不動産不況が長引く中国。不動産市場の先行きに関するSNSでの悲観的な発信について、当局が取り締まりに乗り出しました。
【写真を見る】中国当局がSNS上の「不動産市場“悲観論”」を取り締まり 「経済の見通し明るい」との世論誘導・宣伝方針の一環か 長引く不動産不況が背景に
勢いよく飛び込む男性。泳いでいるのはプールではなく、建設途中のビルの中です。
中国メディアによりますと、南部広西チワン族自治区にあるビルで建設工事がストップ。地下に水が溜まり、ダイバーたちの「名所」になってしまったというのです。
首都北京でも。
記者
「北京の中心部なのですが、あちらのビルは建設工事が長期間ストップしているということです」
背景にあるのは、中国のGDPの3割近くを占めるとされる不動産業界の不況です。きっかけは2020年、習近平政権が不動産バブルを抑制しようと融資を引き締めたことでした。
開発業者の資金繰りは急速に悪化。消費者の買い控えもあり、不動産価格は下落し続けています。
こうしたなか当局が乗り出したのが、SNS上の悲観論の取り締まりです。
記者
「規制当局の発表によりますと、『不動産市場は暴落間近』などといった誇張した表現を使った投稿は違反とみなされるということです」
上海市の規制当局は「違反したアカウント7万件以上を処分した」と発表。北京市当局も、大手のSNS運営企業に対して注意喚起したということです。
中国では「経済の見通しは明るい」という見立てを発信し、世論を誘導する「経済光明論」を宣伝する方針が示されていて、今回の取り締まりもその一環とみられます。
しかし、市民からは…
市民
「不動産価格が下がり続けていて、みんな様子を見ている状態だと思います」
「(不動産業界の)大きな回復は見込めないと思います」
「景気は気から」といわんばかりの中国政府の取り組み。長引く不動産不況に打つ手がない苦境の裏返しともいえそうです。
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