかなか家庭でとっさにできないので、家族内感染も多くなりますね。


逆に調理した人の手指などを介して食品についたことが原因とされるものが8割程度とされています。


ノロウイルスは長期生存するのも特徴で、
気温20℃で3週間から4週間ほど、冷蔵庫の中など気温4℃では約8週間生存します。


東邦大学感染制御学 小林寅喆教授:
温度が低い時にこのウイルスは活性を維持できますので、今こうやって寒い時期にウイルスが残存して、それを触って口に入ることによって感染が起こる。なので、手洗いが一番大事です。
また、普通のウイルスは60℃とか65℃ぐらいで死滅するんですが、このウイルスは85℃から90℃ぐらいで、1分半から3分ぐらい必要になってくる。
他のウイルスに比べ高い温度にも抵抗があるということです。


3月に入っても感染拡大している理由は

今シーズン、3月でも感染が拡大している理由について、専門家は以下のように分析します。


≪小林寅喆教授≫
・感染のピークが続いているのではなく、年末年始に気温が暖かく、ここにきて寒くなったことでピークがずれている
・2月の急激な寒さでウイルスが活性化し、感染が拡大している


≪伊藤博道院長≫
・ここ最近の「乾燥」「寒波」「寒暖差」という3つの気象条件が私達の免疫力を大きく落としたこともひとつの要因ではないか


伊藤院長は今後について、春休みになれば落ち着いてくるのではないかと見ています。


伊藤博道院長:
患者さんの半分ぐらいは学校などの集団感染なんですよね。ですからやっぱり学校が休みになると、その頃は少し暖かくなってきますし、数的にはちょっと減ってくるのではないかと期待も含めて思っています。


恵俊彰:
やっぱり一番の対策は手洗いですか?


小林寅喆教授:
そうですね、(ノロウイルスの場合)アルコールはあまり効力がないので、実際に石鹸を泡立ててきちんと丁寧に手洗いをするということが一番大事な点です。


(ひるおび 2025年3月11日放送より)
 


スマホのバッテリーを長持ちさせるコツは?意外と知らない“スマホ充電の落とし穴”を専門家が解説【ひるおび】
「パクされて自撮りを…」少年が初めて明かした「子どもキャンプの性被害」 審議進む日本版DBS “性暴力は許さない”姿勢や対策“見える化”し共有を【news23】
【検証】「布団の上に毛布」が暖かい説 毛布は布団の「上」か「下」か 毛布の正しい使い方【Nスタ解説】


情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

人気記事

ページの先頭へ