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どういうこと?“異世界で学習”起き上がるAIロボット 10年後には店員も“客”も人型ロボットに?【Nスタ解説】

経済
2025-09-29 22:15

政府内で、2030年までにさまざまな状況での活躍が可能な人型ロボットの開発を目指す案が浮上しています。ロボットとの未来について、千葉工業大学、未来ロボット研究センターの古田貴之さんに聞きました。


【画像を見る】ドタドタッ!階段から落ちても、押されても…必ず起き上がるロボット


カメラも感覚もない4脚AIロボット 必ず起き上がるのはなぜ? 

井上貴博キャスター:
千葉工業大学の未来ロボット技術研究センターが“育成”した中国製ロボット(重量約16キロ)。脚が4本あって動くことができ、何度倒れても、どんな倒れ方をしても起き上がるように育てたということです。


未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
ボディーは安いロボットで、オリジナルはあまり動かないのですが、我々が育成した人工知能を入れるとコントローラーで動かすことができます。

このロボットにはカメラがついておらず、階段があることも分かっていません。それにもかかわらず移動できるのは、運動神経が備わっているからなんです。

人間のような運動神経を人工知能で鍛えて、階段などの障害にはその場で臨機応変に対応することができます。私は「前に行って」「横に行って」という指示をしているだけです。


井上貴博キャスター:
この機械自体は中国で売られている量産型の、何の変哲もないロボットです。これを起き上がるロボットにするために「仮想空間で学習」させたといいます。

自分の形状も分からない所から、歩く、登る、つまずく、転倒後に起き上がる、などの動作を学習しました。


仮想空間で学習とはどういうことか。

▼約4000台の分身ロボットをコピー。▼仮想空間は時間を早送りでき、十数年分の学習を4〜5時間で可能。▼学習した運動を1台に集約したということです。


未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
仮想空間で鍛えられているので、「階段から降りる(落ちる)」「ボディーを押される(転がされる)」などでも、オートマティックに対応します。

すべて鍛えられた人工知能による運動能力によって出来ています。そのため、(持ち上げて落とされても)いつの間にか受け身もできるようになっています。


足の裏の感覚(タッチセンサー)も取り外して、カメラもついていない目隠し状態なので、このロボットは人工知能で、なんとなく持ち上げられているということは分かっているに違いありません。そういうことを仮想空間で学習しました。


人間に攻撃しない?古田所長「良い技術者に出会ったロボットは良いロボットに」

出水麻衣キャスター:
どれくらいの期間、学習させたのでしょうか。


未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
仮想空間では、時間にして大体4~5時間ですが、実世界では十数年分でしょうか。


井上キャスター:
何をどう学習したのでしょうか。


未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
「『階段をのぼる』など、いろいろな動作を仮想空間で学習します」というのは、昔からありました。

今回のロボットは、例えるならば、ペットの猫をジャングル等に置き去りにして十数年後に帰ってきたら、「見たこともない受け身」「見たこともない階段の上り方」みたいな動きを会得した生物に近い考え方です。


高柳光希キャスター:
実際、ボディーを押した際の動きが、衝撃映像などで見る身体能力の高い野生動物のような受け身だと思いました。


未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
よくある、いわゆる「ロボットウォーク」みたいな動きではありません。なぜかと言いますと、今までは人間が数式を解いて動きを作っていたのですが、このロボットは歩く、旋回する、受け身、1個も動きを作っていません

とにかく、仮想空間にぶち込んで、「いろいろな環境でとにかく動きなさい」「いろいろな環境の変化に対応して動き回りなさい」ということをしていました。時々、気まぐれで何かを喋ることもあります。


井上キャスター:
人間を攻撃するみたいな学習をして帰ってくる可能性もあるのではないでしょうか。


未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
それは多分ないです。

世の中にはいろいろなロボットがありますが、実社会で実際に見たことはないですよね。それは平らな所や、実験場や工場など、あらかじめ分かりきった環境でしか動かなかったからです。このロボットは、いろいろな未知の環境に対応する運動能力にあたる部分を作ったものになります。


人を攻撃するなど、何かするのは大脳の部分になります。大脳の部分はきちんと人間を攻撃しないようにと育てれば、そういったリスクはありません。

犬・猫でいうと運動能力を身につけてきたようなもので、教育して「人間を攻撃してはダメ」「こういうことをしましょう」と、大脳の部分に作り込んだら大丈夫です。


出水キャスター:
良い教育者に出会ったロボットは、人のためになる良いロボットに育っていくということ?


未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
まあ、良い技術者に出会ったロボットは、ですね。


井上キャスター:
悪用されて、その部分が解放されると怖いなという感じもします。


未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
これは技術の常です。どのような技術も悪い人が作ったり使ったりしたら、人を殺す兵器になってしまいます。

技術をいかにうまく利用して、世のため人のために使うか。我々、人間側の課題かもしれません。


10年後の日常にはロボット?人間型ロボットのメリットとは

井上キャスター:
古田所長によると、技術をうまく使えば10年後にはロボットがいる日常になる可能性があるということです。

例えば、スーパーの店員がロボットなのはもちろんのこと、人型ロボットが人間の代わりに買い物することもあるのではないかということです。


未来ロボット研究センター 古田貴之 所長:
人間型ロボットは人と同じ環境で動けるのがメリットです。

人間型ロボットがきちんと動くようになると、人の代わりにみんなと共存して、僕らを助けてくれるでしょう。それも、あと10年以内かと思います。

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<プロフィール>
古田貴之さん
千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター所長
日本を代表するロボットクリエイター

田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 慶応義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMia(イミア)」主宰


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