開票が進んでいるアメリカの中間選挙。アメリカメディアは「上院」「下院」の両方で民主党が過半数を獲得することを確実にしたと報じていました。トランプ大統領の「共和党」が劣勢となり、今後、日本にどんな影響があるのでしょうか?
【写真を見る】ガソリン、輸入品の価格どうなる? 日本への影響は?
民主党が上下両院で過半数確実に
井上貴博キャスター:
ここまでトランプ大統領率いる共和党に厳しい状況になっていくと、大統領自身の監視、「トランプファミリービジネス」の不正追及にも発展するかもしれません。
ここまでの状況になっているのは、なぜなんでしょうか。
上智大学教授 前嶋和弘さん:
世論調査通りだったので、実は驚きはありません。
そもそも中間選挙というものは、大統領の応援団が投票に行きません。
中間選挙は、大統領選挙に比べて10ポイントから15ポイント投票率が低いんですね。これは大統領に投票した人が行かないので、最初から不利なんです。
不利なんですが、その不利な状況がもう少し大きく出たかな、というふうに見えました。
出水麻衣キャスター:
やはり物価高への不満というものが噴出しているような形なんでしょうか。
上智大学教授 前嶋和弘さん:
民主党支持者については、明らかにそうですよね、民主党支持者の方がおそらく今回、(投票に)行っていると思います。
民主党支持者、あるいは無党派の中の民主党寄りの人たちがより多く行った。また、大統領に通常入れる共和党の支持者、あるいは無党派の中の共和党寄りが投票に行かなかったのではないでしょうか。
「民主党と協力する」今後トランプ大統領はどうする?
井上キャスター:
トランプ大統領にとって、国内の政治がなかなか上手くいかないとなると、フリーハンドになる外交でかなり攻めてくるのではないかという見方もあります。
トランプ大統領のやり方が今までと変わるのか、それほど変わらないのか、今後どうなっていくのでしょうか。
JNNワシントン支局 大橋純 記者:
トランプ大統領がどのように考えているのか次第になりますが、これまでトランプ大統領は議会をそれほど重視してこなかったということがあります。
本来、関税は議会を通して進めなければいけない政策ですが、大統領令で強引に押し進めてきたという経緯があります。
現段階では「民主党と協力してやっていきたい」というようなことを言っていますが、いつまで続くのか分かりません。
徹底的に今後は議会をスキップして、議会を外して自分のやりたいことをやれる範囲でやっていくということがあり得ます。さらに政治が混乱していく可能性はあるとみています。
「不正チェック・監視はとても厳しくなる」トランプ氏は議会を無視していくか
井上キャスター:
このような状況で不透明性が増していっています。
【民主党 両議院で過半数獲得へ】
・ガソリンなどエネルギー価格
・輸入品の価格
→ともに大きく変わらない可能性
※アメリカ政治・外交に詳しい上智大学 前嶋和弘教授より
上智大学教授 前嶋和弘さん:
民主党側がトランプ大統領を止めることができるかというと、法律などでやっていくのもおそらく最終的にトランプ大統領が拒否権を使うのでできないとみられます。
例えばイランへの攻撃をやめたらガソリン価格が変わっていきますが、攻撃をやめさせることはなかなかできません。議会は無視してフリーハンドに近い形でやっていくと思います。
輸入品の価格については、これも基本的には議会無視してやっていくとなると、大きく変わるとは思いにくいんですよね。
出水キャスター:
今回の選挙結果は大統領にとっても大きなインパクトはあまりないということでしょうか。
上智大学教授 前嶋和弘さん:
議会がやれることは、法律とともに調査・捜査です。監視・不正のチェックみたいなものは、一気に行われると思います。
トランプ大統領に対して、「なぜ関税をかけたのか」「なぜイラン攻撃をしたのか」など、連日連夜にわたって追及され、公聴会が今後行われることになると思います。
ただ、最終的にそれが弾劾になるかというと微妙で、下院で過半数を取ると弾劾の裁判は上院に持っていけますが、上院の場合は3分の2が必要なので、なかなか成立はしないでしょう。
しかし、ムードは大きく変わって、不正のチェック、監視はとても厳しくなると思います。
株価“数か月”乱高下か トランプ氏推進のAI・半導体株は
井上キャスター:
ムードが大きく変わりつつあるという話がありましたが、11月4日、日経平均株価が一時3000円以上値下がりしました。
共和党のトランプ大統領は、AI、半導体をとにかく推し進めて、データセンターにお金を出して、株価をあげてきました。
しかし、民主党はそれにストップをかけようとしています。その民主党が上下両院を取ったとなると、アメリカ政治の不透明感が強まるということになります。
AI投資にブレーキがかかることになると思いますが、長期的に見るとそんなに影響はないのでしょうか。
会社経営者・投資家 池澤摩耶さん:
一言で言うと、ここから荒れると思います。
私は上院か下院のどちらかで民主党の議席が増えると思っていました。
しかし、ここまで民主党が大勝してしまうと、しばらく乱高下が続くというか、株価もどっちに行ったらいいか分からないというのがマーケットの判断になると思います。数か月間はそのような状況が続くのではないかとみています。
長い目で見たら、中間選挙のあとに株は持ち直すことがとても多いので、2027年の今ごろまでを考えれば上がっていくのではないかと思います。ただ、AIや半導体関連は少し心配ですね。
上智大学教授 前嶋和弘さん:
データセンターに関しては、州も重要なんです。今回はテキサスあたりは知事が変わることになりましたが、州が「許認可権」を持っているケースが多いので、実は連邦議会の上院下院よりも州の方が重要です。
まだ結果は出てませんが、これを見ていくと「データセンターの建設にNO」という動きになっていくかもしれないです。
そうするとAIをどんどん推進して、「AIは規制なし」などと言っていたトランプ大統領の立場も変わらざるを得ないかもしれません。
トランプ氏「結果を喜んで受け入れるつもり」も“拒否権”意味する言葉
井上キャスター:
また、トランプ大統領の言うことが変わっています。
ニューヨーク・タイムズの取材には「私は結果を喜んで受け入れるつもりだ。我々は民主党と協力するつもりだ」とコメントしました。
しかし、この後にSNSには、拒否権を意味する言葉を投稿しているということです。
上智大学教授 前嶋和弘さん:
トランプ大統領の社交辞令で、「今回、民主党強かったね」「分かったよ」というメッセージだと思います。
でも、法案を作るには上院・下院を通った後に大統領が署名しないといけません。ただ、大統領には拒否権があります。
なので「法案そのものは絶対通さない」「私は“ミスター拒否権”になる」ということを言っているわけです。
「民主党が変えようと思っても、この政治は変わらない。私は今のペースで行くぞ」というメッセージです。
出水キャスター:
民主党がこれから物価高対策の法案などをあげても、トランプ大統領が拒否権を連発すると、ひいてはトランプ大統領や共和党に跳ね返ってこないのでしょうか。
上智大学教授 前嶋和弘さん:
見逃してはいけないのは、今回の中間選挙には行かなかったかもしれないですが、共和党支持者の中でトランプ大統領の支持は強いです。
全体で30%台だけど、共和党支持者は国民の3割、トランプ大統領の支持は、とある調査では低くて75、またとある調査では高くて86なんです。
民主党支持者は国民の3割です。
何かと言うと、トランプ大統領がやっている政策はいい、民主党がやる方が悪いと最初から信じ切っているところがあるので、自分のところに戻ってくるみたいなことはなく、ただ「民主党側がやっている悪い政策を、俺は止めたんだ」みたいなことをおそらく言うのだと思います。
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<プロフィール>
前嶋和弘さん
上智大学教授 専門は現代アメリカ政治
中でも「メディア」「選挙」「連邦議会」の関係を研究
池澤摩耶さん
元外資系投資銀行のトレーダー
2児の母で会社経営者・投資家
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