世界中のウェブサイトで使われるプログラミング言語「PHP」に欠陥が見つかった問題。ウェブサービスを停止する動きが広がっていますが、影響は「命をつなぐ現場」にも及んでいます。
【写真を見る】PHP脆弱性 公表前に見られたサイバー攻撃の痕跡
各所で広がる“PHPショック”
薬剤師(60代)
「21日の夜、みずほからドコモ銀行に送金しようと思ったらメンテナンス中で、22日の朝見たら、まだメンテナンス中で。サイトが使えないのはなんとか我慢できても情報漏洩(が怖い)」
派遣業(20代)
「勤怠の(システムに)入れる人と入れない人がいて、それを連携取らなきゃいけなかったり、工数は発生した。それ巻き取ってくれた子は、1時間とか帰るの遅くなってた印象」
パート(50代)
「推しのアイドルグループのツアーのホームページに入れなくて、チケットの情報とか欲しかったんですけど。ソワソワします。早く知りたいっていう、推しの情報なので。緊急性が高いです。なきゃ生きていけないんで」
21日、「重大な欠陥が見つかった」と発表されたプログラミング言語「PHP」。
その影響は、どこまで広がっていくのか。もはや、見当すらつかないかもしれません。
記者
「県では、各部局が管理する個別のウェブサイトについて、安全性の緊急点検を行っています」
対応に追われていたのは、静岡県庁の職員たち。
静岡県では、情報保護の緊急策として、県の公式ホームページ内の一部機能を停止しました。
「クマ出没アプリ」「合格発表」にも影響
本格的な秋を迎え、クマ出没への警戒が高まる青森県。
被害を防ぐため、八甲田山にAI機能を搭載したカメラ12台を、21日に設置したばかりでしたが…
喜入友浩キャスター
「カメラの情報が反映される『くまろぐあおもり』ですが、リンクを押してみるとメンテナンス中となっていて、情報を確認することができません」
このほかにも、国立の京都工芸繊維大学では、「ホームページを閲覧できない状態」にしたとして、大学院入試の合格者発表をSNSで行いました。
なぜ、ここまで影響が広がっているのか。
そもそも、「PHP」は、ウェブサイトを制作する際に欠かせない仕組みの一つ。
使い勝手の良さから、全世界のウェブサイトの約7割で使われているとされています。
専門家は、今回見つかったPHPの脆弱性を、家に例えながらこう指摘します。
県立広島大学 佐々木宣介 准教授
「特定の窓やドアに穴が開いているというレベルではなく、(家の)土台のところに大きな穴が開いていたと。非常に大変な大きな問題」
「PHPの欠陥」については、オープンAIが21日、自社のAIモデルを活用して発見されたと明かしていました。
PHPは修正プログラムを公開したものの、サイバー攻撃によりサイトが乗っ取られる恐れがあることから、「予防措置」として企業や省庁などでウェブサービスの一部を停止する動きが広がったのです。
「緊急の電話が…」“新たな命”に関わるリスクも
それは“新たな命が生まれる”現場でも…
横浜市にある産婦人科。予約管理などを行うシステムがサイバー攻撃を受け、1週間ほど前から利用できなくなっているといいます。
そのシステムでは、赤ちゃんのエコー写真も見られましたが…
プラタナス産婦人科クリニックながつた 望月昭彦 院長
「映らない。(本来は)画面がここにキャプチャーされて映るので、それを録画するという感じ」
そこでクリニックは、急遽、代わりの予約システムを立ち上げました。しかし…
望月昭彦 院長
「21日の夜にPHPの更新があるということで、このサイトも午後10時半から止まった」
代替システムは幸い、22日午前7時ごろに復旧したということですが、予約システムの停止は、“胎児の命”に関わることだと話します。
望月昭彦 院長
「電話で患者さんの予約を受けると電話回線が埋まってしまう。妊婦さんが緊急で電話してきた時に繋がらなくなるという可能性もある」
Q.(トラブル)2回続いたことはどう受け止めた
望月昭彦 院長
「自分たちで自衛していかないといけなくなってくるとは思うが、正直私らのようないちクリニックでどうにかできる問題ではない。どう対応していいか」
各国が相次ぎサイトを閉鎖…脆弱性公表前から攻撃の形跡も
高市総理(22日)
「(報道)各社ウェブサイト大丈夫でしたか。うち(高市事務所)は遮断しました」
こうした事態を受け、政府は、「PHP」を使用したウェブサイトを運営する事業者に対し、修正用プログラムの速やかな適用を推奨。「今後も必要な注意喚起をおこない、適切な対応を実施する」としています。
影響は海外でも…
オランダの国家サイバー安全保障センターは、ウェブサイトをインターネットから一時的に遮断したと発表。
フランス内務省も、地方自治体のウェブサイトを、一時的にオフラインにしたと明らかにしました。
ロイター通信によると、これまでにドイツやベルギーなども政府関連のウェブサイトを一時停止したということです。
こうした事態に、アメリカのNSA=国家安全保障局のほか、イギリスやEUのセキュリティ当局も、PHPを使用している組織に対し、「修正プログラムへの更新」を呼びかけています。
アマゾンに“サイバー攻撃の形跡”
各国が対応に追われていますが、攻撃の魔の手は、すでに忍び寄っていたことがわかりました。
サイバーセキュリティ大手「クラウドフレア」CEO
「問題が公表される10時間前には、脆弱性を狙った自社ネットワークへの攻撃が数千件確認された」
アメリカのサイバーセキュリティー大手「クラウドフレア」のCEOは、自身のXでこのように指摘。
さらに、脆弱性が公表された2時間後には、攻撃の数は数百万件にまで急増したと明らかにしました。
また、アメリカのIT大手アマゾンも「PHPの脆弱性が公表される4日前からすでに何者かがサイバー攻撃を試みた形跡があることを確認した」と発表。
PHPの問題について不審な点がないか調べる際、脆弱性が公表された21日ではなく、少なくとも17日までさかのぼった調査を呼びかけています。
「公表2時間で数百万件」の攻撃急増… 便利さの裏に潜むリスク
藤森祥平キャスター:
現在、世界各地に影響を及ぼしているのが「PHP」をめぐる問題です。
PHPとは、人間がコンピューターに指示を出すために用いられるプログラミング言語の一つです。使い勝手の良さから、現在、全世界のウェブサイトの約7割で使われているとされています。
このPHPにおいて、21日に重大な欠陥が見つかりました。
例えば、インターネットの通販サイトで洋服などを購入する場面を考えてみましょう。
画面上に商品の種類やサイズ、色、数量、そして合計金額などを表示する処理を行っているのが「PHP」です。いわば、Webサイトの裏側で注文や表示をさばく「店員」のような役割を果たしています。
今回、その仕組みに重大な欠陥が見つかりました。この脆弱性をサイバー攻撃者などに狙われた場合、システムが悪用されたり、Webサイト自体が乗っ取られたりする恐れがあります。
小川彩佳キャスター:
そのため、予防措置としてウェブサービスの一部を停止する動きが、世界中で広がっています。
米IT大手「アマゾン」では脆弱性の公表4日前から攻撃を試みた形跡が確認されました。さらに、米サイバーセキュリティ大手の「クラウドフレア」CEOからは「脆弱性の公表2時間後には攻撃が数百万件に急増した」という報告も上がっています。
小説家 真山仁さん:
手元のスマートフォン一つで、欲しいものの購入から予約まで完結する利便性を、私たちは日常的に享受していますが、その仕組みについては、ほとんど知りません。
これは結局のところ、利便性と安全性のどちらを優先すべきかという問題です。人が構築したシステムである以上、それを破る技術や攻撃が存在するのも事実です。
そうなると、私たちが仕組みを理解しないまま便利さだけを追求し続けて良いのか、一度立ち止まって考える時期に来ているのかもしれません。しかし、一度手にした利便性を手放すことは難しいですよね。
小川彩佳キャスター:
サイバー攻撃による被害が国内で相次いでいることを受け、経済産業省は所管する独立行政法人に「ホワイトハッカー」のチームを新たに立ち上げる方向で検討に入ったということです。
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