アメリカのトランプ大統領はグリーンランド領有に向け、圧力を強めています。領有を認めないイギリスやフランス、ドイツなどヨーロッパ8か国に対し、新たに「関税を課す」と脅していて、亀裂が深まっています。
北極海に面する世界最大の島、「グリーンランド」はいま、揺れています。
記者
「アメリカ領事館の前に住民が沢山集まっています。グリーンランドの旗を掲げて、グリーンランドは売り物ではないと訴えています」
「私たちのグリーンランドだ」
17日、中心都市ヌークで行われた抗議デモ。氷点下の中、およそ5000人が声を上げました。
トランプ大統領の決めゼリフ「Make America Great Again(アメリカを再び偉大な国に)」をもじった「Make America Go Away(アメリカは出て行け)」と書かれた帽子も…。
グリーンランド市民
「アメリカの大統領ともあろう人が、このように振る舞うことをとても悲しく思う」
「グリーンランドはグリーンランド人のもの。アメリカに支配されたくない」
デンマーク王国の一部であるグリーンランド。人口およそ5万7000人のほとんどが先住民のイヌイット系で、漁業や狩猟など、独自の伝統文化を育んでいます。
記者
「くじら類の一種だそうなんですが、ネズミイルカの刺身をいただきます。コリコリしているんですけど、すごく脂がのってて新鮮でおいしいです」
グリーンランドの領有に向け、トランプ大統領は強いこだわりを見せてきました。
アメリカ トランプ大統領(9日)
「いずれにせよ、グリーンランドに対して何か行動を起こすつもりだ。彼らが望むかどうかは関係ない」
軍事力の行使も排除しない姿勢に、ドイツやフランスなどNATO=北大西洋条約機構の国々は、グリーランドに部隊などを次々と派遣。
記者
「あちらに今、デンマーク軍の哨戒艦がヌークの沖に出ているのが見えます。連日、あのように巡廻しているのが見られます」
こうした動きに苛立ちを募らせたのか、トランプ氏はデンマークやイギリス、フランス、ドイツなどの8か国に、新たに関税を課すと表明。2月1日から10%の関税、さらに6月1日には25%に引き上げられ、グリーンランドの購入が合意に至るまで、この関税が継続されるとしています。
トランプ氏のこの対応に、イギリスのスターマー首相は…。
イギリス スターマー首相
「同盟国に対する関税の適用は完全に誤りだ。同盟内の意見の相違を解決する正しい方法ではない」
アメリカも一員であるNATOの基盤を揺るがしかねない行動に、ヨーロッパには反発が広がっています。
8か国の共同声明(18日)
「関税による脅しは欧米関係を損ない、危険な悪循環を招く恐れがある」
なぜトランプ氏はここまでグリーンランドにこだわるのか。北極海をめぐる“覇権争い”が指摘されています。
これまでアジアとヨーロッパを繋ぐ航路は、スエズ運河を経由する「南回り航路」でした。しかし、面積の8割を覆っているグリーンランドの氷が解け始めたことで、太平洋と大西洋を最短で結ぶ「北極海航路」が航行しやすくなり、アジアとヨーロッパを短時間で行き来することができるようになったのです。
中国はこの新たな航路を“氷上のシルクロード”と呼び、開発を進め、ロシアも北極海で軍事演習を行うなど、「安全保障」の要として重要性が増しているのです。
ただ、グリーンランドにはすでにアメリカの基地があり、およそ200人の部隊が駐留しています。
グリーンランド自治政府の議員は、トランプ氏の“真の狙い”は安全保障ではないとみています。
グリーンランド自治政府議員 ボー・マーティンセン氏
「彼(トランプ氏)は何らかの『レガシー』、つまり、帝国のようなものを築こうとしているのだと思います。ただ、そのために人々を犠牲にするべきではありません。一度立ち止まり、現実を見るべきです」
住民は不安を募らせています。
中学生の息子と暮らす小学校の教師・マリナさん(40)。この日、2人が見ていたのは、自宅のバルコニーで撮影した空港の映像です。
Q.それは何
「回っている」
「光っているやつ(スウェーデン航空機)」
マリナさんの息子 クリスチャン君
「いつもそうなんだ」
マリナさん
「きのうもスウェーデンの航空機の着陸をバルコニーから見て待っていたんです」
グリーンランドで生まれ育ったマリナさんは「戦争が近づいているように感じる」と打ち明けます。
マリナさん
「本当に怖い。戦争なんて経験したことがなく、ニュースでしか見たことがありません。もしこれが第三次世界大戦の始まりになったらどうしようと…。毎朝、息子を学校に送り出す度に『これが永遠の別れになるかもしれない』。そんなことを考えてしまいます。怖いです」
「これは悪霊退散の歌です」
「“ここから出ていきなさい”」
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