E START

E START トップページ > 国内 > ニュース > お風呂の『アヒル隊長』が25周年 玩具の枠組み超えて…風呂キャン、浴場離れの時代だからこそ「活動の幅広げたい」

お風呂の『アヒル隊長』が25周年 玩具の枠組み超えて…風呂キャン、浴場離れの時代だからこそ「活動の幅広げたい」

国内
2026-03-23 09:10
お風呂の『アヒル隊長』が25周年 玩具の枠組み超えて…風呂キャン、浴場離れの時代だからこそ「活動の幅広げたい」
25周年を迎えた『アヒル隊長』
 2001年に商品化され、今年25周年を迎えたお風呂で遊べるおもちゃの『アヒル隊長』。当初はゼンマイで動くお風呂玩具シリーズの一つとして発売されたが、テレビ番組への登場を機に大ブレイク。その後、様々なキャラクター商品化や霧島温泉大使、環境省の森里川海プロジェクトアンバサダー(大使)への就任など活動の裾野を広げ、子どもから大人まで幅広く認知されてきた。少子化による玩具の流通の減少や「風呂キャンセル界隈」など、お風呂用玩具にとっての逆風の時代である今、おもちゃとキャラクターの両方の顔を持つ『アヒル隊長』が果たす役割とは?発売元の株式会社パイロットコーポレーション玩具事業部の方々に話を聞いた。

【写真】ガラガラ、手桶も...幅広いバリエーションに進化した『アヒル隊長』

■「当初ダントツ人気はアザラシ」 人気テレビ番組出演による”想定外の広がり“

 赤ちゃんが認識しやすい黄色のボディが目印の『アヒル隊長』。『アヒル隊長 プカプカ水てっぽう』『おふろでガラガラ』など、お風呂で遊べるベビー用玩具として幅広いバリエーションで展開されている。この『アヒル隊長』の前身となるのが、1993年に発売された『ススメ水かき隊シリーズ』の『水吹きアヒル』だった。当時をよく知る同社の佐々木功さんによると、「当時は多くのゼンマイ玩具がおもちゃ屋さんで売れていた時代ですが、私たちはお風呂で遊べるゼンマイ玩具として、アヒル、イルカ、アザラシ、スワンの各2色、8柄を『水かき隊』として販売しました。その後、現在まで様々なゼンマイ玩具を発売していますが、これが最初のゼンマイ玩具となります」(佐々木さん/以下同)

 発売当時を振り返り、「当時は漫画『少年アシベ』に出てくるゴマちゃん(ゴマフアザラシ)人気で、白のアザラシが断トツに売れていました。黄色いアヒルはそんなに売れていたわけではないんです」と証言する佐々木さん。ところが、バラエティ番組『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)に登場したことから、黄色いアヒルが一気に注目を浴びることに。「1997年7月31日放送回で『猪苗代湖から海へ出られるか!?』という企画に『水吹きアヒル』が登場したんです。その後も、ダックレースの企画などで番組に何度か登場させていただき、そこから大きく変わりました」

 番組出演をきっかけに頭一つ飛び出した『水吹きアヒル』は、『アヒル隊長』と命名され、2001年から正式に商品化。今年25周年を迎えるロングセラー商品となっているが、実に多様な展開を見せている。
 「2001年からイラストやキャラクター化したものが徐々に出てきて、発売10周年の2011年に、読売広告社から『ライセンスビジネスにしましょう』とご提案をいただきました。我々はライセンスビジネスについては全くの素人でしたが、読売広告社を版権管理窓口にして、他マーケットでの『アヒル隊長』の商品化を進めました。これが25年の中で、最も大きなターニングポイントになりました」

 ライセンスビジネス開始後、『アヒル隊長』は給湯器や路線バスのラッピング、年賀状印刷の素材などに使われ、また温泉まんじゅう、バスボールなど様々なコラボ商品も発売された。その後、2014年に鹿児島県「霧島温泉」の大使、2015年に環境省のアンバサダーに就任。行政とのコラボが進み、アイコンとしての活動も広がりを見せた。さらに2022年には、バスクリンの入浴剤「きき湯」とのコラボで「きき湯とアヒル隊長 大冒険セット」が発売され、大ヒットを記録している。

 また2021年、2023年に放送されたドラマ『美しい彼』(TBS系)に『アヒル隊長』が登場したことも大きなトピックとなった。「劇中で俳優の萩原利久さん、八木勇征さんに『アヒル隊長』を持っていただいたおかげで、あまり接点がなかった女性の方にも認知していただき、今も”推し活”という形で盛り上がっているようです」

 実に様々なコラボや商品化を通して、ぐんぐん認知度を上げてきた『アヒル隊長』。佐々木さんも「ここまでの広がりは想定外で、ビックリしています」というほどの快進撃を見せている。

■公衆浴場と積極的コラボで大人まで引き込む、子ども向けイメージ刷新する戦略も

 2001年に商品化された『アヒル隊長』は、2006年からベビーラインを強化している。
「当時、お風呂玩具は1.5歳以上の商品しかなかったのですが、それより下の月齢にも対応できるベビー向けの商品を出そうと。『赤ちゃんのバスタイムを応援するアヒル隊長』というテーマ設定でベビーラインの強化が始まりました」(株式会社パイロットコーポレーション 福家翔太さん)

 ベビー向けの商品だけに、より安全性には注意が必要となる。同社ではまずST基準(14歳以下の子ども向け玩具の安全基準)をクリアした上で、独自の基準を設けて開発に取り組んだ。「たとえばお風呂に浮かべた時に絶対に沈まないようにすること。これはお子様が沈んだおもちゃを取ろうとして溺れるのを防止するためです。またお子様が誤飲しないサイズであること、角がなくて壊れにくい形状であること、などを設計に織り込みつつ、安全性に留意して開発してきました」(福家さん)

 一方、少子化が進む中、昨今は子ども向け玩具の取り扱いが少なくなった流通先も増えている。そうした状況を踏まえ、『アヒル隊長』はスーパー銭湯など公衆浴場とのコラボ事業にも着手。その一例として、2025年11月26日の「いい風呂の日」から『竜泉寺の湯』とのコラボでオリジナルグッズの開発・販売を行っている。
「私たちは、『アヒル隊長』を使ってお風呂に入る文化や浴育を広めていきたい思いがあり、昨年からスーパー銭湯や公衆浴場に営業活動を続けています。その中でご賛同いただいた竜泉寺の湯様とは『これ、可愛いからグッズ化しましょう』という話からビジネス展開が広がりました。多くの大人のファンの方々がグッズを買ってくださり、この成功例は社内でも非常に盛り上がっています」(株式会社パイロットコーポレーション 桑原達正さん)

 従来のベビー玩具の販売だけでは、少子化の影響を大きく受けてしまうだろうが、これまで数多くのコラボを通して「大人の方にマーケットを広げられたことが大きい」と担当者は言う。
 「ドラマ『美しい彼』では、幅広い世代の方に『アヒル隊長』を知ってもらえる良い機会になりましたし、お子様をお持ちでない大人の方が『アヒル隊長』を購入される例もかなり増えています。『アヒル隊長』の着ぐるみを使ったイベントでも、以前はお子様ばかりでしたが、今は大人の方も一緒に写真を撮りたいと言ってくださいます。赤ちゃんに対しては従来の『アヒル隊長』のおもちゃで、大人の方には『アヒル隊長』のコンテンツを通して楽しんでいただき、赤ちゃんから大人まで親しんでもらえることを目指して活動しています」(福家さん)

■風呂キャン、浴場マナー風化…変化する入浴「キャラクターパワーで一助になれば」

 お風呂グッズは近年、中からおもちゃが出てくるバスボムの登場など、多様な広がりを見せている。こうした変化を受け止めつつ、『アヒル隊長』は引き続きお風呂時間を楽しくするおもちゃとしての開発を続けながら、「ライセンシーとも協力し、世の中に貢献できる商品を届けたい」と担当者は言う。
 その背景には、一日の最後にゆっくりお風呂に入るという日本人が昔から大切にしてきた文化の変化がある。昨今、タイパ重視から「風呂キャンセル界隈」という言葉が話題になっている。また共働き世帯も増加したことで、時間をかけて入浴することが億劫な家庭も増えているのではないか。「お風呂にゆっくりつかる」「お風呂を楽しむ」という文化が薄れてきている傾向にあるようだ。
 「当然ながら、人々が公衆浴場に入る機会も減っているそうです。そうなると、入浴マナーを全然わかっていないお子様も多く、『最初にかけ湯をしないで湯船に入ってしまう』ことも多々あるそうです。そこで正しいマナーを教える浴育が必要になってきます。私たちは『アヒル隊長』のキャラクターパワーを使って、日本人が昔から守ってきた文化、浴育を継続できる一助になればと思いながら、営業活動をしています」(桑原さん)

 元々は子ども向け玩具だったが、様々なコラボなどで大人にも訴求を続け、今や日本の文化を広めるアイコンとしての役割をも担っているアヒル隊長。今後の展開については、「『アヒル隊長』は、玩具で子ども向けブランドの軸を守りつつ、ライセンスで大人向けブランドを展開しているので、この活動の幅をどんどん広げていくことで、親子のコミュニケーションにも貢献できると思います。これまで25年続いてきましたが、これからも30年、40年、また2世代、3世代と愛されるキャラクターに広げていきたいですし、ファンをたくさん作っていきたいです。それがブランド成長力の糧になるだろうと思っています。今『アヒル隊長大行進』というYouTubeの映像がありますが、SNSでの発信も取り組んでいく課題だと思います。『アヒル隊長の天気予報』なんてやったら面白いと思うんですよ。普段から身近に『アヒル隊長』に接してもらえるような機会ができたら、またフェーズが変わってくると思いますから」(佐々木さん)

※『アヒル隊長』は株式会社パイロットコーポレーションの商標または登録商標です。
(取材・文/水野幸則)

関連記事


萩原利久がアヒル隊長と鏡開きでお祝い、『劇場版 美しい彼~eternal~』大ヒット御礼舞台挨拶
40年愛される鍵は“変わらない没入体験”? 『ねるねるねるね』が体現する遊びの本質
50周年のハローキティがリカちゃんと夢の対談、世界を笑顔にしてきたふたり「リカがおどろいたのは、ドジャースタジアムの始球式!」
73歳おばあちゃんのシール帳がすごい、280万再生の大反響「その発想はなかった」「神業」
トミカ、ロングセラーの車種はどれ? 令和版リカちゃんの進化とは? 人気玩具の意外な秘密と最新事情

ページの先頭へ