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消費税減税法案、財源も、給付制度も、「何も決まらないまま審議入りの不思議」【播摩卓士の経済コラム】

経済
2026-10-17 14:00

臨時国会が始まりました。日本の歴史上初めてとなる、消費税を引き下げる法案の行方が最大の焦点です。しかし、閣議決定された消費税減税法案では、その財源や、2年後に新たに導入する給付制度などが、全くわからないままです。いわば肝心のことが何も決まらないまま、これだけ重要なことを審議するという、異例の展開となっています。


【写真で見る】消費税減税法案、財源も、給付制度も、「何も決まらないまま審議入りの不思議」


飲食料品の消費税を2年間1%に

9日に閣議決定した消費税減税法案では、2027年4月から2年間に限って飲食料品の消費税率を今の8%から1%へと、「臨時的」に引き下げることや、2年後の2029年に再び8%に戻った際に、中低所得者向けの所得連動型の「就業者負担軽減支援金」制度を導入することが盛り込まれています。


また、新給付制度までのつなぎとして、2年間は、1%分に相当する6000億円規模の給付金を中低所得層に支給し、食料品消費税の「実質ゼロ化」を図るとしています。


未だ10兆円の財源は決まらず

しかし、肝心の、年5兆円、2年で10兆円に及ぶ、消費税減税の財源については、依然として未定のままです。高市総理大臣は所信表明演説で、「赤字国債には頼らない」、「心配には及びません」と大見得を切りました。しかし、心配しなくていいという「根拠」は全く示されておらず、年末の予算編成までには決めますから、という立場です。これでは、どう審議すればいいのか、困ってしまうだろうと思わずにはいられません。


高市政権にすれば、インフレによって税収の大幅な上振れが見込まれるので、最大限、税収増に頼るという腹積もりなのでしょう。


今年度も数兆円規模の税収上振れか

確かに税収増は、期待できる状況です。昨年度、2025年度の税収は、当初予算段階で77.8兆円でしたが、補正で80.7兆円に上方修正され、決算では84.2兆円にまで上振れしました。当初予算比では6.4兆円もの大幅増収です。インフレが税収に及ぼす効果は絶大なようです。


経済財政諮問会議の民間議員を務める第一ライフ資産運用経済研究所の永濱利廣氏は、今年度(2026年度)の税収について、当初予算段階の83.7兆円から89.8兆円へと、6.1兆円も上振れするとの試算を明らかにしています。


最終的な税収が確定するまでには、成長率の動向など多くの不透明要素がありますが、年5兆円であれば、税収増で対応することが、そこそこ可能なのではないか、というのが関係者のコンセンサスなのでしょう。


防衛費大幅増額や官民投資などの歳出増加

しかし、来年も5兆円税収増が期待できるかは全くわかりませんし、消費税減税以外にも、財源が必要なものが数多く存在しています。まず避けられない防衛費の大幅増額、積み残しになっている子育て支援予算の手当て、さらには高市政権の看板政策である「総額370兆円の官民戦略投資」への国費投入など、大きな歳出項目は目白押しです。


いわば「虎の子」の税収増を消費税減税に使ってしまえば、他の歳出増には、赤字国債を充てるほかなくなってしまいます。


消費減税のために「補助金」支出も

消費税減税にあたっては、レジシステム改修への補助金、減税で実質所得が目減りする農家への所得の補填、打撃を受ける外食業者への支援など、減税を実現するために、多くの補助金を追加支出までするという、「笑い話」のようなコストもばかになりません。


新給付制度は、対象も額も規模も、未定のまま

一方、2年後の2029年に飲食料品の消費税を再び8%に戻す際に、新たに導入する予定の給付制度、「就業者負担軽減支援金」についても、制度設計はこれからです。現段階では、その対象者や支給額、全体の歳出規模などは全く不明です。欧米諸国の例から、年収500万円以下のどこかが支給上限となり、対象は1000万人単位、兆円単位の支援という相場観があるだけです。これでは、消費税を8%に戻すのに適当なのかどうか、議論を深めることは難しそうです。


まして、新給付制度の財源をどうするのか、なんて話は、全く見通せていません。


2年後8%に戻せるのか

そもそも2年後に、1%だった消費税を再び8%に引き上げることが、本当にできるのか、やっていいのか、という議論が何より重要です。生活に一番身近な食料品の消費税を一気に7%引き上げるなどということは、経済にショックをもたらすリスクの極めて大きな政策です。すすんでやるべきことではない、と私は思います。


できないこと、やらないほうが良いことがわかっていながら、それに突き進むのだとしたら、あまりに無責任な政治ではないでしょうか。


金融市場を気にするのはいいが

高市総理は、金融市場の反応を気にして、ひたすら「2年後必ず8%に戻す」と言い続けているのでしょうが、市場は、まさにその本気度をしっかりと見ているのです。アメリカのベッセント財務長官からの圧力を受けて、「今はリフレ政策はとっていない」といくら繰り返そうが、市場の警戒感が解けないのは、信じるに足る、具体的なファクトが何も提示されないからです。


国会では、「年5兆円もの家計支援が、本当にいま必要なのか」、仮に必要だとしても「消費税減税がベストの方法なのか」をきちんと議論して欲しいものです。日本経済の今後の行方を左右する、大事な数か月になりそうです。
 


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