
双方の攻撃の応酬は一気にエスカレートしました。そもそも、このタイミングでイランへの攻撃に踏み切ったトランプ大統領の思惑とは。
「第二次世界大戦後初」の撃沈も… イラン攻撃で“広がる戦火”
アメリカ軍の潜水艦のカメラが捉えたイランの艦艇。巨大な水柱と共に船尾が持ち上がります。
アメリカ ヘグセス国防長官(3月4日)
「公海上で安全だと思って航行していたイランの艦艇を潜水艦で撃沈した」
「潜水艦による敵艦艇の撃沈は第二次世界大戦以来だ」と誇ってみせたヘグセス長官。87人が死亡し、多数が行方不明となっていて、イラン側は「公海上で警告もなく撃沈された。アメリカは自ら作った前例を激しく後悔するだろう」と報復を示唆しています。
エスカレートするアメリカの攻撃。ことの始まりは、イスラエルと共に行ったイランへの先制攻撃でした。
首都・テヘランにある世界遺産の宮殿や、点滴が残された病院、そして、小学校も攻撃されました。
遺体の安置所では...
「これは算数の教科書。モハンナちゃん1年生。ここに宿題が入っていました。この子に何の罪があったというのか」
学校への攻撃だけで児童ら175人が死亡。イラン全土での民間人の犠牲者は1332人に上っています。
戦火の拡大で“同士討ち”も... トランプ氏「軍事作戦は正当で必要なものだった」
アメリカ トランプ大統領(1日投稿のトランプ氏のSNSより)
「史上最大規模で最も複雑かつ圧倒的な軍事作戦の一つだ。この行動は正当で必要なものだった」
攻撃の正当性を主張するトランプ大統領。なかでも最大の「戦果」とするのが、最高指導者ハメネイ師の殺害です。
イラン国営放送キャスター(1日)
「ハメネイ師は、殉教という甘美な杯を手に至高の天界へと旅立たれました」
イランは直ちに報復攻撃を開始。イスラエル各地にミサイルなどが着弾し、12人が死亡しています。アメリカ軍が駐留する中東各国も標的となり、サウジアラビアでは石油施設、ドバイではアメリカ総領事館の近くに着弾。
戦火の拡大で“同士討ち”の混乱も...
目撃者(2日、クウェート・ジャハラー)
「見ろ!戦闘機だ!」
きりもみ状態で墜落していくアメリカ軍の戦闘機。クウェートの防空部隊による誤射だったといいます。
ビジネス面での思惑も... トランプ氏、なぜ今 イラン攻撃?
中東全域を巻き込む紛争に発展した、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃。なぜ、このタイミングで始まったのか?そもそも、アメリカはイランとの間で、核開発の放棄をめぐる協議のさなかでした。
明海大学 小谷哲男教授(トランプ政権の内情に詳しい)
「(核協議は)事実上イランに全面降伏しろという内容だったので、実際には交渉と呼べるものではなかった。体制転換の作戦を決めたのが2月17日。これは2回目の協議が終わった直後」
“見せかけ”の協議を続けながら、体制転換を狙う攻撃を決めたというトランプ政権。では、なぜハメネイ師の殺害にこだわるのか。
小谷教授
「ハメネイ師というイランの核開発放棄における最大の障害を取り除いた。“歴史上最も偉大な大統領である”とアピールし、自らのレガシーを念頭に置いた作戦だと言っていい」
さらにビジネス面での思惑も…
小谷教授
「トランプファミリーのビジネスがいま、中東に強い利害関係を持っている。基本的には不動産開発で、イランの脅威を一刻も早く除去して、ビッグテック(巨大IT企業)と絡んだ新しい土地開発を中東で展開していきたいと考えている」
トランプ氏 先制攻撃の“正当性”主張も矛盾… 法の秩序はどこへ
一方、イランとの協議中に先制攻撃をしかけた正当性をめぐって、当のトランプ氏は…
トランプ大統領(3日)
「狂人(イラン)たちとの交渉中、こちらがやらなければ、イランが先制攻撃してくると確信していた」
しかし国防総省は議会に対し、「先制攻撃を受ける兆候はなかった」と説明。トランプ氏の主張と矛盾する状況にルビオ国務長官は…
ルビオ国務長官(2日)
「我々はイスラエルが(イランに対し)行動を起こすことを知っていた。それが米軍に対する(イランからの)攻撃を招くことが分かるので、先制攻撃しなければより多くの犠牲を払うことになると考えた」
まず、イスラエルがイラン攻撃を決めたという理屈。いずれにしろ、先制攻撃の正当性は問われます。
国連 グテーレス事務総長(2月28日)
「国際法と国際人道法は常に遵守されなければならない。アメリカとイスラエルによるイランへの大規模な軍事攻撃を非難する」
しかし、かねて「国際法には縛られない」と豪語してきたトランプ氏は…
トランプ大統領(2日)
「最後の空爆のベストチャンスだった。猛烈で揺るぎない決意をもって作戦を継続する」
二度の大戦の反省から国際社会が築き上げてきた法による秩序は、このまま崩れ去るのでしょうか。
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