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スペイン 非正規移民50万人受け入れ「少子高齢化」「地方の過疎化」対策、日本が学べることは?【Nスタ解説】

海外
2026-05-21 20:43

アメリカをはじめ世界中で移民政策が厳しくなる中、その逆を行くのがスペインです。今回、受け入れを発表した移民の規模は50万人。一体なぜなのでしょうか?


【写真で見る】移民支援団体の事務所前に行列を作る大勢の移民


スペイン 50万人規模の移民の受け入れへ 背景には少子高齢化も

JNNロンドン支局 城島未来記者:
スペインの首都・マドリードにある、移民を支援する団体の事務所の前にいます。


今回の50万人規模の移民に在留資格を与える特例措置ですが、申請の締め切りが6月いっぱいということもあり、事務所の外まで列ができているような状態になっています。多くの人が書類手続きのサポートを受けるために並んでいます。


高柳光希キャスター:
50万人規模の移民に在留資格を与えるという特例措置の背景には、スペインの▼少子高齢化▼農村部の人口減少の2つの問題が大きく関わっています。


約15%が移民のスペイン なぜ移民が多いの?

2000年代からスペインは「移民政策」を本格化しており、2025年9月時点で住んでいる移民の数が約740万人います。スペイン全体の人口は5000万人弱のため、約15%が移民ということになります。


どうしてスペインには、移民の人たちが多いのでしょうか?


理由は、歴史的背景と地理的要因の2つが考えられます。


まずは歴史的背景から見ていきます。かつてスペインは、中南米を植民地支配していた一方で、アルゼンチンやメキシコにはスペイン人が亡命をするという歴史もありました。


そのため、中南米にはスペイン語を話せる人たちが非常に多くなっています。移民としてスペインに渡った人たちの多くも、スペイン語圏の中南米で生活をしていた人たちであるということです。


次に、地理的要因です。スペインは、アフリカ大陸と非常に近いです。特にモロッコとスペインの間のジブラルタル海峡は、約13kmしかありません。


そのため、北アフリカの人たちを中心に、スペインへのルートができていました。難民の人たちも、そのルートを通ってスペインに移民として渡っていくということもあったようです。


それに加えて、非正規の移民を合法化する制度もあったということですよね。


JNNロンドン支局 城島未来記者:
“アライゴ”と呼ばれる制度があります。

【アライゴ】2000年~
非正規で滞在している移民に「条件を満たせば在留資格を与える」制度
<条件>
▼一定期間スペインに居住
▼就労先や生活基盤がある
▼犯罪歴がない など


元々このような合法化の制度は存在していましたが、今回の50万人規模の特例措置では、条件をさらに緩和し、必要な滞在期間などが短縮されました。


移民と過疎地域をマッチング? GDP成長に移民も貢献

高柳キャスター:
他にも政府や慈善団体が連携して、スペインへの定住を希望する移民と過疎化が進む地域をマッチングするという制度もあります。


JNNロンドン支局 城島未来記者:
取材したアンヘルさん一家は、ベネズエラ出身で7年前に妻と2人の息子とともにスペインにやってきました。経緯としては、観光ビザで入国後、非正規の滞在となりました。その後在留資格が国から与えられ、過疎化した村に定住し、貴重な労働力となって税金を納めて暮らしています。


高柳キャスター:
実際に2025年のGDPの実質成長率を見ると、成長率は2.8%と他のヨーロッパ諸国に比べて高くなっています。


【2025年 実質GDP成長率】IMF(国際通貨基金)のデータより
1位:スペイン 2.8%
2位:イギリス 1.3%
3位:フランス 0.9%
4位:ドイツ 0.2%


このような成長率は、移民の皆さんの力もあったと考えられますね。


JNNロンドン支局 城島未来記者:
スペイン移民省の事務局長も、スペインで新たに創出された雇用の約15%は移民によるものであるとしています。そして、今後数年間のスペインの経済成長の予測は、EU諸国の平均を上回っていると話していました。


少子高齢化によってスペイン人の人口が減っていく中、移民の受け入れによって労働人口や生産年齢の人口が増える。その結果、所得や消費が押し上げられているという実態があります。


日本の移民政策 立ちはだかる言語の壁や円安

高柳キャスター:
日本では、日本語を喋れる人は日本にしかほとんどいませんが、スペインのケースから学べることもたくさんありそうですね。


井上貴博キャスター:
言葉の壁や地理的条件など様々な違いがあると思いますが、いずれにしても少子高齢化と人手不足をどう補うのかは世界各国が突きつけられた課題です。


その一方で、不法就労や不法滞在が問題になっているため、取り締まりを厳しくしている国や、ビザの取得要件を引き上げた国もあります。そういう中で、日本はどういう国作りを目指すかという事だと思います。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
日本は、技能実習制度をやめ、特定技能の制度で移民受け入れを始めています。聞いてみると2028年ごろは約123万人受け入れようとしていますが、現在は30数万と全く目標に達していません。


原因としては、言語など制度的な壁が非常に大きいことがあげられます。また、最近は円安の壁もあります。日本の円が高ければリッチな感じがしますけど、仕送りしてもあんまり円安だとうまみがないということもあります。


そういう点では、全体的にどういう制度をつくるか。そして円安の壁をどう乗り切るかについて、スペインのように、経済成長にも関係してくるため、もう少し受け入れをしていく必要があると思います。


ただ、この点に関して高市政権はどちらかというと消極的です。


井上キャスター:
フランスやポルトガルも最初は融和に舵を切っていましたが、移民受け入れ反対の方が強くなっています。


やはり移民を急速に増やすと文化的な摩擦がおきるなど、様々なケースがあります。


TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
ドイツやフランスでは、慎重論を唱える政党も出てきたりしていますが、スペインはそのような意味ではうまくいってるケースだと思います。


スペイン極右政党「移民政策は“自殺行為”」犯罪者の紛れ込みを心配する声も…

高柳キャスター:
城島さん、スペイン国内でも職を奪われるなど、軋轢はありますか。


JNNロンドン支局 城島未来記者:
そうですね。当然スペインでも反対派はいます。


今回の手続きの停止を最高裁に求めている極右政党「VOX」を取材しました。


——サンチェス政権の移民の特例措置について、VOXはどのようにお考えですか?

極右政党「VOX」イグナシオ・ガリーガ総書記
「スペイン政府は自殺行為といえる移民政策をさらに一歩進めた」
「不法に入国することは誰にも許されない」


また、会見で極右政党「VOX」イグナシオ・ガリーガ総書記は、「もし自分たちが政権を取った場合、非正規に滞在している移民は強制送還させる」と断言しています。


国内でもこうした移民政策を巡って様々な意見があるというのが実態です。


また反対派の市民からは、今回の政策の規模があまりにも大きいため、犯罪者が紛れ込むのではないかという心配の声もありました。


今回の申請に関しては、犯罪歴がないことの証明書を提出しなくてはいけないため、そうした可能性というのは限りなく低いと言えます。ただ、政府にはこうした反対派の国民の不信感とどう向き合っていくのかという課題も残されているといえます。


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<プロフィール>
城島未来
JNNロンドン支局 特派員
欧州やアフリカを取材

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年


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