生活の中で、何かとお世話になることが増えてきたAI技術。いま、AIで何が、どこまでできるのか。最新技術を取材しました。
【画像を見る】写真の構図や撮り方を提案?献立や丸付けも…今のAI技術
同時通訳、近づく声…「最新AIスマホ」技術
高柳光希キャスター:
8月28日に発売された、Googleの最新AIスマホ「Google Pixel 10」。様々なAIに関するアップデートがされまして、その中でも特に話題となっているのが「通訳」機能です。
日本語で話すと、すぐに英語に翻訳をしてくれます。また、声が本人により近づいているということです。
どういった技術が使われているのでしょうか。
TBSメディアテクノロジー局 大西陽一さん:
ポイントは、複数の技術が複合的に用いられているところです。
まず▼音声データから「声の指紋」のような形で、特有の特徴を取り出します。▼次に、話した内容から、音声の設計図(翻訳を含む)を作成します。▼最後に、取得した声の指紋を設計図に当てはめていくような処理がされています。
これまではインターネットなどを経由し、いわゆるクラウドと言われるようなところでAIが処理をする必要がありました。ですが、AIの技術などの発展によって、スマホの端末の中で処理が完結するようになったところが、スピードアップのポイントになっていると考えられます。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
ほぼ同時通訳でしたね。
高柳キャスター:
めざましいAI技術の進歩ですが、現在はどういった状況なのでしょうか。
TBSメディアテクノロジー局 大西さん:
現在はAIの技術進歩が非常に早く、「不便なものから順番に解決されている」という印象を受けております。
コロナ禍などの影響から、オンラインでのやり取りが当たり前になってきたこともあり、人と人との間にAIが介在することに、あまり違和感がなくなってきました。このAIの進歩が急激に、言語の壁を突破してきたような印象を受けております。
この他に、家庭内でロボット掃除機やスマートエアコンなどのスマート家電を、外気温などを考慮し、効率を考えて運用できる、高精度なAIが実現できるようになってきております。
AIが献立を提案 冷蔵庫の食材の管理も?
高柳キャスター:
食事の支度でストレスに感じることはなんでしょうか。
在宅グルメ「料理への苦手意識に関するアンケート調査」によりますと、「毎日の献立を考える」が1位に挙がっています。
毎日料理をしていると、献立を考えることが難しくなってくると思いますが、そんなときに活躍してくれるのが、AIレシピアプリ「pecco」です。
食材をスーパーで買ってきた後、冷蔵庫に入れるときに登録をします。登録した食材から作れるレシピを提案してくれるということです。
さらに料理を作った後は、使った分を減らしてくれます。食べる人数や調理時間も指定すると、残った食材で作れるレシピを提案してくれるということです。
また、賞味期限も教えてくれるということで、フードロス削減にも繋がるという観点もあるかもしれません。
井上貴博キャスター:
使い続けると、「薄味好みだな」「濃い味が好みだな」などを学習して、提案してくれるのでしょうか。
TBSメディアテクノロジー局 大西陽一さん:
AIの技術次第では、十分実現可能だと思います。
宿題の丸つけも1~2秒で解決 進歩するAI知識
高柳キャスター:
最近では「宿題の丸付け」にも、AIを活用する方が増えています。
保護者の悩みとして、SNSでは「答え合わせの丸つけは、親の仕事。コレがなかなか大変です」「長男の夏休みの宿題の丸つけしたけど、久しぶりに頭使った。計算…ムズカシイ!!!」という投稿もありました。
お子さんが解いた宿題の写真を撮って、スマホアプリ「Uknow.AI」にアップロードすると、1~2秒で丸付けをしてくれるそうです。
現在AIはどういったレベルの問題まで、解けるのでしょうか。
TBSメディアテクノロジー局 大西陽一さん:
基本的には人間とAIで、速さや難しさといったものは一律で比較することはできません。圧倒的に進歩しているAIがいる中で、「大学入試も解けてしまう」知能まで到達しているという報告もあります。
現在は、答えがある程度わかる問題では、かなり能力を発揮してきています。これからは、新薬の開発や未知の問題に対しても、突破口を開くようなAIができてくると考えられています。
ナレーションもAIで…進歩する一方で残る課題
高柳キャスター:
TBSでも新たな取り組みをしています。それが、AIナレーションシステムの「音六AI」というものです。テキストを入力すると、自動で音声を生成してくれます。さらに、指定した秒数で読むこともでき、日本語以外の言語にも対応しているということです。
いろいろなことができるようになっているAIですが、まだ課題もあります。
TBSメディアテクノロジー局 大西陽一さん:
課題はいくつもあり、▼技術の悪用リスクと、今後さらに発展することによって▼セキュリティなどのリスクも出てくると思います。
特に悪用のリスクに関しては、使う側で考えると、「どのようにAIが使われているのか」に対して反応できるように、感度を上げておく必要があると思います。
身近なAIを実際に使ってみて、感度を上げつつ、リスクに対処できる、違和感に気が付ける能力を高めることが重要だと思います。
一方で、▼海外企業への依存などの問題もあります。日本の中から選択肢が増えるよう、AIの企業が増えてくるといいなと思います。
井上キャスター:
IQ(知能)の部分では、人間を上回るレベルで、EQ(感情)の部分でも2028年ぐらいには完全に人間を上回ると言われています。
新しい技術なので、リスクもあるし、怖い部分もありますが、「だから触れない」ということにはいかない気がします。
スポーツ心理学者(博士) 田中さん:
結局使うのは人間です。そしてテクノロジーとして、どれだけEQが良くなったとしても、私達が今この瞬間何を感じているのかを、どう主観的に話すかは、人間ならではなので、「うまく使うリテラシー」を私達は考えなくてはいけないと思います。
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〈プロフィール〉
大西陽一
TBSメディアテクノロジー局 AI開発など担当
SASUKE体力測定で腕立て100回クリア
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト 慶応義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMia(イミア)」主宰
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