キャッチフレーズは「日本の防災を変えていく」。世界有数の災害大国の日本で、人命最優先の「防災立国」の実現が急務となる中、11月2日に発足する「防災庁」。
一体どんな組織で、どういった役割を担っていくのでしょうか。
「防災庁」発足 「事前防災」「災害対応の司令塔機能」大きく2つの役割
日比麻音子キャスター:
11月2日に発足する防災庁。その役割は「事前防災」と「災害対応の司令塔機能」の“2枚看板”だと言われています。
▼「事前防災」
国が自治体をサポートして、大きな災害への備えを進める。
例えば、建物の耐震工事や手続き、防災に強い街づくりなどを進めます。
▼「災害対応の司令塔機能」
災害発生後の初動から復興完了まで一貫して司令塔としての役割を担う。
応援体制の迅速な構築などを目指していく。
そもそも「防災」に関しては、現在、内閣府に所属する防災担当が担っていますが、この「防災」が独立した官庁として「防災庁」が誕生します。
各省庁への調整・働きかけの権限を強め、政府全体の「防災司令塔」の役割を担っていきます。
したがって、防災庁のトップは、内閣で新たに担当大臣が生まれるということです。
何が変わる? 「勧告権」付与で“全体の司令塔”機能期待
日比キャスター:
「内閣府防災担当」から「防災庁」になり、職員数や予算も大きく変わります。
▼これまで(内閣府防災担当)
職員数:220人
関連予算:218億円
▼防災庁
職員数:352人
関連予算:652億円(要求額)
職員数は100人以上増え、予算は652億円と大幅に増額した要求がされるわけです。
これまでと何が変わり、どのようなことができるようになるのでしょうか。
TBS報道局社会部 本杉美樹 記者:
一番大きいのは「勧告権」が付与されることです。
例えば、避難所の運営にあたっては、▼避難所が学校であれば冷暖房の整備は文科省、▼避難所に必要な物資を運ぶのは国交省、▼医療は厚労省と縦割りになっていて、調整がしにくかったり、全体が見づらかったりという課題がありました。
「勧告権」が付与されることで、全体を通した司令塔としての機能が果たしやすくなるということです。
「勧告権」は命令ではないため、実際にはそれぞれの省庁で行っていくということは変わりませんが、勧告された省庁には「十分に尊重する義務」があるため、物事が進みやすくなるのではないかと見られています。
即戦力の「ふるさと防災職員」 平時も発災時も各県をサポート
日比キャスター:
これまで多くの被災地を取材する中で、前の災害で必要だと感じた備えでは足りなかったり、備えが間に合わなかったりしたという声をたくさん聞きました。防災庁への期待は大きいですね。
国際情報誌「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
2026年に地震が発生した熊本では、10年前の教訓がありましたが、それでもまだ避難所生活をする人が1000人以上いるということでした。
自治体職員は対応にあたっていますが、仮設住宅の完成が12月下旬ということで、お正月も避難所で迎えなければいけないかもしれません。現場が頑張っていても、仕組みそのものが遅れている問題があるということを痛感しました。
防災庁にはアイデアを持った人たちや、経験・知識が蓄積されている人もいるので、力を借りながら、事前防災も含めて頑張ってほしいと思います。
日比キャスター:
防災庁には、経験がある人も入るということですね。
TBS報道局社会部 本杉美樹 記者:
設置される「ふるさと防災職員」では、経験を持っている人が即戦力として多く採用されています。
自治体は、職員数や防災に関する知識・経験に差がありますので、「ふるさと防災職員」がサポートしていくということです。
▼普段は自治体の課題を把握して、それに対応する事前防災を進め、
▼発災時には現場に入り、状況把握や国ができる支援を自治体に提案、他省庁とのつなぎ役にもなっていくといいます。
「防災のプロ」育成へ 「防災大学校」の設置も検討
TBS報道局社会部 本杉美樹 記者:
「防災のプロ」を育てることも期待されています。
これまで内閣府防災担当では、国交省や気象庁などの各省庁からの出向者が中心で、2~3年程度で異動することが多く、災害対応の経験やノウハウが組織に蓄積されにくいという課題がありました。
防災庁では独自に採用する専門職員を増やし、長期的な育成を進めていきます。
さらに「防災大学校」の設置も検討されています。
「防災大学校」は防災庁の職員を育てるというだけではなくて、自治体・民間に専門的な研修・訓練を進めていくことが構想され、さらなる防災力の底上げにつながる組織になると見られています。
日比キャスター:
新たに発足するということで、細野豪志防災担当大臣は、国民へ「1週間分の備蓄・住宅耐震化などの自助の取り組み」を呼びかけ、自治体へは“国がすべての防災対策を担うのではない”として、平時からの備えを徹底するよう「緊急要請」を発表する見通しです。
TBS報道局社会部 本杉美樹 記者:
組織発足がすべてではなく、被害をどこまで減らせるかを見守っていく必要があると思います。
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<プロフィール>
本杉美樹
TBS報道局社会部 気象・災害担当
防災庁設置の動きを当初から取材
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BS-TBS「報道1930」ニュース解説
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