ワールドカップのチケットが、すさまじく高騰していますが、一体何が起きているのでしょうか。
高すぎるチケット代…メッシ選手が出場する試合では約40万円
ワールドカップが初めて開催されたのは、1930年。
当時のFIFA会長、ジュール・リメ氏は、第一次世界大戦で従軍した経験から、“サッカーを通じた世界平和”という信念のもとワールドカップを創設したと伝えられています。
そして、現在のFIFAも「Football Unites the World(サッカーは世界を1つにする)」というスローガンを掲げていますが、今回の大会はそんな理念に疑問符が付くような状況も指摘されています。
象徴的なのが、高すぎるチケット代です。
今回FIFAは、「ダイナミック・プライシング」というシステムを導入しました。
同じ座席でも、人気の高い試合ほど価格を高く設定し、さらに同じチケットでも需要に応じて価格を変動させているのです。
公式サイトで販売されたチケットの「定価」を比べると、例えば、同じグループステージの試合でも、日本戦のチケットは、約8万円でしたが、世界的スターのメッシ選手を擁するアルゼンチンの試合は、同じランクの席でも約40万円近くします。
さらに、FIFAは段階的にチケットを放出しており、どのタイミングで何枚売るか、いくらで売るか、需要の状況を見て判断しているとみられます。
転売価格の上限取り払い 決勝戦チケットの出品1億円超え
そして高騰に拍車をかけているのが、転売です。
前回大会では、公式の転売システムでは「定価での譲渡」を原則とし、手数料も5%ほどでした。今回FIFAは、これを大きく改変しました。
転売価格の上限を取り払い、買い手と売り手の両方からFIFAが「15%の手数料」を徴収できるようにしたのです。
その結果、公式の転売サイトに並ぶチケットは今、さきほどの日本戦と同じランクの席が約64万円、アルゼンチン戦は約92万円、決勝戦では、最高で1億円を超えるチケットも出品されるなど、一般の人ではとても手が出ない金額になっているのです。
アメリカのTIME誌は、「FIFAは『サッカーが世界を団結させる』と自慢するが、今年の大会は『富裕層だけ』を集め、最も情熱的なサポーターたちを締め出すリスクがある」と批判しています。
ハイチやセネガルらのサポーター 入国制限で観戦ができない事態も…
こうしたチケットの極端な高騰とともに大会に影を落としているのが、トランプ政権が攻撃を始めたイランをめぐる対応です。
出場国ごとにFIFAが割り当てていたチケットのうち、イランの分が発売後に取り消され、チケットを持っていたイラン人サポーターも、観戦ができなくなっているのです。
同様に、元々、トランプ政権が入国制限を課していたハイチやセネガルなども、代表選手らの入国は許されましたが、サポーターは入国できず試合を見に来ることができないといった事態も起きています。
50年近くにわたって敵対関係にあるアメリカとイランですが、28年前のフランス大会で直接対決した際には、キックオフ前にイランの選手たちが「平和の証」としてアメリカの選手たちに、白いバラの花束を贈り、ワールドカップの持つ力に希望が垣間見えたこともありました。
大会の創設者が抱いた「平和」への思い。FIFAが掲げる「サッカーで世界を一つに」という理念が、改めて問われています。
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