トランプ大統領がこだわるベネズエラはどんな国なのか。そして、中南米から西半球へと覇権を確立しようとするトランプ氏の狙いはどこにあるのか、詳しく見ていきます。
利権独占に価格暴落… 石油に振り回されてきたベネズエラ
南米大陸の北端にあるベネズエラ。人口は約2600万人、面積は日本の約2.4倍です。
野球が盛んな国で、「ラミちゃん」ことラミレスさんやペタジーニさんなど、日本のプロ野球で活躍した人も。そして、実は世界最大の埋蔵量を誇る「石油大国」なのです。
1930年代頃からアメリカ主導で油田開発が進みましたが、軍事政権や親米政権が続く中で、一部の支配層が権益を独占し、石油の恩恵が及ばない低所得者層に不満が蓄積していました。
強権的なマドゥロ政権では約800万人が国外に...
そんな状況を受けて1999年、反米を掲げるチャベス政権が誕生します。貧困層の社会保障に回す資金を捻出するため、石油産業の実質的な国有化に踏み切り、アメリカの石油メジャー、エクソン・モービルなどの設備を接収し、追い出したのです。ただ、それでもベネズエラ国民に石油の恩恵は十分にいきわたりませんでした。
ベネズエラの原油は特に粘りが強く、さらさらとしたガソリンなどへの精製が難しいため、精製技術が乏しいベネズエラでは、十分に活用できなかったのです。
2013年にチャベス氏が亡くなると、今回拘束されたマドゥロ氏が反米路線を継承しますが、就任直後には原油価格の暴落に見舞われて経済が混乱。ハイパーインフレが起きるなか、強権的な政治姿勢を強めるマドゥロ体制から逃れようと、約800万人が国を出たとされています。
中南米に軍事介入を繰り返すアメリカ 「西半球」での覇権を狙う思惑とは
そんな中、トランプ大統領は今回、マドゥロ大統領を連れ去ったうえで、「石油を引き渡すよう求める」「我々が石油を他国に売る」などと発言。「国際法違反」を指摘されるベネズエラへの軍事作戦と、石油利権への露骨な言及ですが、実はアメリカにはこれまでも「アメリカに対する脅威の排除」「麻薬対策」などを掲げ、中南米への軍事介入を繰り返してきた歴史があります。
1954年、グアテマラでは、左派政権がバナナなどを扱うアメリカ企業の所有地を没収すると、アメリカのCIAが画策したクーデターで親米の軍事政権を立ち上げました。
1970年代のチリでも、銅鉱山の国有化を進めていた社会主義政権に対し、アメリカはピノチェト将軍を支援して軍事政権を樹立させました。
また、1989年にはアメリカ軍がパナマに侵攻。ノリエガ将軍に麻薬関連の容疑をかけて拘束し、パナマ運河の権益維持を図りました。
こうした、かつての軍事介入をも凌ぐレベルで実行された今回のベネズエラでの政権転覆。
トランプ氏は新たに「ドンロー主義」という言葉を掲げています。
1823年に当時のモンロー大統領が発出した「モンロー主義」に、ドナルド・トランプの「ド」をかけ合わせた造語。もともと「モンロー主義」とは、中南米諸国がヨーロッパの列強から独立して間もない当時、ヨーロッパ諸国の介入を排除するため「東半球のヨーロッパと西半球の南北アメリカは互いに関与しない」とする考え方でした。
それから200年以上が経った今、軍事力にものを言わせ「西半球」での覇権確立を目指すトランプ政権。その思惑通りに事は進むのでしょうか。
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