
3月27日。JR東日本は、高輪ゲートウェイ駅に直結する大型複合施設「高輪ゲートウェイシティ」の街びらきを行った。その中核施設で、ルミネが展開するのが「ニュウマン高輪」。この高輪でどんな街づくりが行われるのか、ルミネの表輝幸社長に話を聞いた。
【写真を見る】中核施設手がける「ルミネ」高輪ゲートウェイシティの街づくりとは【Bizスクエア】
高輪ゲートウェイシティ開業 国内最大級の街づくりに挑戦
おととい3月27日に開業したのは、東京・港区にある高輪ゲートウェイ駅に直結した「高輪ゲートウェイシティ」。
JR東日本 喜勢陽一社長:
日本とそして、世界の未来への扉を開かせてもらった。
高輪ゲートウェイシティは、JR品川駅と田町駅の間にあった車両基地の跡地の再開発事業で、南北およそ1.6km、総床面積はおよそ84万5000平方メートルで国内最大級の街。
ショッピングセンターやオフィス、ホテルなど様々な機能を持った施設合わせて5棟が立ち並び、来年2026年春にかけて順次開業する。
街には、清掃や、配送、警備まで行うロボットが動き回っている。さらに、人が立ち乗りで移動できる無料の自動走行モビリティも行き交っている。この新しい街を案内してくれたのは、株式会社ルミネの表輝幸社長。
ルミネは、街の中核商業施設「ニュウマン高輪」を手がけている。
――これが高輪ゲートウェイ駅。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
高輪ゲートウェイ駅から目の前に広がるのが高輪ゲートウェイシティ。新たな改札が設けられ、正面には大きな広場がある。そこにそびえる2つの棟が、高輪ゲートウェイシティの「リンクピラー1、SOUTH・NORTH」。今回、街開きでオープンとなる。
「ニュウマン高輪」では、3月27日に先行して開業したのがフラワーショップ「ニコライバーグマン」とカフェ「ブルーボトルコーヒー」の2店舗。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
ブルーボトルのマークが特徴。
――通常、ビルに入ると受付があるものだが、いきなり店があるのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
ブルーボトルのショップが目の前にある。このロビーホール全体で座ってコーヒーを楽しんだり、交流ができる空間。
――通常、高層ビルではショッピングゾーンとビジネスゾーン、エントランスと店を分けるものではないか。この建物はそれを考慮していないのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
むしろ自由に多くの人に使ってほしい。オフィスの人だけでなく、地域の人や駅を利用する人。みんなに来てもらい、ここでさまざまなコミュニティを作りたい。オープンなロビーにしたい。オープンイノベーションを起こす場所にしたい。
「高輪ゲートウェイシティ」どんな街づくり?
――JR東日本にとっても一大プロジェクトだと思うが、どのような街づくりを目指すのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
あそこは100年先の未来を豊かにするための壮大な実験場。
――100年先の未来とは何か。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
JRはインフラ企業であるため、将来のために何をすべきかをしっかり考え、街づくりをやるにしてもこういう街づくりをするべきではないかと。
1872年に新橋・横浜間で開業した日本初の鉄道では、高輪で海の上に築堤を作り、その上を列車が走った。
――150年前は鉄道という新しいイノベーションで国家を切り開く決意を示したと思うが、今回の100年先を見据えたプロジェクトとは何を意味するのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
今、若者に聞いても将来に対して不安を抱えている。日本は課題先進国と言われ、さまざまな社会課題や地球課題がある。それを解決しながら未来を切り開く新しい社会作り、未来作りのイノベーションを起こしたいと思っている。
――巨大な街にはホテルやオフィス、商業施設だけでなく、学校、保育園、文化施設、コンベンションセンターなどあらゆるものが入っている。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
本当に巨大な街である。周辺には住宅地も多く残っている。街だけが特別に活気づくのではなく、地域と一緒に未来を作ろうとするコミュニティを築くのが、高輪の街の挑戦。
――その中でルミネが出店すると、商業施設として街全体の顔になる。何を最も意識しているのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
人生の新しい扉を開く、そのきっかけを作れる顔にしたい。
100年先の未来を豊かに…「ニュウマン高輪」が目指す姿
「ニュウマン高輪」は、今年2025年の秋に高さ約160メートルのツインタワービル、SOUTHとNORTHの1階から5階部分に170店舗が開業する。さらにノースの28階と29階には、500本以上の植物に囲まれた「ルフトバウム」という空間に10店舗が開業する。
来年2026年の春には、高さ約167メートルの高層ビルで、2階と3階が一体となった8000m²の空間に、日本の文化や風土を楽しめる「ミムレ」が開業する。
――「ニュウマン」は「ルミネ」とどう違うのか?
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
新しい人たちの新しい時代に向けて、ここで挑戦し、自分の生き方を見つけようとする場所。
――ニュウマンの中で今後どのような意味のある新しい取り組みが行われるのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
体験価値。そこでしか得られない体験。
――とき消費か。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
ときも、時間も。デザイン、アート、クリエイティビティといった目に見えない価値が、これからの時代もっと大切になると考えている。
――テナント選びの基準は?
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
チャレンジャー。未来に向かって、100年後の未来に向かって挑戦心を持っているかどうかが大事。売れるかどうかよりも、未来のために志を持って挑戦しようとする仲間が集まっている。掛け算がまた新しい価値を生む。
――有名ブランドでそこそこ売れている店に入ってもらえば安心ではないか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
それは求めていない。むしろ売り上げがいくら上がるとしても、挑戦して未来に向かう気持ちがなければ、パートナーとしてはやっていけない。
国内だけでなく海外も… 市場を広げるルミネの狙いは
現在、ルミネが運営する商業施設は国内でルミネが13店舗、ニュウマンは今回開業した高輪を含めて3店舗である。ファッションの印象が強いルミネだが、今、さまざまなジャンルのマーケットにも挑戦している。
ルミネ 新宿店営業部 西村祥平さん:
タイパ(時間対効果)やウェルパ(居心地の良さ)を満たすことができる、新しい「駅ナカグルメ」に挑戦した。
2024年4月にJR新宿駅の改札内に誕生した「イイトルミネ」は、気軽に立ち寄れる場所でトレンド感のあるグルメを提供する。新業態の店舗も多く出店している。
また、JR新宿駅の改札を出てすぐの場所で毎月開催する「アグリマルシェ」では、地方の新鮮な野菜を都心で気軽に購入でき、食文化を広める役割も果たしている。
さらに昨年2024年夏、海外ではシンガポールとインドネシアに新たなルミネがオープンした。
――昨年2024年、シンガポールとインドネシアにルミネが出店したと聞いたが、ルミネはJR東日本の駅前にある店なのに、なぜ海外に出店するのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
アジアも一つの成長マーケットと捉えている。それぞれの国に日本の良さ、日本のファッションや食が世界一であることを広げていくことで、日本の価値を理解してもらい、日本を訪れる人も増える。また、その地域の良さを掛け合わせることで、その場所のルミネも進化する。
――日本から国境を越えてアジアまでを一つの市場と見ることができるのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
日本の良いものを積極的に発信する。ルミネのキュレーション(情報の収集・選別)により、ルミネの目線で現地の市場、今のマーケット、例えばシンガポールの市場に合わせて商品やデザインを作り変え、提案を変えたりしている。それが非常に売れている。
――今後も海外出店を拡大していくのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
是非とも広げたいと考えている。
――そのことで本社の社員も刺激を受けていることは多いのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
世界で評価されるものを見て、それを日本の方でも評価してもらいたい。もう1回、日本人がちゃんと認識することを、高輪で特に知らせたい。
高輪で始まった新たな街づくりにおいて、ルミネはどのように挑むのか。
株式会社ルミネ 表輝幸社長:
ベンチャー企業で志はあるが資金が不足している人々も多いため、インフラを整え、高輪ゲートウェイシティに参入してもらう。東京大学や我々のような企業とのマッチング、掛け算を生み出そうとしている。リアルとデジタルを融合させながら、そこをゲートウェイとする。さまざまな掛け算を起こしたい。化学反応や異分野の融合が新しい価値を生み出す。AIにより人間の何十倍、何万倍ものことができる時代だからこそ、逆に異分野の掛け算で新しい価値やワクワクする未来を作りたい。
高輪は元々、鉄道の車両基地であったため広大。最終的には品川から田町まで新しい街として歩いて行ける規模。高輪ゲートウェイ駅の前には高層ビルが建ち、そこにニュウマン高輪が開業した。今後、ホテル、幼稚園、オフィス、クリニック、インターナショナルスクールも入る予定である。東京で残された再開発地としては最後の拠点と言われる場所だった。
ニュウマン高輪にはさまざまな仕掛けがある。約200店舗が入るが、高層階には左の写真にある500本以上の植物を配置した空間や、右の写真にある日本文化を体感できる空間がオープンする。体験価値を重視している。商業施設は通常低層階に入るものであるが、28階、29階に森のような空間を作り、一軒家のような店を設けるという新しい試みもある。
――今回の高輪ゲートウェイシティの再開発をどのように見るか。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏:
一度訪れてみたいと思う。現在、麻布台ヒルズなどがあるが、ここにはどのような独自性があるのか、その視点で訪れてみたいと感じる。
表社長の話の中で「掛け算」という言葉があった。日本経済全体は停滞しているが、個々の企業や人を見ると優れたものを持つところが多く、ビジネスにも良い面がある。しかし、それがイノベーションに繋がっていない。
――それを掛け算することで何か生み出せるのではないかという仕掛け作りを目指していると語っていた。
第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏:
外国人が興味を持つかどうか、また日本の良いものが外国人を魅了している点を引き出せるかどうかが勝負である。
(BS-TBS『Bizスクエア』 3月29日放送より)
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