サントリーホールディングスが新浪会長の辞任を発表しました。社会問題にも積極的に発言してきた“物言うプロ経営者”の突然の辞任。きっかけとなったのは自身が購入した「サプリ」でした。
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「購入したサプリに疑惑が生じている」 8月に新浪氏から報告
サントリーHD 新浪剛史 会長(2024年12月)
「真のグローバルカンパニーという共通の目標を胸に、サントリーグループをさらなる高みへ引き上げていきたいと思います」
日本を代表する財界人に何があったのか。
2日午後、サントリーホールディングスは、新浪剛史会長が1日付で辞任したと発表しました。
サントリーHD 鳥井信宏 社長
「本件において、皆さまにご心配ご迷惑をおかけすることを心よりお詫び申し上げます」
捜査関係者などによると、新浪氏は大麻由来のTHCが含まれた製品をアメリカから輸入したとして、8月22日、麻薬取締法違反の疑いで東京・港区の自宅が家宅捜索されました。
その際、新浪氏は「適法な製品だと思っていた」などと説明。捜索で違法薬物は確認されず、簡易の尿検査も陰性だったということです。
それでも辞任届を受理した理由について、サントリーは会見で次のように話しました。
サントリーHD 山田賢治 副社長
「サントリーの代表取締役会長として、そのような疑義が生じること自体、新浪氏の行為は求められる資質を欠くと指摘せざるを得ない」
サントリーHD 鳥井信宏 社長
「新浪氏の我が社への貢献も考えたうえで、新浪氏と協議して、辞任届を受理することになった」
サントリーが事態を把握したのは8月21日。新浪氏がサントリーの執行役員に「自分が購入したサプリに疑惑が生じている」と報告したことがきっかけでした。
ヒアリングなどを経て、28日にすべての取締役・監査役が議論した際には、最終的に辞職を求めることで全員が一致したということです。
その新浪氏から“ノブ”と呼ばれ、二人三脚で事業を進めてきた鳥井信宏社長。会見では新浪氏への思いを問われ、声を震わせることもありました。
サントリーHD 鳥井信宏 社長
「新浪氏は大胆で決断力・実行力のある経営者で、本当に尊敬を申し上げておりました。新浪氏と2人で会見したことを覚えてる方もいると思いますが…二人三脚でやろうと言ったのに、大変残念です」
“物言う経営者” 華麗な経歴
三菱商事の商社マンだった新浪氏は2002年、43歳の若さでローソンの社長に大抜擢。11期連続の増益とした実績が買われ、2014年、サントリーホールディングスで創業家以外では初となる社長に迎えられました。
サントリーHD 新浪剛史 社長(就任時)
「『やってみなはれ』。実は私、これが大好きでございます。ビジネスマン最後の大きなチャレンジとして、日本初の本当のグローバル企業にするんだと、全身全霊を捧げてやりたいと思っている」
2023年には経済同友会のトップに就任し、“物言う経営者”として存在感を発揮。この年、旧ジャニーズ事務所をめぐる性加害問題が明らかになった際には…
経済同友会 新浪剛史 代表幹事
「チャイルドアビューズ(児童虐待)があったことに、真摯に反省しているのかどうかというところがまず大変疑わしい。(旧)ジャニーズ事務所のタレントを起用することは、チャイルドアビューズを企業は認めることであり、国際的には非常に非難のもとになる」
2024年10月には、他の経済団体トップとともに石破総理と面会し、賃上げなどを要望。
経済同友会 新浪剛史 代表幹事
「最低賃金が今後上がっていくという予見の中で、企業の経営をすることが予見性。できない企業は退出する。(最低賃金1500円を)払えない企業は駄目なんですよ」
中居正広氏による性加害問題をめぐっても、フジテレビの対応を痛烈に批判していました。
経済同友会 新浪剛史 代表幹事
「大ごとになってから第三者委員会(の調査)になってしまった。追い込まれたということ」
本業では、2024年1年間のグループの決算で、売上・営業利益ともに過去最高を達成した新浪氏。
サントリーHD 新浪剛史 会長(2024年12月)
「これからは鳥井と私の“二人三脚”にて、サントリーグループの経営を担っていくことになりました」
2025年3月付で会長となり、社長を創業家出身の鳥井氏に引き継いでいました。
2日の会見場に新浪氏は現れず、代わりにコメントが読み上げられました。
「一身上の都合により辞任したいという申し出を受理していただいた。会長の仕事を続けることができなくなったことは残念に思っている」
サントリーの会長は新浪氏と佐治会長の2人体制で、当面、佐治会長1人の体制になるということです。
渦中の新浪氏は3日、経済同友会の定例会見に出席する予定で、発言が注目されます。
サントリーは新浪氏を解任するべきだった?
小川彩佳キャスター:
経済同友会の定例会見では新浪氏本人が出席するということですが、どのような発言が出てくるのでしょうか。
小説家 真山仁さん:
最終的な真実はどこにあるかというのはなかなか時間がかかるかもしれませんが、2日の時点では、サントリーのコンプライアンスの問題が気になりました。
社長の会見を聞いていると、どう考えても(新浪氏の)辞任を受理したというよりは、「我々が辞めてもらった」と言わんばかり。だとすると、(新浪氏を)解任するべきなのです。
本当かどうかは別にして、実際にサプリも売っているサントリーとしては、こういう疑惑があった段階で英断をしなければいけません。「解任した」という発言をしないと、サントリーは「あっ、こんな緩い会社なのか」と思われます。そこが本当は今の段階では一番重要だと思います。
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<プロフィール>
真山仁さん
小説家 2004年「ハゲタカ」でデビュー
最新著書に「アラート」
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