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コメ価格なぜ下がらない?「備蓄米」放出で価格は? いつ終わる“令和のコメ騒動”【Nスタ解説】

経済
2025-02-05 21:39

新米が出回れば価格が落ち着くと期待されていたコメですが、高値の状態が続いています。なぜ価格が下がらないのか、背景に何があるのか取材しました。


【グラフでみる】コシヒカリの小売価格の推移


“消えた21万トンのコメ” 一部の集荷業者などがストックか

熊崎風斗キャスター:
コメの価格が上がり続けています。

コシヒカリの小売価格(1袋5キロ)でみると、▼2024年1月は2440円でしたが、「令和のコメ騒動」のあった▼9月ごろには3285円となりました。

新米が出て下がるとも言われていましたが、▼2025年1月には4185円と、去年1月の約1.7倍となりました。
※東京・総務省小売物価統計調査より


農水省によると、2024年の生産量は、前年より約18万トン増えています。一方で、集荷量は、前年より約21万トン減っています。

生産量は増えているのに、集荷量が減っているという状況です。

集荷量の減少について…


江藤拓 農水大臣(1月31日)
「どこかにスタックして(積み上げて)いると考えざるを得ない」


主なコメの流通では、生産者が生産をして、集荷業者が集めて、卸売業者や小売店を経て、消費者の元まで届くという流れです。

そのうち集荷業者について、中には新規参入した業者も多くいるそうで、一部の集荷業者などがコメをストックしているのではないかということです。


宇都宮大学 小川真如 助教
「農水省が調査するのは大規模な集荷業者。“消えた21万トンのコメ”が流通せず、価格が下がらない」


新規参入した規模の大きくない集荷業者までは調べきれていないという現状があるそうです。その一部の業者が、なぜストックしているのでしょうか。


宇都宮大学の小川真如助教は「より高く売れるタイミングが来るのを待っている可能性。“売り惜しみ”状態」だと話します。


「流通の多様化が影響」個人に業者…増えるコメを集めるプレーヤー

井上貴博キャスター:
市場に数が少ないうちはあまり売りに出さず、手元に残しておくという、コロナ禍のマスクに似た現象にも感じます。

やはりJAを通さずに売るルートが増えたなど、流通の多様化も背景にはあるのでしょうか。


宇都宮大学 小川真如 助教:
まさに流通の多様化が今回、影響したと思われます。

また、個人で購入する人もいたり、新規の業者も入ってきている状況で、とにかくおコメを集める人たちのプレーヤーが増えてきたという点が大きな要因だと思います。

その結果、農林水産省としては把握できていない部分が大きくなったということです。


井上キャスター:
やはり小さいところが増えてきたので、政府としてもあまりグリップできない部分があるということにもなるわけですか。


オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
約2か月前に生産者から、産地で新規の業者が「JAさんよりも高い価格で買うから」などと言って、かなり買っていて「うちのおコメ全部なくなっちゃいました」という声がありました。

また、農家が価格を少し上げていたりする傾向もありますが、農家の手取りが上がるという意味ではいいと思います。

ただ、価格を吊り上げすぎてしまうなど、マネーゲームみたいに、コメというインフラが使われてしまうのは、どうなのかなと感じます。


ホラン千秋キャスター:
流通が多様化して、今まで手に入らなかった農家の農作物が消費者の元に届くことはいいことだと思います。

そもそも、すべての値段が上がっているところを差し引いたとしても、流通で大きな変化があるのは、価格高騰において気にしているんですね。


オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
今回の生産直売では、そんなに大きなシェアではないんです。おそらく新規参入でも、比較的量を扱えるような、資金体力のある業者が買っているのではないかと思います。


今月中に備蓄米放出なら「来月には3800~3900円ほどに落ち着くのでは」

熊崎キャスター:
政府が保存している「備蓄米」を放出できるようにする制度を新設しました。

備蓄米は、政府が緊急時に備えて蓄えているコメで、100万トン程度備蓄されています。

今までは、凶作などの緊急時のみ運用されてきましたが、今後は、円滑な流通に支障が出た場合も放出することになりました。


備蓄米が放出された場合について、宇都宮大学の小川真如助教は「高く売れないと判断した一部業者がストックしていたコメを手放す可能性がある」と話しています。


それで価格は下がるのでしょうか。


宇都宮大学 小川真如 助教
「今月中に放出されれば、来月には3800~3900円ほどに落ち着くのでは」


ただし、政府としては備蓄米を放出したら1年以内に同じ量を買い戻すとしています。

放出した分は戻さないと、備蓄にはなりません。その場合、価格競争が起こり、再びコメの価格が上がる可能性もあると指摘されています。


井上キャスター:
政府としてはずっと「備蓄米を放出すると市場原理が崩れる」「新米さえ出てくれば価格は落ち着く」ということを話してきました。ただ、かなり見通しが甘かった、遅かったと言えます。


宇都宮大学 小川真如 助教:
その判断は難しかったと思いますが、少なくとも備蓄米放出できる可能性を検討するというカードは、いつでも切れたはずです。それが遅かったと思います。

このカードを切れば、集荷業者の過熱を抑えられたと思います。


オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
備蓄米放出と言っても、買い戻すことが条件に入っています。

今回の備蓄米が出たら、おそらくストックされているおコメが出てくるので、今度は安くなってしまう。なので、改めて適正に戻していくことになると思います。

なかなか、今回みたいに業者が新規で入ってくるのは今までなかったので、想像できてなかったのかなと思います。農水省側もあまり考えていなかったのかもしれないですね。


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<プロフィール>
小川真如さん
宇都宮大学農学部 助教
国内の農業・農学を中心に幅広く研究
コメの流通に詳しい

秋元里奈さん
オンライン直売所「食べチョク」代表 34歳
神奈川の農家に生まれる


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情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

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