おこめ券が議論されるなか、自治体によってはこのタイミングで独自の支援策を打ち出しているようです。
【写真で見る】最大1万2000円お得も 各自治体で進むデジタル商品券
「おこめ券」値下げ 経費は2億円超
井上貴博キャスター:
政府が推し進める重点支援地方交付金ですが、物価高対策の部分では1人3000円程度です。
自治体にお金を配りますが、どこに使うのかは自治体で考えてと、言われている部分です。
推奨メニューという文言も出ていますが、「おこめ券」「電子クーポン」「商品券」「水道料金の減免」「学校給食費支援」「現金給付」などがあります。
自治体が独自に行っているもの、過去に行ったものなど、様々なメニューがあるので経費はどれくらいかかるのかを見ていきます。
台東区では、独自に「おこめ券」を配布しました。
その予算規模は約9.5億円でした。そこから経費を差し引くと、実質の支援規模は約7.1億円となりました。
経費として、約2.4億円かかっていることになります。経費率で考えると約25%です。
【経費 約2.4億円】
・事務経費(郵便代など) 約1.4億円
・発行元に1枚60円(500円→440円) 約1億円
郵便代などにかかるものが約1.4億円。発行元に1枚60円分(約1億円)が入るということですが、「これが利益誘導では」「経費率も高すぎないか」という報道がありました。
おこめ券は、今まで500円で販売していて、440円分に交換可能です。経費率が大きすぎるということで、販売価格を下げる動きが出てきていました。
具体的には、JA全農が480円台、全米販が477円だということです。
そうすると、経費が約2.1億円、経費率で考えると約22%となります。
やはり郵便代などの事務経費が約1.4億円。JA全農の場合は発行元に1枚40円分(500円→480円)の経費が入るので、約6700万円がJA全農に入るということになります。
「デジタル」でも安くない経費 内訳を見ると…
井上キャスター:
足立区は、デジタル商品券です。
Paypayで4000円分の商品券を購入すると、5200円分が使えるというものです。
最大10口購入することができ、4万円分を購入すると、使えるのが5万2000円分ということで、1万2000円がお得になるということです。
デジタル商品券の経費率はどのくらいになるのか、調べてみました。
足立区のデジタル商品券の予算規模は約14.2億円でした。経費を差し引くと、実質の支援規模が約12億円です。
経費として約2.2億円かかっていて、経費率は約16%でした。
内訳を見ていくと、サポート窓口設置などありますが、大多数がPayPay利用手数料としてかかっていることがわかりました。
「おこめ券は無駄だ」と大きく言われていた部分の経費が約22%で、一方でデジタルでの経費率は約16%ということで、デジタルも結構かかるということがわかります。
足立区では、紙とデジタルの両方で後押しすることを、7月に行っていました。
デジタルの商品券とデジタルで届かない方々に対して、紙の商品券ということで予算規模が約1.3億円、経費が6100万円かかりました。
単純計算では、経費率が約47%となります。
このときはデジタルの導入ということで、対応していない店舗の新規開拓なども合わせて6100万円かかったわけです。
こういった経費率がいろいろある中で、自治体の皆さんは頭をひねりながら、どうするかを悩んでいるところです。
ハロルド・ジョージ・メイさん:
自治体だけではやっていなくて、いわゆる企業、足立区の例ではPayPayを利用していますが、民間を通じて行うので、こういう計算になるのかなと思います。
そこは交渉なのか、あるいは社会的にPayPayの宣伝にもなるので少し還元して、といったこともできたかもしれません。
いずれにせよ、デジタルだろうが、紙だろうが、一定の手数料はかかるということです。
ただ、長期でやるのであれば、どこかでそういうインフラにも投資しないといけないですよね。
数年後にまた使えるようにするというのであれば、数年に渡って少しずつ払えばいいわけですよね。それは考え方の違いですね。
井上キャスター:
先ほどの足立区の例で言えば、最初に最大10口買える人はいいですが、そこまで余裕がない人との不公平感は、どう考えますか。
あとPayPayに限られていますが、使っていない人はどう考えるか。もっと言えばスマートフォンを持っていない人は、どうするのか。
そう考えると、自治体もなかなか知恵の絞り方が難しいというのは想像できます。
「現金給付」方針の自治体も 経費は600円?
井上キャスター:
現金を給付すると、どうなるのでしょうか。
新潟市は、物価高対策で1人3000円の現金給付の方針をたてました。
しかし、「経費がかかりすぎる」「米農家が多く、米が不要な人もいる」という声もあり、おこめ券ではなく、現金給付をしてはどうかという議論をしているそうです。
コロナ禍で10万円の現金給付が行われましたが、このときの経費を調べてみると約600円でした。経費率は0.6%です。
3000円の現金給付の場合も、経費は約600円ではないかということです。経費率では20%となります。
そうすると、おこめ券とあまり変わらなくなってくるのではないかという問題が見えてきました。
出水麻衣キャスター:
自治体の皆さんも、本当に頭が痛いでしょうね。
井上キャスター:
どこをとっても、経費率がある程度かかります。皆さんは、これをどう考えるでしょうか。
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<プロフィール>
ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者 1963年オランダ生まれ
現パナソニック・アース製薬の社外取締役など
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