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“古古古米”コンビニで販売開始…関係閣僚会議がコメの高騰の要因検証へ 農水省はこれまでコメ高騰どう説明? 高齢化など課題山積みのなか“建設会社が米作り”【news23】

経済
2025-06-06 14:29

コメの高騰が続くなか、5日、初めて関係閣僚会議が行われ、高騰の要因を検証する方針などが示されました。一方、大規模な米作りを行っているのは建設や運送も行う会社です。「建設」と「コメ生産」どう両立させているのでしょうか。


【写真で見る】農水省がコメの価格高騰の原因をこれまでどう説明してきたのか


“古古古米”早くもコンビニ店頭に

5日、小泉進次郎農水大臣が視察したのは…


小泉進次郎 農水大臣
「きょうは朝早くからありがとうございます。これが噂の…」


ファミリーマートで販売が始まった2021年産の備蓄米。“古古古米”が店頭に並ぶのは、5日が初めてです。小分け販売で、1キロ税込み388円。


ローソンでも5日早朝から、東京と大阪のそれぞれ5店舗で販売を開始しました。


ローソンに来た客
「コメ買いにきたの。わーよかった」


ローソンに来た客
「走ってきました。暑いです、汗が。(Q.備蓄米を持ったまま会社に行く?)1キロだから重くないので(職場に)持っていって、みんなに見てもらおうと思います」


小泉農水大臣
「今回驚いたのは、契約完了から店頭に並ぶスピードの速さです。やっぱりコンビニさんはすごいなと思いましたね」


一方、国会では、野党から今後のコメ政策について考える必要がある、という指摘が…


日本維新の会 空本誠喜 衆院議員
「今回やった(備蓄米放出)のは、短期的に私も賛成なんですが、毒薬・劇薬でもあったんです」


小泉 農水大臣
「これはある意味日本的なのかもしれませんが、目の前の課題に対して取り組んでいるときに、そこが今課題なのに、先のことを心配しすぎて、あまりに悲観的な思いを世の中に広げることは、まったく私はいいことはないと思っています」


5日夕方、初めておこなわれた関係閣僚会議で、石破総理は…


石破茂 総理大臣
「今般のコメの価格高騰の要因や対応の検証をおこなうこと。その上で、その検証を踏まえた短期と中長期の対応策を検討することを進めてください」


会合のあと、小泉大臣はコメの価格高騰の要因について、どこを検証する必要があるか問われ…


小泉農水大臣
「コメの流通というものは、非常に複雑でよく見えない部分もあると。今までの流通のすべてを一回総ざらいして、あり方を見ていくという方向性が不可欠なのではないかなと思っている」


ただ、専門家は…


東京大学大学院 鈴木宣弘 特任教授
「流通が目詰まりしたからコメが足りてないんじゃなくて、コメが足りてないから流通が混乱をしたと、だから増産をしていかなきゃいけない。(農家に)所得補償をすることによって、消費者が安く買えて、農家は生産が継続できる。ウィンウィンになる政策を提案してもらいたいと思います」


「繁忙期が違う」“他業種×コメ作り”に現場は

ただ、コメ作りの現場は高齢化や後継者不足など課題が山積みです。そんな中こんな会社が…


新潟県・上越市でコメ作りを行う田中産業。午前7時すぎ、作業服を着た社員が続々と出社し、朝礼が行われていました。


社員
「おはようございます」


管理・耕作するのは340ヘクタールと県内屈指の広さで、コシヒカリなど約1740トンを生産。農地は点在しているため、打ち合わせが欠かせません


社員
「ここを中心にやってもらいます。竹内さんは今ここにいますので、7、23、22、最後20で終わるようにお願いします」


農地に数字を割り振り担当社員を配置。運搬業務などの人員も決めていきます。朝礼を終えると、約40人の社員は現場へ。それぞれの水田で田植え作業が始まりました。


ただ、実はこちらの企業、主力はコメだけではないんです。


先ほどの事務所から30分ほどの所にある田中産業の採石場。「建設」「運送」も主力産業として行っていて、コメ作りはその一つなのです。


田植えを行う23歳の竹内さん。普段は建設現場で働いているといいます。


田中産業 竹内涼さん(23)
「普段走る道路だったり駐車場の舗装などをしています」


同い年の前田さんも…


田中産業 前田りりあさん(23)
「土木の現場監督、作業員に指示をして、工事を進めています」


約360人の社員のうちコメ作り専属は17人。なぜ、建設業などとコメ作りが両立できるのでしょうか?


田中産業 田中朗之常務
「建設業でいえば夏頃がピーク。運送業は年末の荷物が増える時期がピーク。冬の時期ですね、繁忙期が違うので」


コメ作りで人手が必要になるのが春から初夏の田植え。そして、秋の収穫です。一方、「建設」「運送」のピークはそれ以外の時期のため、手の空いた社員を農地に配置、多くの人員でコメ作りを行う事ができるのです。


また、建設業と農業は「親和性」があるといいます。道路の舗装などで使う作業車と、田植え機、操作性が近く運転しやすいというのです。


普段は現場監督として働く前田さんも…


田中産業 前田さん
「土木の現場では田んぼの区画整理工事があるので、実際に田んぼの作業を経験することで、役立つのかなと思います」


事業の特性をいかした大規模農場の管理ですが、一筋縄ではいかないといいます。


田中産業 田中常務
「田んぼを回るのが大変。全部回るのに1日以上かかってしまう」


管理する田んぼは、会社から離れた山の中にもあります。こちらがその水田。美しい棚田になっていますが、田中産業が所有する主力の田植え機では入ることができないのです。


それでも、担い手がいなくなった農地を引き取り、管理することが必要だといいます。


田中産業 田中常務
「『大規模』と一口でいっても難しいのかな。今後の農業をなんとか繋いでいく、将来にコメを残していくというところでは、大規模化も必要なんだろう」


長期化する米騒動…まだ埋まらない“現場とのギャップ“

小川彩佳キャスター:
農業をどう守って繋いでいくのか。大きな課題が立ちはだかりますけれども、政府はようやく5日、関係閣僚会議の初会合を開き、コメの安定供給に向けた検証を急ぐとしています。


ただ、コメの価格高騰が始まってまもなく1年なんですよね。斎藤さん、小泉大臣は“スピード感“を強調しますが、検証のスピード感はどうなんでしょうか?


東京大学 斎藤幸平准教授:
全然ないですよね。備蓄米で安くなるという話だったのに、鈴木先生が備蓄米を放出しても値段がなかなか下がらないのは、コメの量が足りないんじゃないかと言ってましたが、それを政府が認めたくないせいで、ズルズル長引いているのかなという気がします。


そのせいで、逆に投機やJAが悪いみたいになっていて、JAはこの間20年ぐらいずっと安いコメを提供してきたのに、急に悪者にされてかわいそうだなと思いながら見てます。


藤森祥平キャスター:
5日の関係閣僚会議でも、石破総理は“価格高騰の原因分析をします”ということですけど、仮にもっと早い段階で行われていれば、ここまで価格が上がらなかったのではないかという指摘の声も上がっています。


農水省がコメの価格高騰の原因をこれまでどう説明してきたのか、おさらいしていきます。


まず、去年の夏です。


坂本元農水大臣(去年8月) 
「地震や台風等で買い込み需要が発生したこと。そして輸送業者がお盆休みに入った影響で、品薄となった店舗が生じているものと考えております」


当時は一時的なもので、ちょっとしたら元に戻るよっていう感じでしたよね。


東京大学 斎藤准教授:
僕はNスタで「この状況は続く」って言ってました。


藤森キャスター:
そうでしたっけ失礼しました。その後も、高騰が続くとこう説明しています。


江藤前農水大臣(今年2月)
「需要に見合うだけのコメの量は確実にこの日本国の中にはある。しかし、流通がスタックしていて…」


藤森キャスター:
今度は流通が問題でコメは足りている、という主張です。


小川キャスター:
投機が問題だということも、このとき言っていましたが、このあと農水省は投機的な売り惜しみについては確認されなかったというふうにも調査結果を発表していて、そうした説明の変遷にも“あれ”と思いました。


藤森キャスター:
で、この後です。今月になるとこちら…


小泉農水大臣(今月2日)
「生産量としては去年から今年は増えていますので、量自体は足りている」


藤森キャスター:
一貫してコメは足りている、コメ不足にはなっていないという説明なんですね。


ただ、東京大学大学院の鈴木特任教授は、農水省が発表する数字と現場の声にギャップがあり、生産量は足りていないという見方をしています。このコメ不足を認めないと、生産量が減る今の状況を放置することになるから、今後、米騒動が頻発する恐れもあるともおっしゃっています。


実際に数字を見てみても生産が右肩下がりになっていて、3年連続生産量が需要を下回っちゃう状況なんですよね。


東京大学 斎藤准教授:
そうなんですよね。鈴木先生が言っている“現場とのギャップ”は、農水省が調査して計算しているコメの作況指数が確かに不作ではないんですよね。ただ、それは玄米ベースで計算していて、精米するとかなり量が減っている。


その理由は、聞いた話によると気候変動で夏が暑くなっているせいで、コシヒカリなんかはコメの品質が下がって精米に耐えないようなものが出てきたりだとか、小泉大臣は環境大臣をやってたのでわかると思うんですけど、夏のせいでカメムシが増えたりだとか、農業の現場にかなり気候変動の影響が出てきてしまっているんですよね。


そこに、農家の高齢化や人手不足も重なっていて、どちらの問題も長期的に見ると今後ますます悪化していく問題です。今何も対策を打たなければ、これからコメの絶対量は毎年どんどん足りなくなりかねないと思います。


見直すのであれば、やっぱりこれが“最後のタイミング”だという思いを持って、小泉大臣にぜひ大きな対策を打ってほしいなというふうに期待しています。


小川キャスター:
そこに踏み込めるのか、本気度を見ていかなければなりませんね。


<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学准教授 専門は経済・社会思想
ドイツ在住 著書『人新世の「資本論」』


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