10月から多くの地域で最低賃金が上がり、すべての都道府県で初めて1000円を超えます。働く人にとってはうれしい知らせですが、人件費の上昇で一部の小売店では赤字になるとの試算も出ています。
人件費増でも激安スーパー 秘密は「陳列の工夫」
記者
「埼玉県のスーパーに来ているのですが、開店前から30人以上の行列ができています」
客のお目当ては、特売品です。豆腐1丁42円、カップ麺1つ117円、パックご飯は6つ入りで430円と、大特価。
客
「安いよね」
「(近隣では)一番安い」
物価高が続くなか、なぜ低価格を実現できるのか。その秘密は“陳列の工夫”だといいます。
マミープラス 武蔵浦和店 東本聖也さん
「商品がなくなると、ひっくり返すだけで、新しく商品が補充された状態になる」
牛乳がなくなっても、わざわざ並べる必要なし。さらにペットボトルの飲み物は段ボールのまま陳列するほか、カップ麺は運搬に使うカゴ台車にそのまま流し込んで販売。
マミープラス 武蔵浦和店 東本聖也さん
「効率化を図っているので、従業員数が半分になり、人件費が削減」
徹底的に人の配置を少なくする背景の一つには、最低賃金の引き上げによる人件費の上昇があります。
スーパーのある埼玉県では、時給1078円から1141円へ63円アップ。ほかの都道府県でも平均66円の上昇と、現在の制度が始まって以来の高水準に。初めて全国で時給1000円を超えることとなります。
最低賃金10月から1000円超 一部スーパーは“赤字”も
今回、賃金を大きく押し上げたのは、長引く物価高と異例の“政治介入”です。
山梨県 長崎幸太郎 知事
「(隣県との最低賃金の差が)人口流出の要因になりかねない」
時給が高い地域に人材を流出させまいと、地域同士の“賃上げ競争”が勃発。知事らが自ら引き上げを働きかける異例の展開となりました。
働く人にとっては、うれしい最低賃金の上昇。一方、急速な引き上げで、パート労働者が多いスーパーなど、小売業の一部は赤字に陥るとの試算も…
UBS証券 シニアアナリスト 風早隆弘氏
「一言で言うと、賃金の支払能力を上げられない会社は淘汰される」
安い労働力に頼らず、業務を効率化していくことが必要だと指摘します。
政府は今後5年で最低賃金1500円を目指していますが、実現には「より効率の良い働き方」の知恵を絞り出せるかがカギを握ります。
10月からもらえるわけではない!?引き上げ開始時期にバラつき
出水麻衣キャスター:
すべての都道府県で最低賃金が1000円を超えることになりました。ただ、地域によっては、すぐに1000円以上もらえるわけではないといいます。
例えば熊本・大分・秋田では、最低賃金が80円以上引き上げられることになりましたが、引き上げ時期は軒並み2026年となっていて、一番早い栃木(10月1日)と比べると、約半年も差があります。
また11月以降に賃上げを実施するという都道府県は、27府県にも上っています。
なぜ地域間でこれほど差があるのでしょうか。
一番遅い2026年3月31日に引き上げ予定の秋田県は、「急激な引き上げに、企業では就業規則を変更するなど、労働者全体の見直しが必要。準備期間として最大限確保した」としていて、事業者によって早く実施できるところは早く実施して良いということです。
井上貴博キャスター:
地域差もあれば、企業規模の差もあります。また年収の壁を意識して働いている人も多くいるため、複合的な制度の改革は必要になりますが、最低賃金が上がるのは一歩前進だと思います。
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