ルールを守らない“ごみ出しの対策”として、福島市は来年の施行を目指し“ごみを開封調査し出した人を特定する条例”を作り、悪質な違反者については市のホームページで氏名や住所の一部を公表する方針を示しました。
【写真を見る】違反ごみを“開封調査” 条例制定へ…その背景とは
昨年度の“違反ごみ”約9000件 福島市が条例制定の方針
良原安美キャスター:
悪質なごみ出し対策として、福島市が条例を制定する方針を決めました。
現在の対応は、回収業者が“違反ごみ”を確認した場合、回収せず黄色いシールを貼り警告。個人が特定できた場合は、直接指導を行うという形をとっています。
条例制定後は、黄色いシールで警告された後、市の職員が赤いシールを貼って再警告、そのごみを置いたままにします。
1週間後、市の職員が開封調査し、特定ができた場合は、直接指導を行います。
ここでも改善がなかった場合は、「改善勧告」を行います。それでも改善がなく、悪質な場合に市のホームページで氏名や住所などを公表するという流れです。
2023年度、福島市の“違反ごみ”の数は約9000件、重さにして約50トンありました。生ごみなどを放置できないものは仕方なく回収をおこないますが、やはり回収されない“違反ごみ”も多かったといいます。
福島市の木幡浩市長は「不適切な排出をして、その人たちはそれで許されるんだと…。適正に処理される方に申し訳ない」と話しています。
条例ができたのち、ごみの開封調査が行われるようになった場合は、プライバシーに配慮して行われます。ごみ集積場では開封せず、市民の目に触れない場所に運び、一部の職員で開封するということです。
悪質な場合、2000円以下の過料の自治体も
良原キャスター:
こういった開封調査を行っている自治体は他にもあります。
千葉市では、2011年からごみの開封調査を行っていて、悪質な場合は2000円以下の過料を科すということです。今のところ過料が科されている人はいないそうです。
こうした取り組みもあってか、年間の焼却ごみは約30万トンあった2007年度から、2023年度は約22万トンに減少しているとのことです。
井上貴博キャスター:
自宅の賃貸マンションのごみ置き場でも、ひどい方がいます。氏名の公表や、過料を科されるのが嫌であれば、きちんとごみを出せばいいだけですよね。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
市の職員もわざわざごみ袋を開けて調べたい、とは全く思っていないと思います。一人ひとりが気をつければいいだけの話なので、ちゃんとやってほしいですよね。
ホラン千秋キャスター:
「悪質」と言っても、どこからが「悪質」なのかも難しいですよね。1つだけ紛れているものを気づかずに置いていることもあると思うので、悪質の度合いが難しいと思います。
集積場で「ちゃんとやってください」という意味で、氏名を公表することはいいと思いますが、市のホームページは数多くの人が見られるもので、そこで氏名・住所などが出てしまうのはどうなのかとも思います。
そこの塩梅の議論は必要だと感じますが、みんなが不公平感なくごみを捨てられる方がいいですよね。
良原キャスター:
他の自治体は、ホームページでの公表までは行っていなく、過料までとなっています。
福島市では、事業者のごみの出し方にも問題があるという背景もあるようです。
自治体で分別に差 なぜ?
良原キャスター:
自治体によってごみの分別に差がありますが、なぜ差が生まれるのでしょうか。
廃棄物分別に詳しい中央大学総合政策学部の篠木幹子教授によると「各自治体が考えるリサイクル方針だけではなく、設備(施設など)によって分別数に違いがでる」ということだそうです。
例えば、▼リサイクルを推進している自治体だと、分別が多くなる傾向にあるそうです。
また、施設(設備など)一般的に、▼リサイクル施設が無い自治体だと、分別が少なくなる傾向にある。また、有害物質が出ない▼高性能な焼却炉が有る自治体は、分別が少なくなる傾向にあるということです。
紙類だけでも9項目 日本一?分別が多い町では
日本で最も分別が多いとされている徳島県上勝町では、分別項目は1998年には22項目、2001年には35項目、2024年には13種類43項目にわたっています。
例えば、「紙類」の分別では、ノート・雑誌、アイスのカップ、レシートなど9項目に分かれています。レシートはリサイクルできないので、分けなくてはならないということです。
人口は約1400人の小さな町で、ごみの収集がないそうです。ごみステーションに町民が自ら持参するという形をとっています。
上勝町役場 担当者
「出来るだけごみを資源としてリサイクルし、ごみゼロを目指しています」
2022年度のリサイクル率は全国は19.6%ですが、上勝町は81.1%となっています。
※環境省「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和4年度)」より
井上キャスター:
全国の19.6%という低さに驚きます。ただ、他の地域から捨てに来る人をどうするかなどもあって、難しいですよね。
元競泳日本代表 松田丈志さん:
引っ越しをすると地域でルールが違うので、住んでいるところのルールをしっかりと確認して、それに則った捨て方をすることが大事だと思います。
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<プロフィール>
松田丈志さん
元競泳日本代表
五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父
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