
急速な物価高、そして円安がいま私たちの生活を直撃しています。かつて「デフレからの脱却」と「物価の上昇」を目標に掲げた日銀・黒田前総裁に話を聞きました。
【写真を見る】使える金は「実質増えている」日銀・黒田東彦前総裁が語る日本経済の今 円安進行の背景に“高市総理の発言”指摘 消費税減税には疑問【サンデーモーニング・風をよむ】
日銀・黒田前総裁に聞く日本経済のいま「冷静に家庭で考えて」
中東情勢の緊迫などを受けて急速に進む物価高。2026年になって、値上げは2万品目以上にのぼるとみられています(※帝国データバンク調べ)。
また、輸入品価格高騰につながる円安も加速し、いまや1ドル=160円台に。
かつて、日銀総裁としてデフレからの脱却と、物価安定に努めた黒田東彦氏は、今の経済状況をどうみているのでしょうか。
前日銀総裁 黒田東彦氏
「平均的には物価が上がった分の消費財を買えるだけの賃金は上昇している」
ーー生活者にとってみると物価は上がっている。賃金上昇の実感はまだ感じられないが?
前日銀総裁 黒田東彦氏
「冷静に、どれだけ賃金とかで収入があって、そのもとでどういう風に生活をするのか、家庭でよく考えてほしい。賃金・物価の好循環も始まった」
「物価高を上回る賃金上昇が見られる今の状況は、決して悲観するようなものではない」と語ったのです。
アベノミクスは「非常に成功」物価高に黒田前総裁は…
安倍晋三総理(2013年1月当時)
「デフレ脱却と過度な円高を是正し…」
第2次安倍政権が推し進めた経済政策、いわゆる「アベノミクス」。その根幹をなしたのが...
日本銀行 黒田東彦総裁(2013年4月当時)
「これまでとは次元の異なる金融緩和であります」
黒田日銀総裁(当時)が打ち出した「異次元の金融緩和」と、異例ともいえる「マイナス金利」政策の導入。
結果として、株価上昇などの成果をあげましたが、この点について黒田氏は...
前日銀総裁 黒田東彦氏
「アベノミクスということで(金融の)大幅な緩和を始めた。その結果、デフレでもなくなり、経済成長率も1%台前半の成長をして、経済は完全に立ち直った。非常に成功したと思います」
当初、「物価上昇率2%」の目標達成を掲げて大々的に行われた金融緩和。その後、物価は2022年から4年連続で2%を超え、2025年、3.1%にまで上昇しました。
こうした物価高が今、生活に暗い影を落としていますが、黒田氏はあくまで賃金上昇の効果が上回ると主張します。
前日銀総裁 黒田東彦氏
「賃金は5%ぐらい上がっています。完全に消費者物価の上昇率を上回る賃金で。だから、実質的には(使える金は)増えている」
「インフレ進むだけ」高市政権の“責任ある積極財政”に疑問
さらに物価上昇の一因ともされる、現在の急激な円安について、「黒田日銀が進めた異次元の金融緩和が関係あるのでは」との質問には...
前日銀総裁 黒田東彦氏
「(異次元緩和とは)全然関係ない。円安も今、特に高市総理の発言以降、急激に進んだ。ある意味で異常な事態。一つには高市総理の発言がインフレ期待を引き上げて為替安に行く」
高市総理が掲げる「責任ある積極財政」が、現在の円安を加速させていると、黒田氏は語ります。
さらに、高市総理が意欲を示す消費税の減税についても...
前日銀総裁 黒田東彦氏
「減税したらインフレになってしまうだけ。(物価は)今安定している。そういうものに対する対応策はもう必要ない」
消費税減税などの積極財政は、さらなるインフレを起こすと疑問を投げかけたのです。
前総裁に聞く「利上げ」の判断 時代で変化する日銀の役割とは
アベノミクスのもと、異次元の金融緩和を推し進めた黒田・前日銀総裁。
2年程度で物価上昇2%を達成しようという出口戦略を描いていましたが、コロナ禍などの要因によって困難に。
前日銀総裁 黒田東彦氏
「(コロナの要因とか)そういうのがあって、なかなか2%の物価安定目標の達成もできなかった」
結局、異次元緩和のもと行われたマイナス金利政策も、解除したのは2024年3月、後任の植田総裁になってからでした。
利上げという難しい舵取りを託された植田日銀。2025年12月には、政策金利を0.75%へと引き上げ。さらなる利上げに前向きな姿勢を示していますが、この点について黒田氏は...
前日銀総裁 黒田東彦氏
「非常に適切だと思います。経済成長は1%程度で順調、雇用も非常に強い。今年来年にかけて徐々に(金利を)上げていくということでやっているので、全く問題ない」
そして、日銀に求められる役割も、時代によって違うと黒田氏は言います。
前日銀総裁 黒田東彦氏
「(当時)低金利にしたのは、別に政府が国債を発行しやすくするためにやったわけではない。それに乗じてどんどん国債発行して歳出していた責任はやはり政府と国会にある。日本銀行に責任はない」
「日本銀行は政府や国会が財政規律を緩めて、どんどん使うようなことをしないようにする。しかし、金利を高くしていればいいというわけではない。そうすると物価の安定が保てない。そういう観点から政府から独立のものになってくる」
日銀は政治から独立して、その役割を果たすことはできるのでしょうか。
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